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街賊悪漢 新東京屑  作者: 火村虎太郎
===あと一人===
73/73

最終話. 新時代の完結

「ブシュンっっっ!」

「・・ブシュンっっっ!」


かっ飛んで行く二つの火の玉


「亜美ぃい!」巻

「何ぃ!?」亜美


もう後わずかで交差点だ・・

それでも声を掛けずには居られない・・大声で・・


「突き抜けようやっ!」巻

「突き抜けるっ!。」亜美


くだらない勝負・・ケジメ・・

最終決戦・・新時代の・・


この交差点で・・時代が・・終わる?変わる?始まる?

天に聞きたい・・時代は・・どうなる?



「ガッ!」

「・・ガッ!」


僅かに前を走る亜美がギアを変えるのを見て巻も変える




最後のギアを入れ・・


「後は、開けるだけ開けてーー!」亜美

「おおおおお!!」巻



どうして、もっと早く出会えなかったんだろう・・

どうして、もう少し近くに生まれなかったんだろう・・


同じ街で、同じ遊び場で出会っていれば、

すんなり同じチームに居たはずなのに・・


「なんでか知らねえけど好きなんだよ、愛してるぞ!」巻

「知ってる!私も!でもまだ言わない。」亜美



何か先に言えば、

死に行くから言ったみたいで嫌な気がしたから言わない。


だからここを抜けたら言いたい。


愛してるって・・



どうして、最後の二人に残ってしまったんだろうか・・

どうして、こんなにも新時代が似合ってるんだろうか・・

どうして、同じ色なんだろうか・・・


俺も薄紫に見えるらしい・・

これは亜美や千夏さんに言われた事。


本当は俺も千夏さんや、前の東爆の総長みたいに、

すっげー濃い色で輝きたかったのに・・

もっとギラギラした不良の色で。



千夏さんに言われたのは・・


『アウトローの恋の色かな・・私は好きよ』


恋に踊り、恋に踊らされた気がする・・




交差点に突っ込んで行く二人・・


真っ直ぐ・・躊躇無く・・

アクセル開ければ開けれるほど抜けられるはず・・


だが・・



(まずい・・)亜美


タイミング的に・・・

後ろの巻は見えないが音でどの位置に居るかは分かる。


僅かに亜美から離れていく巻

単車は同じでも、僅かな力量の差で、巻が遅れだしている


それでもわずか5~6メートル。

だがこの距離が運命を分けそうな・・


何より亜美がまずいと思ったのは・・


巻が・・左・・


亜美の左側でギアのタイミングを見てる巻



右と左では・・


まず交差点に入ると車が来るのは手前右から・・

だが巻達は左側通行だしこれとは少し距離もあるし、

タイミング的にはギリなはず・・


そして、問題の交差点の奥側左から来る車・・

これは非常に近い・・この状況・・タイミングなら・・


(くっ・・右側(交差点の真ん中側)

 走らせればよかった・・でもそれじゃあギアチェンジが・・)亜美


この方が当たる確立は少なくなるが、

巻にギアチェンジのタイミングは分かりづらい。


だが巻の事ばかり気にもできない・・


自分もギリのタイミングだ・・

いや・・まずい・・


こいつせいで・・


(風・・ずっと吹いてた・・向かい風が・・)亜美

(風か・・このやろうっ・・)巻


何か風が俺達を邪魔してるように思えた・・

死んで行った連中が俺達を引きずり込もうとしてるような・・

この交差点に・・



もうこの猛烈なスピードで何か交差点がぼんやり見える・・

スローモーションのように・・



「パァアアアアアアアン!!」


このスピードで何より先に確認できたのは音。

鳴り止まないクラクションが聞こえてくる・・



「うおおおおおおおお」巻

「うああああああああ」亜美



ただ、叫ぶしかない・・

打ち破れ・・この何かを・・

俺達を引きずり込もうとする何かを・・


(亜美ぃ・・)


(巻ぃ・・)


もうお互いがお互いを思う事くらいしかできない・・


ずっと亜美の後ろ姿見てたいけど・・

亜美より先を見よう・・


ここで亜美の後ろ姿追えば、

俺だけこの交差点に取り残されそうな気がした



抜けろっ!

伝説の単車なら・・



俺達の未来へ・・


その先へ






「ブシュンっ!」





「・・・ヒュンっ!」




「わはっ!」巻

「あはっははは!」亜美




「ぬっ!抜けたぁああ!!!!!!!」

「うおおおお抜けたぁ!!!!!」

「やった!両方抜けたぞ!」



交差点では・・



「パァアアアアアアアアン!」



「何やってんだよ!!どうなってんだ!?」

「どうして先頭動かねえんだよ!もう青だぞ!」

「キャバ嬢!?キャバ嬢が100人位で交差点止めてるぞ!」


その先頭で、この二人が突き抜けるのをやさしく見送る人・・


(へへ・・香奈だった・・・)巻

(・・元カノ・・六本木の女帝候補か・・・)亜美


キャバ嬢が・・


「香奈さんに言われたらすぐ駆けつけるからっ」

「うん。こんな事でお役に立てるんなら、いつでも呼んで」

「六本木を引っ張っていってねっ香奈さんっ」



「うん。みんなありがとね。」香奈


今までに居ない変わったタイプだけど・・


そっちが新時代の不良なら、

こっちも新時代の女帝になってやる。


もう誰も死なずに

素直に愛し合えるように



大人達は・・


「あっぱれ・・」

「来ると読んだ事と、躊躇がない事がすばらしい」



「新時代だな・・交差点止めるなんて・・

 乾ききった新時代の連中の嘘・・負けない逃げの考え・・」


あの時は少しこの六本木の風が乾いただけだったが

こいつらはまるで乾ききっている風さえ止めたような・・


「ええやんっそれでも突破や」

「ああ・・これが、これからのスタイルなんだろうな」


嘘でもなんでもいい・・勝てば。

勝つなら100%で。

みんな嘘つき、サプライズ好きだから。


「俺との決着は付かずか・・」

「ははっ、しぶといですね死んでも」


前の東京のドン・・

この代理戦争で、まくってやろうと思ったのに・・

時代さえも・・


「最後のチャンスだったんだけどな・・飛び越える」

「ははっ死人とは決着付けれませんよ」


東京のドンや、日本のドン、女帝達は引き上げていく。


新時代は無事完結・・

それなりの死人も出たが悪くない結果だ。



引き返して来る二台の単車を待つ不良達。

いや、待ちきれずに、こちらから向っている。


「よかったぁ・・」千夏

「亜美ぃ・・だけどさみしいぜ・・だって・・」中根


「付き合うんでしたっけ?両方突き抜けたら・・」コバヤ

「言ってたな・・でも勝負は?」原西


「引き分け?」コバヤ


「違うわよ・・巻の勝ちよ。」千夏

「そうね・・」愛羅

「えっ?どうして?」中根


「あっ!本当だ・・」コバヤ


亜美が・・


「ふわっ・・」


(ありがと・・・・横浜爆撃・・)亜美


いや・・不良人生。

恋をめぐり合わせてくれて・・




「捨てやがった・・特攻服・・引退か・・」中根

「もう不良じゃないっすね・・さみしいや・・」コバヤ


もう横浜爆撃の総長としてじゃなく、

巻の女として・・


憎しみ・・復讐心・・メンツ・・


亜美の全てを撃ち落したのは巻だ。

亜美に残っているのは、もう恋くらい。


二人で寄り添いながらバイクで戻ってくる二人

向ってくる仲間達に叫ぶ巻


「おーーーいっ!抜けたぞお!やったぜぇ

 愛してるぜ亜美ぃ!」巻



やっと言える・・愛してると。


巻が亜美に手を伸ばす。


触れたかった・・どこでもいい・・

お前の温度を感じたい・・



「ははっ、ほんっと子供みたい。

 でも、私も愛して・・」亜美




るよ・・巻ぃ・・



誰よりも・・




巻の伸ばした手があともう少しで亜美の顔に届く・・

もう僅かに温度も感じられるほどの近さ・・





「パアアアアアアアアアアアアン!!!!!」


また交差点で聞こえるクラクションの音・・


これが最後の・・咆哮・・


あと一人・・・


もし・・・許されるなら・・・・



「えっ?流・・ぃ」巻

「危ないっ!」亜美





「ゴギャァァンッ!!!」







「ヒュンっ・・」








なあ・・最高だろ?

クソおもしれえだろ?



新時代が・・・



どの時代の不良よりも、

俺達が・・

一番咲き乱れたはず・・・


俺達の駆け抜けようとした・・

突き抜けようとした・・



この六本木で始まった恋が。





そうだろ・・・





亜美・・





「亜美ぃいいいいいい!!!」





冗談にしてよ・・

ねえ新時代よ・・


お願いだから新時代の嘘だと言ってよ・・



せめて・・

この狂恋黒華は・・



この恋・・

このアウトローの正気でなくなるほどの激しい恋は・・


最初から存在しなかったって・・




この六本木の夜に咲いた

たった一瞬のバカでかい恋の華だったけど・・




それでも・・


ありがとう六本木




恋を・・めぐり合わせてくれて・・・・・・








翌日の渋谷。



東京のドンや女帝が居る事務所で・・


「じゃあ巻さん(義母)これでこの子達とは・・」


テーブルの上に置かれた大金・・


「ええ。利子もしっかり頂いたし皆様(ドンや女帝)が

 そうおっしゃるなら。」義母


千夏と巻が義母に利子を含めた15億を返却。


ドンや女帝達の口添えで・・


「今後一切、この子達と関わらない」

「ええ。」義母

「お互い、どこで野垂れ死のうが一切関与しない」

「ええ。皆様には私も逆らえませんからしっかりと」義母


この15億で双方の関係のすべてを絶つことに。

大体血のまったく繋がってない親子だ。



この二人の事をよく理解して間に入ってくれたドンや女帝

他にも爆撃系派閥のトップの右翼の大物まで・・


「お姐さん、ありがとうございました」千夏

「いやっいいのよ。早い方がいいしね」女帝



多少の雑談をして・・


「では、また何か儲け話でもあったらぜひ」義母

「ええ。そうですね」ドン

「おーーいっ、お義母さん帰るから、

 最後くらい挨拶しろよー」右翼


(バカっ!)(なっ!)


女帝達は少し空気読めよ・・との気持ちだ・・


親に襲われた千夏に巻・・

そのせいで死んで行った長山や先輩・・


まあそれでも親子だから・・

いや、親子だったからか・・


「・・長い間お世話になりました」千夏

「ええ。元気でやるのよ千夏ちゃん」義母


丁寧に頭を下げる千夏

千夏はよく理解している。こんな親でも親だ。

辛い幼少時もあったが巻家があるから生きてこれた。


「・・何やってんだ!ほらっ巻っ」右翼

「・・・あっ・・はい・・」巻



巻がゆっくり入り口付近に居る義母の前に歩いていき・・



「・・・お久しぶりです・・

 今まで、ありがとうございました・・

 もう会うことも、付き合いも無くなりますが、

 くれぐれもお身体の方お大事にしてください・・・」巻




「・・あれっ!?・・・アナタ・・・」義母



「・・・・・・・・」ドン

「・・・・・・・・」女帝

「・・・・・・・・」千夏

「・・・・・んっ?」右翼

「・・・・・・・・」巻






「・・・・・・・誰っ?」義母





くく・・・



無双の悪漢だ・・




踊った・・・俺の手で東京が・・・

完結だ・・・いや・・逃げ切った・・・







その日の夜、六本木の交差点に集まる若者、不良やキャバ嬢達

その中には巻や千夏、愛羅やリオや香奈まで・・


六本木を埋め尽くす程の花・・・

まるでこの交差点だけ天国のようだ・・



「巻君・・声掛けてあげて・・」香奈

「ああ・・」巻



もし、たった一言でも届くのなら・・・


もし、これが最後の言葉なら・・




「愛してるよ・・・」巻




「ふわっ・・」




「・・・風ぇ・・・」リオ

「うん・・」香奈



最後にやさしくこの六本木に風が吹いたような・・

いや、この交差点を突き抜けて行ったような・・





薄紫色の・・風が・・








新時代の不良共の抗争終結。

この最終決戦の六本木騒動は当然報道されるはず・・

報道各社では・・


「おっ。新時代の記事?ふんふん・・遂に実名か・・」編集長

「あっ・・でもやり直します。もっと報道っぽく」


作っている記事を読む編集長にフリーの女性記者だ。


「・・・恋の交差点か・・」編集長


「ええ。伝説の恋の交差点って見出しで・・

 ・・やっぱ書き直しますっ。

 こんなの記事らしくない書き方ですよね」


「・・いいじゃねえか・・新時代っぽくて・・」編集長


「いやっ言葉の使い方も下手で・・

 しかもこれ悪党を賞賛してますね・・。やっぱ駄目だ・・」


「お前がこの新時代に入れ込んでがんばってたの知ってるよ

 寝ずに渋谷や六本木に毎日取材に行ってたのも」編集長


「いや・・お恥ずかしい・・夜はバイトも兼ねて・・」


「・・変わろうやっ報道も。

 このまんま出せ!俺が許可する。新時代の報道だ!」編集長


「はいっありがとうございますっ。じゃあっこれで!」




何度も何度も読んでしまう。自分が書いた最高の記事。

そして不思議なのは、何度見ても涙と笑みが両方出てくる事・・






伝説の恋の交差点


新時代の完結




通称・ひいらぎ 流李 


本名 岸谷 刀真とうま 16歳


伝説の殺人集団渋谷殺戮を受け継いだクソが付くほどの悪党。

巻がすべてを受け継がそうとした逸材の持ち主で、

進藤・長山を殺した実行犯であり、

最後に躊躇無く亜美と巻をひき殺そうとした両性愛者。

自らの車もその後支柱に突っ込み、

この交差点で僅か16年の人生に幕を閉じる。

その後の事故調査では、

車の進入角度から巻を狙ったものと断定される。

兎に角真っ直ぐで止まる事無い男で

支柱に突っ込む際にも一切の躊躇やブレーキ痕は刻まれていなかった





通称・巻 太一  


本名 ひいらぎ 流李 17歳


東京街賊悪漢拳鍔初代総長

その後伝説のチーム渋谷爆撃を復活させた恋多き人。

躊躇無く圧倒的スピードで新時代を駆け抜けた無双の悪漢。


過去の渋谷で、

千夏の弟で冷血な不良巻太一を殺してしまった進藤を助ける為

熱い男だが冷血な不良巻太一に成り代わり演じきった男。

その事で好きな千夏と兄弟になる矛盾で葛藤した人物。

巻太一が実家から盗って逃げた金を進藤と奪い

その金ででかくなった四部夜や拳鍔のシノギ・ネットワークは

今も不良グループとは思えないほどの資金・力を生み出し続けている。 


新時代で文句無しの東京制覇を成し遂げた男。

だがこの六本木や渋谷・・いや新時代からは消えて行く。



愛してるよと・・・



最後に言って・・






五十嵐 空  通称・亜美 17歳


音速喧嘩無頼部隊横浜爆撃総長

六本木に咲いた新時代一の華。

初めて個人で不良指定された人物で、

伝説のチーム横浜爆撃を僅か17歳で受け継いだ女。

妖艶なる容姿と情熱と統率力と頭の良さを持ち合わせた、

新時代最先端の思考回路と判断能力。


現役最速最強と言われる単車に乗れば、

薄紫の恋の色が残り香となって、

風に靡いては、消えていく。

最後隣に走る巻の単車に足を伸ばし

巻の単車の方向を僅かに変えた・・



六本木一の恋の華が・・

この六本木に散る。




愛してるよと・・・



一度も言えぬままに・・








最後に絶望感や臆病さからまた夜の街に逃げ込んで、

時代の終わりにくそ嘆いて、くそもがいて、

今日も朝が来るのを恐れてる東京中のクズ共にこの言葉を捧げたい。

夜の街でしか生きれなくってもいいじゃねえか

負ける事で嘘が剥がれちまってもいいじゃねえか

悪党でも華は咲く。目の前の壁を突き抜けろ。

悪党達よ輝け。夜の太陽達よ。

大丈夫っ今日もまだ始まったばかりだ。


まだお前等クズ共の

夜は終わらねぇよ。

 




街賊悪漢 新東京クズ  完





ご愛読ありがとうございました。

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