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回想

「前世は勇者だった」

と言うと、奇異な目で見られることは百も承知だ。


だから、目が覚めたときから、身動きが取れない赤子となっていても、流れに身を任せて生きてきた。


股間に慣れ親しんだ息子がいないことに喪失感を覚えたものも、女であれば、それはそれで楽しい人災が待っているだろうと気持ちを切り替えた。





なにせ、前世は勇者だ。

勇者は生易しいものではない。

もう一度、勇者をやり直せと言われても、他の候補者がいれば確実にポジションを譲る辛さだ。


魔王を倒す旅に出る前には、何度も死にかけそうになる騎士団による実地の訓練。


仲間は戦いの中で、勇者を最優先にして身を呈して庇われ死んでいく。

恋仲になった魔法使いも、親友となった王子も俺を庇って、死んでいった。


魔王を倒すことが遅くなれば遅くなるほど、魔物による被害は大きくなり、尊い人命が失われていく。


されど、相打ちになった魔王も、元は人間。

魔力が異常に高いが故に魔を統べる王となったが、ファカナ王国に瘴気を植え付けられ狂ってしまったという被害者。


「やるせない」としか言いようのない前世だった。


下手な功名心や義憤の心なぞ持たず、半径5mの人間が幸せであればいいという結論になったのは、仕方がないだろう。




そんな俺の第2の人生は村娘として生まれた。


しかし、前世の因縁により、俺が望んだ平安な人生は訪れなかった。

最後はなぜか王妃とまでなった俺の一生を笑いながら聞いてくれれば、せめてもの救いになるので、気軽に俺の人生を聞いてほしい。

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