突然の出来事
「え?」
今なんて言ったの・・・
私はこの時、妙な胸騒ぎがした。
その胸騒ぎがしてからずっと龍翔は、なんか考えてるようだった。
声をかけても返事してくれないし、何の反応もしてくれない。
何で?
私、なんか悪い事したの?
「そんな事で俺の事で、俺の事呼んだのかよw」
「私だってあんたみたいなナルシストに相談したくないわよ・・でも」
「でも私おにいちゃんの事好きだからみたー」
思いきり頭に拳骨かましてやった。
「ほんとに女なの・・・この威力」
この使えないカスが・・・
私は、本気で悩んでるっていうのに・・
「そんなくだらない事言ってないで、なんか助言しなさい」
黒田は、めんどくさそうにした後、
「ん~・・そうだなキスでもしとけば?」
もう一発殴っておいた。
「いてえ・・・」
私は、大きなため息をついた後、
「あんたでも一応あいつの幼馴染なんだから、いろいろ知ってるでしょ?」
黒田は、私の問いに真顔で答えた。
「そりゃあ知ってるさ」
「じゃあ教えて」
「いやだね」
「は?」
思わず素っ頓狂な声が出た。
「こんなときに何言ってんの?」
黒田は、嫌な笑みを浮かべて、言ってきた。
「俺がなんで無条件でそんなことしなきゃならないんだよ」
ただでさえムカつくやつに、高圧的な態度を取られて、すごい腹が立った。
「あんたはあいつの友達なんでしょ?友達の事心配じゃないの?」
私の問いに、黒田はつまらなそうに答えた。
「まあ少しは心配なところもあるが、そんなの俺の知ったことじゃない」
こいつ・・・!!
私の怒りがこみ上げてきた。
黒田は、それをさらに悪化させるようなことを口にしてきた。
「俺は、俺が不自由なく誰よりも輝ける存在であれば、それで良いんだよ」
優輝は、ビシッと私に指をさしていった。
「お前だって、そういう人間だろ?今更善人ぶるなよ」
はっきりとそう言われ、私は何も言い返せなかった。
黒田の言い方には、腹が立つが、間違ったことは言ってない。
でも違う。
私は、家族をひとつにするためにこの高校に来た。
だから・・・
ここで、気づく。
それは、単なる私の勝手な都合だったのではないか・・・
そう思うと、余計言葉が出なかった。
そんな私を黒田は笑った。
「おいおい、図星か?いくら高校生離れした天才児も兄の支えが切れたらこのざまか?弱くなったなお前も」
「ふざけるな」
この時私の何かが切れた感じがした。
なんでこんな奴に私が言われなきゃならないの?
こんな奴に・・・
バシッ!!
え?
私は、唖然とした。
私の目に今映っているのは、龍翔が黒田を殴った所・・・
「教室戻れば、男のクセに女いじめかおい。ふざけてんじゃねえよ」
龍翔は、黒田に言い放った。
その時の龍翔の顔は、私の知っている龍翔とは、別人だった・・・
「龍翔・・・」
龍翔は、こちらに振り返らず、倒れた黒田を見下ろしている。
「てめえ、龍翔・・・」
起き上がろうとして、そこまで言ったところで意識を失った黒田。
その時、龍翔は冷たい声で言った。
「俺は、俺をやめる。しおり、俺は多分お前の敵になる」
私は、言ってる意味がわからなくて、その場で硬直していた・・