60. 最後に残った・・
次の日の渋谷の事務所では、いつもの審議だ・・
「はいっセーフセーフ。」
「だから、人殺してセーフはないって」
「巻ぃ・・・」
「はいっ」巻
何を言われるのか・・
この東京のドンに・・
「追い詰められてるのはお前だ・・わかるか?」
「・・・はいっ」巻
「・・・これで東京取れなきゃ、さすがに口出すぞ・・」
「・・はいっ」巻
そりゃそうだ・・ここまでして取れなきゃ・・
「東京から所払いにするぞ・・」
「悪でも結果出せばいい・・」
「勝てば官軍・・」
圧倒的な者が居て、抗争はやっと治まる。
中途半端な悪党なら居てもまた抗争を生むだけだ。
いつも抗争には死人が出る
上が関与してもしなくても・・
この人達は幾多の抗争に関わってきたから分かってる・・
「いつの時代もどれだけ少ない死人で抗争を終わらせるかだ。
いやっ、東京を取れるかだ・・」
「・・・重々承知してるつもりです。」巻
「もしくは、殺さぬ為に動き回る圧倒的女帝が必要・・」
「時代が、かぶるからいけないのよ・・」
千夏と愛羅の事だろう・・
どっちかが居なければ、もう決着は付いていたのかも・・
確かにそんな気がする・・
だが長山を取った。これが巻に取っては最善の策だ・・
巻家では・・
「降りる・・」お手伝い
「なっ!恐れてるの?たかだか17のガキに・・」義母
長山が殺された・・
こちらに強力なメッセージだ・・
向かってくる者は・・・
撃ち落すと。
「・・降りる。敵わない・・悔しいけど・・」お手伝い
飛び切りだ・・奴は・・
媚びない、屈せない、諦めない・・
過去のこの東京のすべてのアウトローの中でも
ベスト10に入るほどの逸材、才能だ・・
「足りない物が無い・・東京を取る者として」お手伝い
「何がいいの?具体的には?」義母
「・・・躊躇が無い所とスピード。」お手伝い
思考回路が動き出す前よりすでに行動してるような・・
これで、このくそ先輩達はこの件から手を引く事に・・
次の日に流れるニュースを見る亜美に中根
『昨夜、六本木で不良同士の大きな抗争があり・・』
「ふ~・・噂では、聞いてたけど・・」中根
「・・・・・・」亜美
昨夜、長山が殺された時に聞こえていた騒ぎの音・・
『渋谷爆撃と六本木飛鬼が六本木で鉢合わせ、
大乱闘の全面戦争となり・・・』
「鉢合わせって・・六本木だから行ったのは渋谷だろ」中根
「渋谷爆撃って言っても殺戮でしょ?」亜美
あくまで渋谷爆撃は巻と流李だけだ。
『通称、不良娘お水ルールにより・・・』
六本木飛鬼が脱落。
「捕まえられたか・・・」中根
「やさしくかな?・・」亜美
『尚、別件で同時刻に不良指定されていた
元、湯島爆撃総長が通り魔に襲われ・・・・』
「長山ぁ・・咲き乱れたぞ・・お前の悪党ぶりは」中根
「うん・・強かったよ・・巻の次に・・」亜美
もう、抗争を離脱してるはずの長山が殺された。
これも巻の仕業だ・・
誰もが巻が襲撃された仕返しだと思っている。
確かに悪いのは長山達だ。
OBが人数引き連れて金の為に潰してしまおうなんて、
上にも弾かれるし、東京の不良派閥からも弾かれるだけだ・・
だがこれで、遂に残り横浜と渋谷・・
巻と、亜美。
「気合入れようや、中根君」
「おう、頼むぜナンバー2」
「やっと、仕返しが出来るな」
「最高の舞台になったじゃねえか」
昔からの横浜爆撃のメンバーと亜美は色々な思いがある。
千夏に掘られた『ヤリマン』の文字に・・
「まだ寝たきりなんだぞ・・亜美の兄貴」
「ああ、巻を同じようにしてやるよ」
「えっ?でも俺ナンバー2でいいの?」中根
この中根は、いわゆる外様だが、
メンバーや亜美からの信頼は厚い。
(あれっ・・じゃあ、今俺、東京ベスト4じゃ?)中根
「東京ベスト4か・・かっこいいなぁ」
「だな、元々その器だよ、中根君は」
「あっ・・」中根
「どうしたの?顔真っ赤にして?」亜美
「いや・・はは・・」(心読まれたのかと思ったよ・・)中根
何もしてない気がするが、生き残る事が何より大事だ。
やられても諦めず最前線で居る事が。
(全面戦争・・タイマン・・それともこの・・)亜美
すでに最終決戦の事を考える亜美
「2対2の最終決戦ってのも、あるの?」
「さすがに全面戦争は、上も許さんだろ・・」
もう残りふたチームってなればお互いのチームの兵隊は増え続ける。
六本木の残党も、巻に恨みの有る奴は横浜に。
勝ち馬に乗ろうとする奴は渋谷に・・
さすがにこの大人数での全面戦争は、上も許さないだろう。
これだけの人数がぶつかれば・・
「だろうね・・多分死人が相当出るだろうね」亜美
「うっ・・俺の責任がでかくなっていく・・」中根
「いや、でかいよ。中根君の存在は」
「ああ。タイマンだと今現役だとぶっちぎりだしな」
「もう居ないんだ・・突き抜けた奴、現役で・・」中根
「流李ってのが、めっちゃ強いかもよ」亜美
強い奴は居た・・爆撃総長に進藤と長山、あとは原西・・
だが、今は本当に巻と流李くらいしか頭に思い浮かばない
巻・流李
亜美・中根
今、これが東京ベスト4だ。
最後に残った四人。
この誰か一人でも脱落すればあっさり決着が付きそうだ・・
だが、不利なのは横浜だ。
今東京は巻が実質総取りだ。
湯島にも巻が入り・・
六本木の飛鬼は解散・・・六本木も巻が制覇
いや・・六本木だけじゃなく・・
「もう東京制覇してるんじゃ?」中根
「言わないでそれ。・・でも大丈夫」亜美
決着は付けるはず・・
(でないと、みんな納得しないよね・・・巻ぃ)亜美
口付けたのを思い出す亜美。
あの時の気持ちは二人とも嘘じゃなかった
自然と絡み合った舌・・
お互い、愛してるはず・・
「亜美ぃ・・さみしそうだな・・」中根
「いやっ・・はは・・
千夏は決着付けたがってるだろうなって」亜美
千夏は・・
「巻っ勝てよ。もう後継者争いは、私の勝ちだけど」千夏
「へへ・・」巻
長山・リオがすでに敗れて、
爆撃総長と、愛羅、千夏の戦いは千夏の勝ち。
だが・・
「先に家の問題か・・」千夏
「やっぱ、恐いね・・巻家の力は・・」巻
あのお手伝いとして巻家に来て、
巻と千夏から金を取り返そうとしたクソ先輩は・・
「消されたね・・」千夏
「一生、死体も出ないだろうね・・」巻
あっという間に行方不明だ・・
そしてこれが千夏と巻への強力なメッセージだ・・
「利子つけて15億返しなさいって・・
そうしたら何もかも水に流してあげるって義母が」千夏
「でないと行方不明になるって?・・」巻
巻家の金を攫ったのは・・・
「ごめんね・・巻き込んで・・」巻
「ううん・・私も5億貰ったし・・」千夏
攫ったのは、巻と進藤だ。
だが進藤が巻を庇う為に自分だけがしたように・・
進藤が拳鍔脱退と共に持って行こうとした事実の一つだ
巻は無関係。自分が巻のすべてを攫ったと・・
「殺されるくらいなら、殺してあげた?」千夏
「・・・・・」巻
「・・汚名というか・・汚れる前にか・・」千夏
巻の罪をかぶって消される前に?。
「奪ったのは俺・・・」巻
そう・・・
奪ったのは俺・・
金も
アナタも・・
「ねぇ千夏さん・・・」巻
「何?」千夏
「もう無理なのかな?・・・やっぱ・・」巻
二人の恋は・・
「・・・色々手は有るけど・・」千夏
拳鍔得意の籍を変えたり・・
周りは兄弟だから無いとは思ってるけど・・
「血も繋がってないしね・・」巻
「ははっ・・当たり前じゃない」千夏
でも、この恋多き悪漢は・・
「アナタ一体誰が一番好きなの?」千夏
この千夏もよく理解している巻を・・
「千夏さん。・・・次に・・」巻
「次はいいっ。言わなくて」千夏
「・・・はいっ」巻
それでも、アナタが好きだからここまでやって来た・・
「引退するわ・・・私。」千夏
「うん。もう勝負付いたしね」巻
千夏の現役引退・・
「でも、約束・・・」巻
「突き抜けたら、全部あげるってのね・・」千夏
私も単車も、エースオブドラゴンも・・
「いいよ。勝ったら全部あげる。」千夏
「へへっ」巻
だけど・・・
「私は一回だけ・・・」千夏
「え?・・じゃあ・・付き合っては・・」巻
「兄弟でしょ?」千夏
言い聞かさないと・・・兄弟だと・・
「違う・・・」巻
「・・・怒るよ・・」千夏
恋人って関係では無い二人。
あくまで巻の熱烈ラブコールに、
たまに千夏が、かわいくて応えてるくらいだ。
それでも、何度かは本気で愛し合った・・
「嫌いなの?」巻
子供のようだ・・やっぱりこの人の前だと。
「好きよ・・かわいいし・・でも・・」千夏
兄弟って・・言い聞かしたから・・
それに、周りに兄弟ってバレてしまったから・・
付き合ったら、明らかに白い目で見られる。
すべての嘘が剥がれ落ちる・・
「過ちだったのよ・・体の関係は・・もうしない」千夏
「・・・でも、勝ったら・・」巻
本当に最後・・・
「付き合えば?・・」千夏
「・・どれと・・」巻
いや、どれかは分かってる・・この千夏さんは・・
「気にしないよ・・いや気にするのは向こうか・・」千夏
「そうだね・・周りが止めるだろうし・・裏切りだしね」巻
絶対に叶わない恋がもう一つ・・
「似合ってるよ・・亜美って子と・・」千夏
「・・・どうしたらいいの・・俺・・」巻
何か、どこかで聞いた事あるようなセリフだ・・
でも正直答えが出ない・・・
それにアナタのことを一番愛してるのに・・
「言えばすっきりするよ・・」千夏
「愛してるって?・・・」巻
(でも・・もう・・戦いたくない・・亜美とは・・)巻
抗争が・・
終わる?
恋で・・?
もう戦いたくない二人。
最後に残った恋・・




