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第1話

本作は後々ロボットに乗り込んで戦うとかそういう描写もある色々ごった煮の話になってます

異世界転移物かと言われるとすごーく微妙なところ

一応テラとは現実の地球に近いけど魔法もあるよみたいな文明のある星

ガイアはファンタジーが強めで魔法とか当たり前の星

本作はガイアの星で話が進行しますが、地球にありそうな単語に関しては後々わかるようにはなってます

かつて、テラとガイアと呼ばれた2つの世界を巡った大きな戦いがあった。

戦いは後に次元の扉を隔て、2つの星は互いの引力に引き寄せられ衝突寸前、世界最後の日と思われた。


だが、そこに様々な人物が立ち上がった。その中の中心人物として語られているのはテラの世界で育った魔導師、刹那 優也。

彼は父と共に次元の扉へ向かい、テラとガイア双方の世界の人々の想いと繋がる力を使い。扉を閉じた。

以後、彼らは伝説となり人々の間で英雄と伝わった。

しかし彼らが戦いの後にどこに向かい、どうしたかは一切がわからないままである。

テラに帰ったのか、はたまたガイアに移住したのかすら不明。

2つの世界の繋がりは、既に断たれていた。


それから300年。

ガイアにて、そんな過去の英雄に憧れる者がいた。




アリシア国エストリア領西部

カルシウの町

ハンターギルド


過去の大戦の後に崩壊しかけたガイアの星に住む人々は各所で復興を遂げ、かつての戦いの痕跡は失われつつあった。

そんな復興の中である男が提唱した国に頼らない民間の組織ハンターズ。

猛獣狩り、治安維持、野盗制圧、下水道調査、護衛、復興支援、配達、輸送、研究、戦技指導を生業とする職業で国の騎士団が動き出さないような小さな仕事などを主に請け負う。

その需要は大きく、騎士団と比べ自由が効く事から気質の関係で騎士団への就職が難しい人物や、産まれを問わないことから獣人や元盗賊等。荒くれ者も少なくはない。

だがそんな中でも英雄と呼ばれるような実力者が現れることもあり、一部の人々にとってハンターは憧れの職業ともなっていた。

「はい、ジョニーさん。これがハンターの資格となります」

「いよっしゃあ!!」

受付で喜ぶこの男、ジョニーもまた英雄への憧れを持つ若者の一人でもあった。

「ふふっ。喜びすぎですよ。訓練を終えて試験に合格したとはいえ、ハンターとしての仕事はこれからなんですからね?」

受付嬢のミオリは目の前の金髪の青年にそう言い、笑みを見せた。

「いやほら、俺って事故で同期だった連中に遅れてたし。それにやっぱりほら、嬉しいんだよ!あ~頑張ってきてよかった~」

ジョニーは受付嬢から受け取ったハンターの証、身分証となる物で様々な情報が記録されているカードを掲げて目を輝かせていた。

「なんだ、ジョニーのやつようやく受かったのか」

「おぉ!ジョニーやったじゃねぇか!」

その場にいた別のハンター達がジョニーがハンターとなったことを大きく喜んだ。

「これで俺たちと一緒に仕事できるな!」

「今まで頑張ってたもんな。良かったぜ!」

ジョニーは先輩ハンター達に笑みを見せ「これから世話になります!」とガッツポーズをとった。

「全く……ようやくか」

そう言ってジョニーに近づく青年がいた。

歳はジョニーと同じくらいで黒髪で深緑の軽鎧を付けた男で、隣には茶髪で白い法着を着た少女にも見えなくもない女性が立っていた。

「ほんとよ、待ちくたびれんだから」

「悪い悪い。これから待たせた分働くからよ!エイト、マリナ」

ウィンクをしながらジョニーは二人にハンターの証を突きだした。

「これからは同僚なんだからよ!」

その瞬間、ジョニーの頭部に軽い衝撃が走り。思わずジョニーはよろけた。

「あんまり調子に乗るなバカモン」

ジョニーが声の方向に振り向くとスキンヘッドの大男がそこに立っていた。

「訓練受けていようが新人は新人。あくまで一人でも仕事が可能になっただけだと言うことを自覚しろ」

「へーへー。ギルド長はお厳しいなぁ」

ジョニーはギルド長の言葉に少しだけ落ち込んだ。

「んで、早速今日から仕事すると思うけど、私らでパーティー組む?」

マリナはジョニーとエイトにそう提案した。エイトもそれに同調し。「そうだな、ジョニーは今まで教官としか仕事してなかったろうし、これからは俺たちと一緒に仕事するだろ?」と聞いた。

「んー……でもほら、せっかく一人でも仕事受けられるようになったし、まずは一人で仕事をしてみたいんだよな」

それを聞いたギルド長は少し頭に手をやった。

「お前な……新人なんだから本来は一人で仕事は控えるもんだぞ普通は…。止めはしないがおすすめはしないぞ」

「そうよ、私もエイトもジョニーがハンターになるの楽しみにしてたんだから」

「全くだ、俺も一人で仕事請け負ったことはあるが新人がやるようなもんでもないぞ」

方法から針のむしろのように言葉が飛んで来たが、ジョニーはそれでも三人に向かった。

「でも俺、ヒーローになりたいからさ!やってみたいんだ!」

三人はそれを聞き少し驚いたが、すぐに納得したような顔をした。

「でたよ、ジョニーの英雄になる」

「いつ話しててもそれだから呆れるよな」

マリナとエイトはそれぞれ肩をすくめた。

「ま、おめぇは根性と気合だけは一人前だからな。仕方ねぇし比較的簡単なのをミオリに見繕ってもらえ」

ギルド長はミオリにの方にチラッと顔を向けた。

「そうですね…確か山にキノコ採取の護衛の依頼が来てましたね」

ミオリはそう言って書類を一つ取り出した。

「えーと…西のヤンカ山で培養研究と食材用に幾つかキノコを採取する護衛ですね。備考欄には特に記載も無いですしあの山で魔獣等狂暴な生物、盗賊の報告も今は無いみたいですね」

「おぉ!じゃあそれからお願いするぜ!」

ジョニーは再び目を輝かせた。

「ではジョニーさん、契約書の記入等がありますのでこちらへ」

「おうさ!」


「大丈夫かな?」

マリナはジョニーをやや心配して言った。

「ギルド長…カーネルさんも言う通り根性と気合だけは一人前だからな。なんとかなると思うぞ」

エイトはマリナの肩を軽く叩いた。

「でもさ、去年の事故であたしを庇った時の怪我、完治したのって割と最近でしょ。やっぱり心配になるかな」

「……確かにな」

去年の事故、ジョニー、マリナ、エイトはハンターの訓練中に起きた落石事故でジョニーはマリナをかばい左足に大怪我を負い。全治したのはマリナの言う通り最近の出来事だった。

完治までの間にエイトとマリナは正式にハンターとなり、ジョニーの訓練は完治次第再開となっていた。

最もジョニーはその間もただ療養してた訳でなく。上半身は動くからと剣の素振りやハンター試験の座学等もきちんと受けていた。

「そんなあいつだからな、最初だけは好きにやらせようぜ。ほら、俺たちもパーティー組んで仕事受けよう」

「…うん」

エイトに促され別の受付に向かう二人だが、マリナはジョニーの方に意識が向いていた。




「お、ぱっちん!」

契約書のサイン等の手続きを終えたジョニーは依頼者のいる研究所へ向かい、依頼者と合流した。

「ジョニーさんでしたか、依頼でここに?」

ぱっちんと呼ばれた男、パーチンはジョニーを見るや少し嬉しそうにした。

「おう!今日から俺もハンターでな!」

「そうでしたか、おめでとうございます」

パーチンは祝辞を述べた後に周囲を見渡した。

「……それで他の方は?」

「いや、俺一人だけど?」

「……え?」

パーチンは明らかに困惑した表情をした。

「あー、なんか少し距離はあるけど山の奥にまで行かないってことで危険度は低いだろうしってのと」

ジョニーは自分に対して親指を指し「なにより一人でも仕事できるってところを幼なじみの二人に見せてやりたくてさ!」

パーチンは少しため息をついた。

「それに、英雄になる為の一歩。とでも言うんですよね?」

「おう!よくわかったな!」

再びパーチンはため息をついた。

「あなたらしいですね…」

「あぁ!俺が守ってやるから安心してキノコ狩りしてくれよ!」

ジョニーは笑みを見せた。



「これから取るキノコは食用の為に培養する為の研究素材がメインで、研究が終わったら食べることになってますね。毒キノコは今回採取しない予定ですし」

パーチンは町の外へと向かう道すがら自身の簡単な仕事内容を説明してくれていた。

「へー、キノコ案外旨いもんな。ヤンカ山にあるあの真っ赤なキノコとかうまそうだしな」

「あの山にある真っ赤なキノコって毒キノコですから食べないで下さいよ」

「え、マジ?」

ジョニーが若干顔がひきつった。

「そうですよ、食べたら内臓のあちこちが壊死する猛毒なんですから」

「うわ…あと少しで食べるとこだったよ俺……」

そう言って少しだけ顔を地面に向けた時だった。目の前の通行人の女性と肩をぶつけてしまった。

「あっ…とすいません!」

すぐにジョニーは女性の方に向き謝った。

「こちらこそ、前方不注意だったわ、ごめんなさい」

その女性の姿に、ジョニーは少し目を奪われた。珍しい藍色の髪、メガネ……にしてはレンズが黒く、目元がよく見えないがそれでも端正な顔つきだとわかる。黒いコートを着込んでいた。

この辺りでは珍しい格好と髪色だった。

一言謝った女性はすぐに自分達が進む方向とは逆に向かい歩き始めた。

「あれは……サングラスかな?」

見惚れていたジョニーに対してパーチンが口を開いた。

「サングラス?」

「彼女が顔にかけている黒い眼鏡のようなものさ。確か東の国で流行ってて最近周辺国に普及しだしてるのさ」

「へぇ……」

「にしても、青い髪とは珍しいね。あんな子この町には居なかったから旅行者かもね」

そうパーチンは言って先に歩き始めた。

「………」

ジョニーは少しだけ女性を見た後にパーチンに追い付けるよう少し早く歩きだした。




ジョニーとパーチンが山に入ってからしばらくして、ハンターギルドにて。

「なんですって!?」

ミオリは驚愕の声をあげた。

「一体どうした?」

その騒ぎを聞きつけギルド長もやってきた。

「先ほどジョニーが受けた依頼なんですが…記載漏れがあり、道中で盗賊の被害報告があった箇所と重なっているんです!」

「なんだと?」

ギルド長はミオリが先ほどまで話していた女性を一瞥した。最近新しく雇った受付嬢で事の重大さがわかっているのか酷く怯えている。

「……不味いな」

もしもジョニーが一人でこの仕事を受けていなければ、ここまで状況が悪くはなかっただろう。

だがジョニーは訓練過程を終えたばかりの新人であり、獣相手であればまだ単独でもなんとかなるが盗賊……それも集団ともなると護衛しながら戦うには無理があった。

緊急を要する事態であった。

「すぐにでも腕の立つハンターを探す必要がある!誰か空いてるやつは?」

「それが……今はほとんどのハンターが出払ってて……」

「……仕方ねぇ、俺が行くしか」

ギルド長の言葉にすぐにミオリが反論する。

「ダメですよ!その足では!」

ミオリが反論するのは、ギルド長の足は義足だった。

「だが万が一ということがある。急ぎ救援を出さねばジョニーと依頼者は死ぬことになるぞ!」

かつてギルド長は長くハンターとして活躍していたが過去の戦いで足を失ったのを期に現役を退いている。それからすでに10年以上はたっており、現在は満足に走ることもできなくなっていた。

だからこそ、誰よりもギルド長は自分の足では間に合わないことなどわかっていたが、それでも誰かが向かわなければならなかった。

「くそ……こんな時に限って間が悪い……」

ギルド長はテーブルに拳を叩きつけた。

その時だった。

ギルドの入り口の扉が開いた。

ギルド長は、入ってきた人物を見て驚きを隠せなかった。

(なぜ……ここに!?)

その人物をギルド長はよく知っていた。

“青い髪”など、この世には多くない。

今、というタイミングもあっただろう、平時であれば普通に受け入れられた。

だが切羽詰まったこのタイミングでやってきた彼女はなにやらギルド内のただよらぬ雰囲気の中、ギルド長を見てサングラスを外した。

「……あれ?教官?ていうかなんかあったのこの空気?」




キノコ狩りは特に何事もなく順調に進んだ。

「獣すら出なかったですね」

「だな~……」

ジョニーは気だるそうにそう答えた。

「まぁ、案外こんなもんですよ」

パーチンはキノコを籠に入れながら続けた。

「この山は少し距離あるとはいえ、町から遠い訳でもないですし。念のためこうやって依頼出してるとはいえ、僕も襲われたことはほとんどなかったですからね」

「それもあって危険度低かったのか……」

ジョニーは近くの岩場に座り、空を見上げた。

「空は青いなぁ……良い風も吹いてるなぁ……」

「和みますよね~」

二人はほのぼのとしていた。


しばらくして、一通りキノコの採取を終えた二人は町に戻る帰路についていた。

「思ったよりも収穫あって良かったですよ。これ全部食用ですし、後でジョニーさんとギルドの方にお裾分けしておきますよ」

「お、良いの?俺料理苦手だからマリナか寮のおばちゃんに渡そうかな」

「ならマリナさんに渡したらどうです?ジョニーさんなら料理作ってほしいって頼めば作ってくれるでしょうに」

パーチンは少し意地の悪い顔をした。

「おう、そうだな!エイトのやつも呼んで一緒に食べたいしな!」

ジョニーは純粋にそう言っていた。

「……なるほど、マリナさんも大変だな」

「え、キノコ料理ってそんな大変なの?」

「ジョニーさん、あなた朴念仁と良く言われません?」

ジョニーは本当によくわからないという顔をした。

「んー?」

パーチンはまたも軽いため息をついた。


そのため息をした一瞬、草むらからパーチンめがけてナイフが飛んできた。


そして、飛んできたナイフをジョニーは剣で落とした。

「なっ!」

「ぱっちん!下がって!」

ジョニーはすぐに剣を構え直す。

「出てこい!いるのはわかってる!」

既にジョニーからは先ほどまでの陽気さは一切なくなっていた。

草むら、木の裏、茂みに隠れてたのか、すぐにジョニーとパーチンを囲むように盗賊達が出てきた。

「………身ぐるみ、置いてってもらうぞ、抵抗しなければ命までは奪わん」

盗賊の一人がそう言った。

(……数は……7人!?)

ジョニーは圧倒的に不利なのを察知した。

背中にいるパーチンは怯え、ジョニーに密着している。

(抵抗をせずおとなしく従うのが理想……ってことになりそうだな。本当に命まで奪わないって保証はないけど)

「剣を降ろせ!」

盗賊の怒号が聞こえる。

(………)

ジョニーは周囲に気を配りながらパーチンにだけ聞こえるように小さな声で言った。

「ぱっちん、一瞬だけなら道を開けれる、だから合図したら上手く逃げて」

「な……君は…」

「俺はハンターだぜ、“足手まとい”さえいなけりゃ何とかするさ」

ジョニーの言葉に、パーチンはすぐにハッとする。

ジョニーの足手まといという言葉は、自分がここから逃げることが優先だと思うのに充分だった。

(よし!)

ジョニーは一歩踏み出すと同時に地面を蹴りあげ、前方の盗賊の視界を奪った。

「ぐっ!」

「ぱっちん、行け!」

パーチンは駆け出した、同時にジョニーは背後から襲って来る連中に対して剣を一振りして牽制と同時に左腰にあるナイフを

手にし、すぐさま前方からパーチンに襲いかかる二人に対し、片方に対して左手でナイフを投げて動きを止め、もう一人には砂で目をふさいだ盗賊を蹴り飛ばしてその動きを止めた。

「やってくれたな!」

別の盗賊がジョニーに襲いかかる。

「くっ!」

ジョニーは剣で盗賊の武器を狙って振るった……が、ジョニーの剣は武器では盗賊の腕を切り落とした。

(っ!?)

嫌な感触がジョニーの腕に伝わった。その一瞬だった。

背後にいた盗賊に後頭部をおもいっきり混紡で殴られた。

鈍い痛みとして激痛が走る。

「ぐぁっ!」

ジョニーはそのまま前方に転がるように倒れた。その時に意識を僅かにもってかれ彼は剣を手放してしまった。

「このやろぉ……」

状況は絶望的だった。

盗賊の一人は腕を切り落とし行動不能。まだ死んではいない。

だがそれでもジョニーの周りには6人の盗賊がいた。

(それでも……)

それでも、友人であるパーチンは逃がすことには成功した。

(ハハッ……友達守って死ぬとか……ヒーローじゃん、俺)

そう思った。


盗賊がジョニーの頭めがけて剣を振り下ろそうとした。



ドォン!

そんな大きな音と共に、ジョニーにめがけて振り下ろされた盗賊の腕は何かに“撃ち抜かれた”。


ジョニーは音のした方向を見る。

そこには……。


町から出る時にぶつかったあの女性が、ポニーテールに結んだ藍色の髪をなびかせて左手で銀色の銃の銃口を盗賊達に向けていた。

「なっ……」

盗賊が言葉を発するのと同時に、彼女は引き金を引いた。

同時に、盗賊の一人の足が撃ち抜かれる。

「きさまぁぁぁ!!」

逆上した盗賊たちは彼女に向かい一気に近づこうとする。

だが、彼女は近づかれるまでに三発、盗賊に向かって発砲した。

三人の盗賊が足を撃ち抜かれ、転ぶ。

残り2人となった盗賊はそれでも彼女の至近距離まで近づいた。

一人はナイフを突きだした。

彼女はそれを容易くかわし、いつの間にか右手に持っていた剣でその盗賊の腕に剣を突き刺し、続いて左手の銃で二発、最後の一人となった盗賊の両足に撃ち込んだ。


一瞬だった。

彼女が現れて、ほんの10秒で6人いた盗賊達を無力化した。

彼女は盗賊の腕に刺した剣を引き抜き、すぐにその盗賊の足の腱を切った。

「ふぅ、大急ぎで来て正解だったか」

彼女がジョニーの元へ向かう。

「うぉぁぁぁぁぁあ!!!」

直後、ジョニーが腕を切り落とした盗賊が雄叫びをあげて彼女に向かって突進しだした。

意表を突かれたのか、それとも回避のせいか、彼女は攻撃をかわすもサングラスがその突進で外れた。そして、回避と同時に背中に蹴りを浴びせて盗賊は倒れた。

「腕を切り落とされてるのに、案外ガッツがあるやつだったのね……まいっか」

改めて、彼女はジョニーに向き直る。

「ついさっき、背中に籠背負ったやつがいてさ。『友人が盗賊に囲まれてるから助けてくれ!』ってさ。んで、見てみたらあんたが大ピンチ、あと少し遅れてたら危なかったわね?」

ジョニーは意識が朦朧としながらも「あぁ…」と相槌を打った。

「……ちょっと大丈夫?頭から血出てない?」

彼女の顔が近づく。

意識が朦朧としてるからか、サングラスのない彼女の顔を見て思わず言葉を発してしまう。その青い瞳に。

「綺麗だ……」

「は?マジで大丈夫?もしかしてめちゃくちゃ頭ヤバいところ打った!?」

彼女は本気で心配そうな顔をしていた。

そこで彼の意識は途切れた。




「……もしもーし?これ完全に気を失ったか?」

彼女はそう言って彼の頭部を調べた。

(思ったほど出血してるわけでは無さそうだけど、一応連れて帰るか)

彼女は意識のないジョニーを背負った。

「あんまり、男を背負う姿見られたくないなぁ……」

そうボソッと彼女は呟いた。




次にジョニーが目を覚ました時。

そこはハンターギルドの医務室だった。

「あれ?俺生きてる?」

「ジョニー!!」

目を覚ましたジョニーにマリナが涙を浮かべながら彼の胸に抱きついてきた。

「マ、マリナ!?」

「盗賊に襲われて気を失ったって聴いて心配したのよ!無事で良かったよぅ…」

「……気を…失った?」

ジョニーはそう言われて思い返した。

(確か……あの時青い髪の人に助けられたん……だったな?)

だが最後の辺りの記憶がどうにも思い出せなかった。

そう思ってると医務室の扉が開く。

「あ、ジョニーさん!目を覚ましたんですね!」

ミオリが入って来た。後ろには最近入ってきた新人の受付嬢もいた。

「あ、はい…」

「良かった……リアさんがここに運び入れてくれた際に彼女が簡単な応急処置をしてくれて、マリナさんが治癒魔法をかけてくださったのですが、まだしばらくは安静にしててくださいよ?」

ジョニーはその説明を聴いて疑問を感じた。

「あー、その、リアさんって誰?」

「リアさんはあなたの救援に向かったハンターさんですけど……覚えてます?」

「あ、あぁ、それは覚えてる……けど?救援?」

その言葉でミオリの後ろにいた新人の受付嬢が非常に申し訳なさそうな顔をしていた。

「そうですね、きちんとご説明いたします」



「本当にこの度は申し訳ありませんでした!!」

新人の受付嬢はジョニーに深々と頭を下げていた。

「あ、いや、新人さんなんだしそういうミスもあるって」

事情としては、依頼を出した際に盗賊が出るという任地周辺の情報が事前にあったにも関わらず備考欄にこの新人受付嬢が書き忘れたという次第だった。その為本来この依頼は最低でも3人の警護が必要だったという。

それをジョニーが一人で受けてしまい、更に偶然にもほとんどのハンターは出払っていた矢先に、町に到着したばかりで町でのハンター活動の登録をしにきたリアというハンターやってきて、登録を後回しに大急ぎで救援に向かった。

というのが事の次第らしかった。

「ですが、新人とは言えこのミスは本来許される物ではありません」

ミオリが普段よりも暗い口調で言う。

「現に私達のミスでジョニーさんは死にかけました、私達は任地に赴かない事務処理を請け負っていますが、それでもギルドは皆様ハンター達の命を預かる立場でもあるのです」

ミオリも深々と頭を下げた。

「本当にこの度は申し訳ありません」

「あー……うーん……」

「ジョニー…?」

ジョニーはマリナの顔を見る。

本当に心配してくれたのか、目も腫れていて、涙の跡までうっすら見える。

(本当にヤバかったのか俺)

ジョニーはため息を一つついた。

「とりあえず、今俺は無事だし、次にこういうことがないようにしてくれれば、俺はそれでいいですよ」

それを聴いたミオリと新人受付嬢はまたも頭を下げた。

そして、ミオリから「寛大な言葉、ありがとうございます」

そう言ってミオリは新人を連れて医務室の外に出た。

それと入れ替わるように、彼女がやってきた。

「よ、目を覚ましたみたいだな」

「あ、その……危ないところありがとうございました、リアさん」

ジョニーはそう言い頭を下げた。

「うんにゃ、さんづけはしなくていいよ、リアで良いわ」

そう言ってリアは袋を近くのテーブルに置いた。

「これ、一応見舞い品ね。落ち着いたら食っとけ」

「あ…はい」

リアはジョニーとマリナの方に向く。

「……ふーん、お邪魔かな?」

「いえ!そんなことはないです!ジョニーを助けてくれた恩人なんですし!」

「なんでマリナがそんな必死なの?」

そのやり取りにリアはふっと笑った。

「んじゃお邪魔虫の私はまだここでのハンターの登録終えてないし出てくね~。機会あればまたね」

そうしてリアも医務室から早々に出て行った。

ふと、ジョニーはマリナの方を見ると、顔が赤くなっていた。

「大丈夫か?マリナ?」

「……朴念仁」

「それパーチンにも言われたけど俺ってそんなに気遣いできないやつか?」

「そういうところだよ……ばか」


「フッ……心配して損したな」

そのやり取りを医務室の扉前でエイトは聴いていた。




「すまん、本当に助かった。ありがとう」

ギルドの応接室でギルド長はリアに対してお礼を言った。

「仕方ないんじゃない?ここには馬もバイクも車もないんだから走るしかないとなると教官は行けないんだし、運が良かった……いやあたしにとって良いのかわかんないけどね」

リアはそう言ってソファから立ち上がり、窓の外を見た。

「ほんっと、ここは割と平和な方みたいだし、しばらくはハンターしつつのんびり滞在するわ」

「お前だけなのか?ここに来たのは」

「いんや、私含めて三人よ。リリィも一緒よ」

「……仲が良いんだな、相変わらず」

「まぁ、幼なじみで高校違ったとはいえ、ハンター養成校で育った仲だしね」

リアはしみじみと言う。

「とりあえずリリィは今は宿で休んでるわ。夜になったら登録にまた来るから、それまでは私も宿にいるから、手続きの準備お願いね」

「あぁ、わかった」

ギルド長はうなずく。

「んじゃ、ジョニーだっけ?復帰したら頑張れとでも言っといて。じゃねー」

リアは応接室からそのまま立ち去った。

(ジョニーとリア、片方は蕾で片方は咲いた花か。2人の出生知ってる身としては、互いにどんな影響与えるか少し楽しみになるな…)

ギルド長はそんな思惑に耽った。

今後続きを書くつもりはあるというか、エピソード1とか書いた時点で2とか3も脳内ではあるんだけどね?

書く気力あるかは別(現に過去に書いたやつ完結どころか1話書いてそのままだし)

まぁ、楽しみにせず期待せずだらっとよろしく

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