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街賊悪漢 新東京屑  作者: 火村虎太郎
===あと一人===
72/73

68. 恋の交差点

最終決戦は、ゼロヨン。


静止状態から加速し、400mでのタイムを競う競技・・


「ゴールは・・交差点」巻

「ええ。」亜美


「交差点?」中根


分かる奴には分かる・・この意味が・・



そしてゾロゾロとこの場所に集まってくる不良達

もう最終決戦だ。五人以上とかルールも無用だ

やるのは、巻と亜美だ。他はあくまでギャラリー


「巻っ」千夏

「はいっ」巻


もう、私に東京ミッドナイトサーカス継がすだとか、

自分が東京爆撃隊継ぐとか関係なしに・・ただ・・


「受け継ぎ・・私の単車。突き抜けて・・これで・・」千夏

「わはっ。ありがと千夏さんっ」巻


千夏は分かっている・・何をするかを・・


千夏の伝説の単車・・火の玉ZⅡ

あの時、この交差点を唯一突き抜けた単車・・


「くっ・・・伝説の単車受け継ぎやがった・・」中根

「・・・・・・」亜美


亜美もこの単車には憧れていた・・


「ふふ・・大丈夫よ・・亜美ちゃん」前東爆総長

「あっ!お疲れ様です。はいっ!・・えっと・・何が・・」亜美


亜美の憧れの女の人だ。

この亜美でもこの人の単車には敵わない。


「あげるっ。私の単車。これで五分でしょ」前東爆総長

「わああ!ありがとうございますっ」亜美


「うおっ・・こっちも・・伝説の単車・・」中根

「前の東京のドンの単車ね・・」巻


前の東京のドンが乗っていた伝説の単車だ。

こちらも、火の玉ZⅡ。


二台の火の玉ZⅡ・・


「慣れないから、違和感ある?」前東爆総長

「巻はどう?」千夏


巻と亜美が双方の単車にまたいで・・


「・・溶け込んでいく・・」亜美

「一体化してる・・俺と・・」巻


何か波長が合ってるというか・・


(へへっ・・匂い・・気のせいかな?)巻


何か、歴代のオーナーの匂いまでしたような・・


亜美は・・


「ウォン・・ウォン・・」


軽く吹かせば・・


「ぴったり・・・何もかも・・」亜美

「うんっそうみたいね」前東爆総長


これはこの二人の感覚だ。

他の者には辿り着けない天才の。


自分の思ったとおりの回転数に音・・

ここまで回せば、ここ・・

ここまで回せば、この音・・


僅かな手の動き・・気持ちさえ、このバイクは感じ取ってくれる。


これなら・・・突き抜けられそう・・



そして、この最終決戦のルールは簡単


「えっ?交差点突き抜けたら勝ちなの!?

 タイム・・先着順じゃなくて?」中根



「ああ・・アクセル全開でな」巻

「ふふ・・」亜美


ここからあの交差点に・・


要は・・事故るか事故らないか・・

生きてれば勝ち・・

死ねば・・負け。


びびってアクセル緩めても負け・・


数十年前にあった伝説・・

前に、巻と亜美の何気ないデートでの会話・・


~~~~~~~~~~~~


『ねえ知ってる?』

『何?』

『昔この交差点で伝説があったの?』

『赤信号に今の東京のドンとか女帝とかが突っ込んだんでしょ』

『そう。次の女帝候補だった人はここで亡くなったんだって』

『唯一抜けたのが、今千夏さんが乗ってる単車らしいね』

『すっごい恋だったんだってその亡くなった人と東京のドン』

『ふふ・・恋か・・新時代よりも熱かったのかな?』

『ははっ・・分かんないよそれは。』


ここで、鳴り響くクラクションの中

口付けたまま死んで行った人が居た・・


恋の交差点・・

不良には、そんなこじゃれた言い方で今は呼ばれてる。



『・・するっ?』亜美

『ははっ・・するっ。』巻


二人共知っている。

くだらない若者の恋のおまじないというか・・


不良やこの六本木で遊んでる若者ならみんな知ってる事・・

この交差点でキスすれば、

二人は幸せになれるなんて都市伝説が一人歩きしてる

バカらしい・・

誰かが言い出したのか、始めたのか、くだらない迷信だけど・・


「・・っ」


単車に乗ったまま口付ける二人。


少し恥ずかしく笑う二人・・

いい不良が、こんな迷信を・・


~~~~~~~~~~~~~~~~




そして今、この恋の交差点で、

華を咲かそうとしている・・新時代の・・




だがこれだと、引き分けの確立の方が高い・・

両方突き抜けるか・・


「いや・・両方・・・やべえじゃねえか・・」中根


両方、交差点に進入してきた車にぶち当たるか・・



そしてこの戦いが変な逃げの戦いにならないように・・

いわば、こちらが交差点を抜ける時に完全に青信号ではなく・・



「計るよ・・こっちが黄色になった時からね」亜美

「ああ・・」巻


この位置から、まずあの交差点の正面の信号が黄色になって、

この交差点に左右から先頭の車が顔を出すまでの時間・・


「11・・12・・13っ!。13秒!」中根


これが正直どうなのか・・

この飛び出した車も遅かったのか、早かったのか?

もう少し信号が変わる前に見切り発信したり、

信号が変わったのに少し気づくのが遅れれば

一秒や二秒は違うし・・


「・・大体400CCのバイクの最速のゼロヨンタイムが・・」


横浜爆撃には単車に詳しい奴は大勢居る・・


「12秒!?それじゃあこの条件じゃギリじゃ?」中根


ここからこの多少デコボコした道路に単車なら・・


「正直、亜美でも13秒がいいとこ・・・」

「亜美、やっぱり止めろっ!」中根


やはり、このタイミングのスタートだと丁度当たりそう・・


「ぶはは・・いいじゃねえか。なあ?亜美」巻

「そうね」亜美


いつだって新時代はギリギリの戦いだ


これなら五分のはず・・

そして天に委ねる事も出来る。運命を・・


ゼロヨンで・・あの交差点を突き抜けた奴が勝ち・・

ギリギリ横から車が出てくるタイミングより前に・・


「・・・五分じゃないぞ・・やっぱり巻の不利」

「ああ・・アクセルワークにギアチェンジ・・」

「スタートでタイヤ滑らしても終わりだ・・」


それほどシビアなタイミングだ・・

だが運も左右するだろう・・。

進入が遅れて、バンバン車来ててもすり抜けられる事も・・


「大丈夫・・亜美が見えるから。

 運は考えない。スピードで抜ける。」巻


「ふふ・・そうね。」亜美


どうせ、僅かに先に出るのは亜美だ。

巻とは、まずスタート力が違う。



そして大人達も・・・


「・・・おもろい事やってんな新時代は・・

 止めろ言うても、きかへんか・・もう・・」


「俺の単車と、あの人の単車か・・」



近くで隠れて見ていた東京のドンや女帝達の前に現れたのは、

日本の暴力団のトップに立つ人物とその女帝・・


巻が受け継いだ単車の初代持ち主だ。

初代エースオブドラゴン総長で

そして愚連隊史上最高傑作と言われた男。

とはいっても、初代はもう20年以上前の話だ


「ええ・・止めろと言って止めるような不良じゃないですし」


迷惑が掛かるから止めろと言って解散させても、

どうせ、この上の人間が居ない時にまた集まって・・


「結局やりますね・・

 だったら、この一番いいタイミングでやらせたい」


「ああ、下手に口出して奴等の温度を下げない方がいい」


どうせなら一番抜けれそうな条件で・・

この一番熱い今に。


「最終決戦やろ?見届けんとな。新時代か・・」

「ふふ・・・決着付けれそうだな・・・俺とあの人の」


「決着・・?代理戦争ですか?」



「ああ・・死んだあの人とは、直接やり合えなかったからな」


前の東京のドン・・

時代が違うってのもあったが・・


俺の単車(巻)か、あの人の単車(亜美)で・・


勝手な事かも知れないが、置き換えてる代理戦争と・・

時代を超えた・・


だが・・



「抜けろっ・・・」

「ああっ。絶対抜けぇよっ!両方っ」



「ええ。・・抜けろ・・・・新時代達よ・・」



時代の混沌を・・



「きゅっ・・」


無言で東京の女帝がドンの服を強めに掴む。

何か掴んでおかなければ不安で・・

いや、大声出しそうで・・

お前等絶対抜けろよっ!・・って。


二人共当事者だ。あの交差点の・・


抜けれられずに死んだ女帝候補と一緒に車に乗っていたドン

あの単車で、ただ一人抜けた女帝。


だから誰よりもその思いは強い・・

抜けろっ。



「狂恋黒華渋谷爆撃か・・」

「ええ。復活するにふさわしい男です」

「ええんちゃう。ええ男やわ」


あの交差点・・


何度もあの単車で通った・・

時には二代目渋谷爆撃総長の彼女を後ろに乗せて・・

そして今三代目があの交差点に向う・・



色々な思いが蘇る六本木・・

ここで始まった恋に、終わった恋・・






「次のタイミングでいい?」亜美

「ああ・・」巻


次にもう一度黄色になったら、スタート・・



緊張の一瞬・・


すでに、この巻と亜美の後ろは・・



「ちょっと通行止めね!」不良

「引き返して~ここから通行止めね~!」不良


進入出来ないように、すべての車を引き返さす。


道路の真ん中で待ち構える二人・・


「巻っ!」「亜美っ!」「巻君!」「亜美さんっ!」


二人を呼ぶ声・・俺達の魂ってわけじゃないけど・・

何か力になっていけ・・この思いが・・



抜けろっ・・



「パッ・・」



遂に信号は青信号へ・・

これから黄色になった瞬間がスタート・・

新時代の最終決戦の・・



それでも、まだ数十秒はあるから・・



「亜美ぃ・・」巻

「なに?」亜美


二人共抜けたら・・


「抜けたら・・俺の女になってくれや・・」巻

「・・・うん。」亜美


それに、まだ一度も抱いた事ないから・・


「今日抱くぞ・・抜けたら・・」巻

「うん。」亜美



「くっ・・どうして、じゃあこんな事に・・」中根


もうみんな薄々気づいている事だ。

愛し合った二人だと・・



それでも決着を・・新時代のトップを・・

新時代の抗争の終結へ・・



「・・・ブルっ・」

「ブルっ・・」


見ている者たちが震えだす・・・

当事者より周りの方が緊張している・・


もうすぐだ・・。何となく分かる・・信号の長さくらい・・


もうすぐ・・

黄色に変わる・・



もう誰もが無言に。巻と亜美も・・


最後に目が合いお互いやさしく笑った・・


「ウォン」「ウォン」「ウォン」「ウォン」


あと少し・・


スタートダッシュが肝心だ・・

このアクセルを吹かすタイミングよ、ぴったり合えや・・



そして不意にやって来る・・




六本木の何もかもがバチンっと止まったような・・・




「パッ!」




「ウォンオオオオオーーーーー!!!」

「ウォンオオオオオーーーーー!!!」



「いったぁーーー!!!」

「しゃあ!タイミングばっちり!」



よしっ!。タイミングもバッチリ。

タイヤも滑らないギリギリで飛び出せてる。

そんなに亜美とも離されてない。

後は・・・ギアチェンジとかあるけど・・


アクセル・・


「開けるだけ開けてお前に付いてくぞーーーー!!」巻

「ギアのタイミングは私に合わせてー!!」亜美



二人で抜けるんだ。


この・・



恋の交差点を。

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