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街賊悪漢 新東京屑  作者: 火村虎太郎
===あと二人===
58/73

54. 夜明け前の街

単独池袋に突っ込んだ巻。


だが、この駆け巡る情報に皆パニックだ・・


進藤をやったのは巻と進藤の子飼いの兵隊。

その事は、誰もが気づいている・・


進藤をやったのは巻。



だが、この池袋で暴れる巻に渋谷は動かなくては・・


「行くぞっ巻が負けたら、

 渋谷・・千夏さんの負けでもあるんだよ!」鉄也

「しゃあ、長山ぶっ叩いてやるわ」コバヤ


だが、動けない・・・


拳鍔は。


「何やってんだ原西!

 エースも全部池袋に向かうぞ」鉄也

「早くっ。嫌いだけど巻が負けたら抗争が終わる」コバヤ


「・・・千夏さんは何て?」原西


聞いて置きたい・・・


「いや・・進藤をやったのが巻だと分かって、

 千夏さんは何て言ってるんだ?」原西


もう誰もが、進藤をやったのは巻だと思っている。


「・・・勝てば官軍・・」鉄也

「くっ・・」原西


分かっている・・この原西も。いや、原西だからこそ。

進藤が横浜に流れれば、四部夜ごと無くなっていた事を

そして大きく抗争は横浜に傾く事も。


「巻は最上の結果を出した・・

 しかも躊躇なく・・」鉄也


「これが抗争かぁ!?」原西は踏ん切りが付かない。


あれほど慕っていた兄貴分さえ、いとも簡単に・・


「簡単じゃなかったと思うぞ・・」鉄也


分かってる・・そんな事は・・

だけど東京制覇と進藤の命ってのは・・・


「そんなに重くて、

 そんなに軽いのか!?・・人の命は!!」原西


「忘れちゃいないか?ここは・・」鉄也


天下の喧嘩処・・クズ共の都・・


「東京だ・・・新時代の。」鉄也


しかもアウトロー史上最低の


いつからこんな事に?

特にこれは原西が思う事だ。


何も抗争する理由も必要も無かった拳鍔だ

シノギ・金・渋谷・・

これさえあれば女も寄ってくるし。いい顔も出来る。


「・・・やらなきゃ飲み込まれてたぞ・・」鉄也

「亜美さんか、長山にね・・」コバヤ


本当にそうなのか?

いや、それでも死人が出るよりかマシじゃないのか?


「・・俺は負けた人間だから言えるのかもしれんが・・」原西


負ける事は、そんなに恥じるべき事なのか?

勝つためには何してもいいのか?


「考えるな・・お前の大将だろうが」鉄也

「行きましょう・・でないと負ける」コバヤ


拳鍔とエースオブドラゴンは池袋に向かう。



~~~~~


六本木


「じゃあ、またね~リオさん」大輝

「うん。じゃあちょっと用事で急ぐから」リオ


アフターを終え小走りに走り出すリオ


「ありゃ・・よっぽどだな・・」大輝


遠くなるリオを見送る大輝


早く・・

もっと遠くに・・路地に・・


でないと・・



「うわあああんん・うぐっ・・うぐっ」リオ


この泣き止む事のない涙を誰にも見せたくないから。


しばらくして・・


「おえっ・・おえぇ・・」リオ


泣きすぎで嗚咽も止まらない・・



「・・・リオ・・どっちに行く?」



それでも周りに側近の兵隊は居る。

昔からの連中だ


どっち・・


愛羅の居る進藤の病院か・・

巻の居る池袋か・・



「・・・湯島・・・」リオ


「・・・わかった。」


意外な答えだが信頼しているリオの事を。


~~~~~~~

池袋



まだ、撃ち落せない・・


「くっ、早く仕留めろ!渋谷が向かってくるぞ!

たった一匹なんで撃ち落せねえんだ!」劉

「いや・・アッパレ・・強いわ・・喧嘩」長山


巻がまだ一人で奮闘している・・

そこへ・・


「ウォンウォ・・」


「ちっ、さすが情報も早いな・・」劉

「横浜か・・」長山



横浜爆撃も池袋に登場。



(巻・・・)亜美


「・・イカれてる・・そして意味が分からん

 負けたら終わりだぞ・・

 これじゃあ進藤を殺した意味も無くなるぞ」中根


(・・・進藤を殺してまで守った物はなんだ?

 進藤がウチに入れば得ていた物は何だ?)亜美


四部夜・・金・・シノギ・・


(そしてこの茶番劇はなんだ?)亜美


そして渋谷の援軍も到着。


「拳鍔参上だこのやろう!」

「しゃあ!死にてえ奴はどいつだ!」


「くそっ!来やがった・・」長山

「撤退しよう・・横浜も居る・・」劉


このまま渋谷とぶち当たったら、横浜に漁夫の利でやられる


だが・・


「初陣には、ちょうどいいじゃねえか・・」長山

「・・確かに。・・それに・・」劉


よく見ると明らかに温度差の有る拳鍔メンバー・・


この池袋に対して前線で睨み合う者と・・


「原西か・・」長山

「・・そりゃそうだ・・」劉


原西の周りで動けずに居る者・・



「拳鍔が割れるか?」中根

「・・・割れる。」亜美


原西は長山側に攻撃を仕掛けるでもなく

ゆっくり巻の方に歩いて行く・・



「・・・突っ込むか亜美?・・拳鍔の半分は動かんぞ・・

 今なら五分・・いや、巻取れるぞ」中根

「・・・動かずとも長山が動く・・」亜美


割れるはず・・拳鍔が・・

そして、それを狙う長山。

今、横浜も戦力は十分ではない。出るなら最後に・・


巻がいつもの調子で・・


「へへ・・携帯電源切ってた・・

 死んだんだってね・・進藤君・・」巻



変わらずだ・・巻は。この事件に・・この茶番に・・

だから込み上げて来る・・


「ドッ!」


「なっ!原西っ」「止めろ!原西」


原西が巻を殴打。


「・・・・何?痛いよ・・」巻

「何じゃねえだろぅが!!」原西


どうしてそんなに感情も抜け落ちてるんだ・・



「・・・みんな聞かせてくれや・・」原西


巻にこのまま付いて行くのか?

原西を頭に再始動するのか?


「・・・拳鍔に・・」「・・拳鍔・・」「拳鍔・・」


拳鍔だ。・・巻でもなく原西でもなく。

これも新時代の不良の逃げだ。

どちらにも悪くない言い方で・・



「欲しいんならあげるよ・・・拳鍔。」巻

「・・・抗争はどうなる?」原西


(・・・巻が拳鍔を抜けるのか?

 渋谷殺戮一本?・・もしくは・・・)亜美


エースオブドラゴンに加入?


亜美の思考回路が高速に回転する・・


巻が拳鍔を譲る・・・

こうなるようにする為に進藤を殺した?


「だが抗争は続く・・たとえ巻一人でも」亜美

「ああ。ただ新チームが増えるだけだ」中根


くく・・・そう。

気づいた?でも正確には、ちょっと違う・・・


「俺が今から拳鍔を仕切る・・四部夜もだ・・

 二代目拳鍔として・・」原西


拳鍔は、ここから再始動。



「長山~っ五十嵐ぃ~」原西


「何?」亜美

「なんだよ?」長山


「名乗っとくわ・・・二代目拳鍔の頭の原西だ」原西

「くく・・じゃあウチも・・」長山


長山も再始動。


「5代目爆撃紅蓮の長山だあ!」長山


「ちっ・・・・」中根

「名門か・・」亜美


爆撃の総長の前に居たチームである。

こちらも爆撃系の中じゃあ名門中の名門である。



「エースとの連合も破棄するわ・・。

 どうせ巻がそっち行くだろ。・・それでいいか?」原西


「・・・ああ。分かった」鉄也

「えええ!・・・マジかよ・・」コバヤ


「どうぞ・・。渋谷殺戮は持ってくね。」巻


「・・じゃあエースは引き上げるぞ・・」鉄也


エースオブドラゴンは、これにより撤退。


これを、見た池袋側は・・


「・・長山ぁ・・」劉

「くく・・おうっ・・」長山


こんなチャンス逃す訳が無い。


「名乗っただけで帰るのか?二代目~」長山

「くく・・んな訳ねえだろ!突っ込め二代目拳鍔だあ」原西

「しゃあ!行けっ!爆撃紅蓮参上だ!」劉


「うおおおおおおおおお」

「うおおおおおおおおお」


真ん中で巻だけが取り残される


お互い壮絶な乱闘。

だが巻だけが動かずにポツンと居る。


「・・・せつねえな・・」中根


誰も巻には目もくれない・・

巻を取れば渋谷の負けなのに・・

まるでもう終わった不良のように扱うだけ


一人うつむく巻


(・・・狙いはなんだ?巻の・・)亜美


この天才の・・


きっと巻の描いた通りのはず・・


だが、しばらくは答えが出ない。


「ちっ・・この辺で止めとけ」原西

「くっ、こっちもだ!」長山

「くそっ」劉


お互い引き際は分かっている。

踏み込み過ぎれば、横浜に漁夫の利でやられる事を。

今がギリギリだ。双方の戦力は。


それに、ギャラリーも集まりだしてごった返している。


「巻が抜けたみたいだな」

「池袋で二代目拳鍔と爆撃紅蓮が、いきなりぶち当たったか」

「横浜は傍観か・・」



「どうする?今、三つ巴の戦力は五分・・

 それに、巻なら絶対に取れるぞ・・」中根


まだ巻を見ている亜美

本当に、すぐ取れそうだ・・

一人でポツンと寂しそうに・・


(いやっ・・誘ってる・・・巻が・・)亜美


心の奥で笑ってるはず・・


「参加するな・・」亜美

「ああ。もう拳鍔も爆撃も撤退か・・」中根


お互い撤退模様

まず急いで戦場を離脱したのは長山


「帰る・・と見せかけて・・湯島狙うぞ・・」長山

「かはっ悪党だな」劉


長山が超絶な隙を狙うがリオの方が一枚上手で、

すでにリオの率いる兵隊で守備は万全だ。


原西が帰り際に巻に近づき・・


(どんな考え、理由があったにせよ、

 進藤君をやったのは許せん・・だが・・)原西


「ぐっ!」っと巻の頭に手をやり・・


「・・・がんばれよ・・巻・・」原西


それでもかわいい・・このバカたれが・・


(バカタレが・・巻ぃ・・巻ぃ・・)原西


この原西が一番寂しそうだ・・

進藤も巻も失う・・共に渋谷の闇を生きた仲間を・・


「うん・・さよなら・・よろしくね拳鍔を・・」巻


そう・・・さよなら・・拳鍔・・


引いて行く波・・

ただ巻だけが取り残される。

拳鍔のメンバーの単車の後ろに乗ってる者は、

振り返りずっと巻を見てる。


それでも、この巻の寂しそうな光景を見れば・・


「バッ!」

「すまん、行ってくれ」


「バッ!」

「原西君後頼んだ・・」


「バッ!」

「俺、巻と死ぬわ・・」


何人か単車の後ろに乗って巻を見ていた者が、

単車を飛び降り、引き返して巻に合流。


「・・うん・・助かる・・」巻

「巻ぃ・・最後まで見届けさせろ・・」

「ああ。お前の東京制覇を・・」

「まあ、なんつうか・・熱くなっちまったし・・」


まだ渦に飲み込まれようとする若者達


「・・・ふるいに掛けたか・・」中根

「結果的に少数精鋭か・・強いぞありゃ・・」亜美



亜美との示談成立・・

進藤の死・・

巻の拳鍔脱退・・

池袋で二代目拳鍔と爆撃紅蓮が激突・・


一日で、こんなにも東京が大きく揺れた夜・・



「巻ぃ・・抗争関係なしで送って帰ろうか?」亜美


「・・・ああ。ありがと・・」巻


巻が、これでもかってほどに寂しげに佇んで居たから・・


「亜美ぃ・・」中根

「・・いいの・・」亜美


今、狙えば巻を取れる・・

たった数人の仲間と巻だ。


「いいんだ・・今の巻狙ったら横浜の格が落ちる」

「ああ。巻取ったところで渋谷にはエースオブドラゴンが居る」

「だが、巻取れば渋谷は脱落だぞ・・」中根


一度負ければ終わりの抗争だ。

確かにここで巻を取れば、千夏の渋谷はお終い。


だが・・


「乗りっ・・」亜美

「ありがと・・」巻


不思議な絵だ・・


亜美の運転する単車の後ろに巻。


「ウォン・・」


小さくなって行く二人の乗った単車のテールランプ


「・・帰るか、もう夜も明ける・・」中根

「ああ。夜明けで抗争も終了だしな」


抗争は夜だけのルールである。


「・・・はっ!!!」中根

「どうした?」


中根だけが気づくルール・・・

この抗争に色々ルールはある・・


『頭の残機は、一人、一機』

(気を失うなど、動かなくなったら負け)


『不良娘お水ルール』

(お水の頭(リオ・亜美)は捕まえられれば負け)


『抗争は夜だけ』

(昼や、襲撃・闇討ちは無効)



そして・・・


『六本木・渋谷・湯島以外での戦闘は禁止。』


誰もが忘れていたルール・・・

流れでそうなってしまった・・

湯島を追い出された長山・・

突っ込んできた拳鍔・・


そう、ここは池袋・・・


巻は・・拳鍔脱退・・

横浜は傍観・・


明確にギャラリー、証人の居る中、ルールを破ったのは・・・


爆撃紅蓮と・・



「二代目拳鍔・・・」中根



悪党の笑い声が、ここまで聞こえてきそうだ・・



スピードを上げ続ける亜美の単車が

夜明け前の街を切り裂いて行く。


「ぶはははは・・・・」巻

「・・元気じゃん・・」亜美


拳鍔で・・・

長山取り。


そう・・後は、この東京で・・


「お前だけだよ亜美・・」巻

「ははっ何言ってんのよ急に。意味分かんない」亜美


俺くらい・・・悪党なのは・・


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