仲間想いの修助
龍翔は、それだけ言い残すと私の前から去っていった。
「待ってよ・・」
待って・・・お願い。
遠いよ・・
たった1メートルくらいの距離が遠く感じる。
どんどん離れていく。
そして龍翔の姿が消えた。
私は、ひざから崩れ落ちた。
何もかもがなくなってしまったような絶望感に襲われていた。
私は、休み時間が終わるまで泣いていた。
この日を境に私は、何もかもが手付かずになっていた。
勉強もバスケも何もかもが集中できない日々だった。
龍翔・・・
最近は、外出していて全然顔を合わせることもなくなった。
これじゃ、離婚してた時に戻ってきた感じじゃない。
私は、怒りと悲しみが入り混じっていた。
なんなのよ・・・
こういうの一番ムカつく。
その結果私は、今部活をサボって帰っている。
「よう、しおり。なんか元気ねえみたいだけどどうした」
声をかけてきたのは、修助だった。
その横には、小熊がいた。
まさかこんなときに会うなんて・・・
「龍翔は、いないみたいね」
小熊は、本を読みながら、ボソッと呟いた。
私は、ギクッとしたが、すぐに適当な理由で返した。
「あいつ今日体調悪くて早退したの」
「なんだよあいつー。ゲームのやりすぎかww」
「修助、それはあなたでしょ」
「なっ・・・」
どうやら図星だったのか、少し戸惑っていた。
なんか二人のやり取りを見てると、なぜか龍翔が思い浮かぶ。
そして胸が痛む。
脳内にあの冷たい言葉が、再生される。
やめて・・・
「やめて!!」
大声で私は、叫んでいた。
「おい、どうしたんだよ・・」
驚愕した様子で、修助が聞いてきた。
私は、二人の場から立ち去ろうとした。
その時、後ろから聞こえてきた。
「龍翔と何があったの?」
その質問が聞こえたとき、私は全力疾走で小熊達から逃げた。
「しおりの奴、一体何が」
「どうやら龍翔と何かあったみたいね」
「そうみたいだな」
俺は、校門とは逆方向に走る。
「どこへ行くつもり?」
「龍翔のところに・・」
彩夏は、嫌な笑みを浮かべて言った。
「居場所分からない上、体調悪くて早退したって言ってたでしょ?」
「ああ、でもホントに早退したかなんてわかんねえから言ってくる」
彩夏は、俺に笑みを浮かべ、肩をパンと叩いていった。
「私は人を慰めたり出来ない、だから私のときみたいに諦めないでね」
「ああ」
ありがとう彩夏。
俺は、彩夏からの応援もあって、テンションが高まっていた。
下駄箱まで、戻って1~3年までの教室は、全部行ったが、いなかった。
「くそっ・・」
俺は、荒い呼吸を落ち着かせるため、今いる2年4組のクラスの前の壁によっかかっていた。
その時、目の前から姿を現したのは・・・
「龍翔!!」
俺は、つい大声を出してしまった。
龍翔は、ニヤッと笑みを浮かべた。
「随分騒がしく走り回ってるな修助」
その顔は、俺を馬鹿にしていた。
ふざけやがって・・・
「お前、しおりと何があったんだよ?」