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崩れていく絆

「は?何言ってるの?最近あいつと話して話してもいねえのに何が言いたいんだか」


「何なんだよその腹立つ態度はよぉおおおお!!


人を小ばかにした感じの龍翔に俺はブチぎれた。


龍翔は、どうでもよさげに言った。


「いちいちうっとうしいんだよ不良ごときが」


「なんだよてめえ」


いつもの龍翔とは、どこか違うのを俺は、感じてくる。


龍翔は、こんな威圧的な感じじゃないし、空気が全然違うことに今気づいた。


冷たすぎる。


まるで、彩夏の纏っていた空気と似た奴だ。


でも彩夏のとはちょっと違う重々しい感じのオーラも漂ってくる。


龍翔は、鼻で笑って言った。


「修助、お前は考えたことあるか?」


いきなりの質問に俺は動揺した。


「なんだよ急に」


「いやな、最近いろいろ考えててその疑問にぶち当たった。」


俺は、静かに聞いていると、龍翔は嫌な笑みを浮かべて言った。


「その時、たまたましおりがいてね」


なっ・・・


俺は嫌な予感がした。


「その時わかったんだよ。絶対的な力を持つと人は変わってしまうって事に」


龍翔は、悪童という異名の似合うような表情をしていた。


俺は、正直夢でも見ている気分だった。


これがホントに龍翔なのか・・・


「おいおい、しおりみたいな反応はやめろ。」


チッ・・・


しおりもこんなもんを目の当たりにしちまったからああなったって事か・・


こりゃ負けられねえわ


「お前は、今その絶大な力を手に入れてるってことなのか?」


俺がそう聞くと、龍翔は頷きながら言った。


「今の俺は、誰にも負けない力を持っている」


この発言は、すごい厨二くさくて笑えるが、空気が嘘じゃないっていうのを感じさせる。


「なら、サッカーで勝負しようぜ」


「いいけど」


俺は正直負ける気がしなかった。


中学時代、サッカー部だったしいつもスタメンだったので自信があった。


でもそんな考えは甘いんだなと思わされた。


「弱すぎて話しにならないな」


「なんでだよ・・」


俺は地面にはいつくばっていた・・・


全然抜けないし、すぐ抜かれちまう。


なんなんだよこいつ・・・


違和感すごすぎる。


プロ選手みたいな華麗なドリブルさばきに安定感のあるシュート力、どれをとっても俺に勝てる要素はなかった。


「ホント見た目と一緒で中身をガラクタだな」


そういって言って立ち去ろうとする龍翔。


「待てよ!!」


龍翔は振り返る。


「なんだよ」


「俺は、負けられえんだよ」


しおりのあの辛そうな顔、見てるだけで辛かった。


それに彩夏からも頼まれてるんだ。


俺は、立ち上がり龍翔の顔の目と鼻の先ぐらいまで、自分の顔を近づけて言った。


「お前のその腐った考えを正してやる。」


龍翔は、大笑いした。


「おいおい、笑わせるなよ。さっきから一点すら俺から奪えてないのに何が言いたいんだよ・・・」


「それでもー」


「しつこい」


龍翔がシュートしたボールは目にも止まらぬ速さで、俺の真横すれすれを通って、

ゴールに吸い込まれた。


俺は、何にも言葉が出なかった。


龍翔は、吐き捨てるように言った。


「お前じゃ相手にならねえ。雑魚は寝てろ」


くそっ・・・


俺は悔しすぎて、校庭で自分の不甲斐なさに涙した・・・






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