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無想無愛  作者: 未雨
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エピローグ

大学二年生の葉山カナと同じ大学に通う川島タクミの恋のおはなし。

恋を知らないカナは何となくタクミと付き合う。だんだんタクミに惹かれていくが……

「好き?」

「好きだと思う、」


曖昧な好きから私 葉山カナと彼 川島タクミの恋愛は始まった。

大学二年生の初夏。大阪での一人暮らしにも学校生活にも慣れてきた頃だった。同じゼミのタクミとの一緒の帰り道それは突然の告白だった。突然というのはやや訂正しなければならない。タクミとは最近気が付けば一緒にいた。恋愛の経験なんかゼロに等しい私だけれど、大学生だしタクミといるのは嫌ではないしと軽い気持ちで付き合った。

タクミは料理も上手で大阪という都会育ち私にとって輝いていた。もともと人見知りの私と違いタクミは社交性が高くタクミの周りは常に人が集まっていた。


***


今日は付き合って初めてのデート。ショッピングしようと計画していたのに生憎の雨で私は朝からテンションは低かった。だけど、タクミは何事もないような様子で「じゃ、お家デートしよっか」と、私をタクミの家に招待してくれた。返事二つで直ぐに返してしまったけど、男の子の家に行くことなんて小学生以来のことで緊張してしまう。

タクミの家は1R。実家は近いらしいけど一人暮らししたくて高校の頃からこの部屋を借りているらしい。部屋は冷蔵庫、テレビ、机、ベッドと必要最低限の物しか置いていない。黒を基調としたシンプルな色合いの部屋。


「落ち着かない?」

「っ!そ、そんなこと」

「そう?」

「っん、ち、近いよ…」


近い。タクミはベッドに座っていたのにいつの間にか私の隣に。ドキドキと高鳴る心臓をぎゅっと掴みたい衝動にかられる。仕方ないので服を掴む。どうしよう。男の子の部屋に来るの軽率だった?でも、彼氏だし。でも、まだ付き合って数日。でも、でも、


「お腹空かない?」

「へ?」

「何か作ってあげようか?」

「!!!タクミが?」

「おう」


ということで、近所のスーパーへ。自分でもゲンキンな奴だと思う。でも、彼氏がご飯を作ってくれるんだよ?嬉しいに決まっている。私も、一人暮らしして気づいたけど家事って結構疲れるし大変な仕事。お母さんの有難味が今になって身に染みているところ。

緊張していた私はどこへやら軽やかな足取りでスーパーへ。


「ん、持つよ」

「ありがとう」


さっと、籠を持ってくれるタクミ。そう言えば、スーパーの行き道も今までも歩道側を私に歩かせてくれたりタクミは紳士だ。ふふふ。私の彼氏はよく出来た彼氏だなぁ。と、嬉しくなる。


「なに?」

「んーーーなーんもないって」


タクミは慣れた買い物捌きでトマトやら何やらをサクサク買っていく。私はタクミのおまかせコースを頼んだのだ。買い物の間もトマトのおいしい見分け方や主婦顔負けの豆知識を披露してくれるタクミ。

家に帰っても「座ってて」なんて言って手早く料理している背中を見る。カッコいい。


「はい、お待たせトマトの冷製パスタ」

「わぁぁ!!!」


そんなに時間もかからずに出てきたのはトマトの冷製パスタ。冷製パスタなんて洒落た食べ物初めて。

タクミのパスタは酸味と塩味が絶妙ですっごく美味しかった。


***


「そっか、今日はバイトなんだ」

「ごめんね?終わったらLINするわ」


タクミはバイトを沢山入れている。ファミレスのバイト。学費を稼ぐために深夜も入ったり。今日も終わるのは三時になるとか。そのまま仮眠して二限から登校するらしい。


***


「その格好」


付き合って一週間が過ぎていた。周囲も認めざる得ないほど私とタクミは四六時中一緒にいた。講義が一緒なら隣の席。移動は一緒。昼食時も一緒。空コマも何もかも。私は付き合った経験もなく、恋愛にも疎くて何も知らない。   ------これが普通だと、タクミが言うなら普通なんだと思っていた。


そして今日。初めて見る機嫌の悪いタクミが目の前にいた。周囲にいた友人はタクミの表情にぎょっとして私からタクミを離す。

私の今日の格好、服装はプリントTシャツにショートパンツ、ハイソックス。少し幼い格好であると自覚はあるがタイツが洗濯中で一つもなかったのだから仕方がない。でも、タクミの表情、声色は凄く怖かった。


***


「ねぇ、タクミ……」

「……」

「その、ごめん」

「なんで、怒ってるか…分かる?」

「……格好?」


「その格好」っていたから怒っている理由はこの格好であることは分かっている。

でも、こんなにタクミを怒らせるなら熱いけどジーパンとか無難な格好にすればよかった。後悔してもおそいんだけど、


「足、」

「え、」

「足、あんま出さないで」

「う、うん」

「スカートも短いズボンもはかないで」

「っ!でも、」

「なに?」

「っ、タイツ履いても?」

「タイツ履いたならズボンはいいよ」

「………ん、わかった」


こうして私たちの歪んだ愛は始まっていった------


初めての恋愛ものですが、BADエンドものです。

DVカップルの連載です。依存と共依存について描いていきたいと思います。

この小説はフィクションです。


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