53. アウトロー史上最低
巻が六本木から一人で向かった場所は・・
「・・書置き・・」巻
リオとの密会の部屋だ。
久しくリオとは会ってない。
『今日は、お仕事で帰るのは2時頃になります。リオ』
いつ来るかも分からない巻に書いた書置きだ。
「もうここで寝泊りしてるのか・・」巻
部屋を見渡せば生活感が有る。
洗濯カゴに入れられた洗濯物や冷蔵庫の中身・・
ゴミ箱の中を覗くと・・
「ゴソ・・」
取り出せば書置きだ・・
いつも何度か書き直してるみたいだ。
綺麗に・・丁寧に・・
そして言葉を選んで・・
「会いたい・・か。・・」巻
一番最初に書いてボツにしたのか、
ゴミ箱の一番奥から出てきた書置き。
今日は巻もリオに会いたいと思っている。
というより、すぐに家に帰りたくない。
ソファーに横たわり・・
「・・・・んっ・・・・寝てたか・・」巻
気がつけば2時を過ぎている。
もう書置き通りなら帰って来てもいい頃だが・・
「もう少し待とう・・・」巻
最初の『会いたい』の書置きの文字が滲んでいたから・・
(・・・本当に好きなのかな・・
何が好きなんだろ・・こんなクズの・・)巻
クズだ・・
今日だって、ここに居るのは、
ただ新しい体で寂しさを埋めようとしてるだけだ
(・・もう帰ろう・・
電源切ったままだから、みんな心配してる)巻
心配どころではない・・
巻は書置きを残して部屋を出る。
『来たよ。居ないみたいだね。また来る。
あと湯島頂戴。欲しいものあったら交換しよ』
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六本木
「じゃあ次は、みんなでカラオケ行っちゃうか!?」
「おおーいいっすね~」大輝
「もうっ、まあいいか大丈夫リオ?」キャバ嬢
「・・うん・・一時間だけね・・」リオ
リオは帰りたい・・というより、このアフターを終わらせたい。
大輝だけなら断れるが、別の女の子のお客も居るので、
無下に断る事も出来ずにいる・・
(くそっ・・あと一時間だけ付き合おう・・
そして早く動き回らないと・・)リオ
当然今日の、この超ド級の情報はリオの所にも入って来ている。
横浜爆撃が参加。
進藤が・・・死亡。
「くそっこんな時に仕事か・・」
「しっかりガードは固めて置けよ」
「ああ・・今日が一番危ないぞ」
「他は情報収集に走れ!」
「後、愛羅さんにも人数回せ」
飛鬼の兵隊である。
みっちりリオと愛羅のガードだ。
これは長山の周りも同じ考えだ。
誰もが、この超ド級の混乱を警戒している。
もし行くならまとめて行くはず・・この混乱、隙を狙って。
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池袋
「ちょーすけの周り固めろ!」
「蟻一匹通すなよ」
「もし狙ってくるなら、今日が一番やべえぞ!」
「・・・こんなに一日で動くのか・・抗争って」長山
「長山・・チーム名もう一回考え直せ」劉
一刀両断の頭だ。今はこのチームのナンバー2だ。
池袋は中華系の不良も多い・・
そう・・最初は安易な考えで、『東京一撃』にしようとしたが・・
「爆撃の名前は絶対入れろ・・しかも・・」劉
「名門じゃねえと、こっちが格負けか・・」長山
横浜爆撃の登場でおかしな事になっている・・
「今、総長にあいさつ行ってるぞ・・五十嵐」劉
「あいつが・・五十嵐が女だったとは・・」長山
これは拳鍔からの情報だ。
あの後すぐ渋谷の事務所で横浜の卒業アルバムを見直すと、
五十嵐空で、女子の所にきっちり亜美が居る。
てっきり『空』は男の名前だと思っていた為、抜け落ちていた。
この超ド級の混乱に、どこからでも情報が欲しい拳鍔
長山達に情報提供を求める代わりに亜美の正体を教える。
「ウチも何か分かったら拳鍔に情報渡してやれ」長山
「ああ。そこは律儀にしてやらないとな」劉
拳鍔はもう大慌て。いや、大混乱だ。
進藤が死亡。巻が行方不明。
「上も緊急会議だってよ・・」劉
「死人出たからな・・」長山
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渋谷のヤクザ事務所
「・・・・自首か。」
「ええ。僕がやりました・・裏切ったのが許せなくて・・」
渋谷殺戮のメンバーが自首。
といっても、まず警察よりこの東京のドン達に・・
「・・・そういった演技は、ここでは無用だ・・」
「そうね・・こんなうまい事・・」
「誰が考えたって分かる・・」
巻の仕業だと・・
「空白まで作ってな・・」
「あくまで抗争の相手じゃない・・」
「無所属の何時間の間に、んで・・」
進藤が拳鍔を脱退して、横浜爆撃入りする前の一瞬の間で・・
「存在してるかどうかも分からない内部チーム・・」
「まあ、形は進藤の子飼いの兵隊・・」
「内部抗争に付いては、ルール触れてないしね・・」
すべて、グレーだ・・
「まだ、お前は一応ウチで預かる」
「警察にはすでに、身柄確保って伝えてます」
「ええ。いつでも出せますが、その前にウチで処分をと・・」
だが、この渋谷殺戮のメンバーがこれ以上しゃべる事は無い・・
あくまで個人の恨みでやったと・・
「過去最悪の抗争だな・・」
「最悪か・・・」
「最低の間違いじゃない?」
死人が出たからではない。
過去の抗争では、もっと死人が出ている。
「最強の武器が嘘って・・」
「ステージがグレーのみ?」
「逃げ優先というか・・」
大体過去の抗争には地名等が入るが・・
東京大戦争・池袋大戦争・爆撃戦争
第一次六本木戦争
第二次六本木戦争
新六本木戦争・渋谷戦争・・等
「アウトロー史上最低の抗争だな・・名づけるなら」
「恋心抗争でいいんじゃない?」
「それ、いつも・・」
いつだって、抗争は女が恋が主役だ・・
「残るは、巻と爆撃と五十嵐ね・・」
「五十嵐の空ちゃんに誰か賭けてるの?」
「いやっ。誰も・・」
上の評価は低い・・五十嵐の
「愛に溺れるタイプだな。」
「一番やさしいからな。」
「不良に向いてないよね。」
好き勝手な判断と読みだ。
「でも爆撃って、大きい範囲で賭けるの汚いよね・・」
「だからオッズ低いじゃねえか」
ルーレットで言えば、1~36の数字に賭けるのと・・
たった二つの赤か黒かを賭けるようなもんだ。
だが・・
「ルーレットには、0も在るのよ・・」
「37分の1でか・・」
すべて・・弾け飛ぶ事も・・
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池袋
「ちょーすけっ来たぞ!来たっ!」
遠くで誰かが・・
「・・・・誰が?」長山
「ん?総長?五十嵐?」劉
「潰せぇ!」
「なっこのやろう!!」
「くっ、すぐ返り討ち・・強いぞやっぱ!」
「なんだ?乱闘が始まってんな・・」長山
「ちっ、誰だ!?人数は!」劉
「一人っ!一人です!」
「一人で突っ込んで来たぞぉ!」
「潰せぇ!こんなチャンスねえぞ!」
聞こえていますか?・・・・
この熱き咆哮が・・・
「街賊悪漢拳鍔参上だあぁ!」巻
俺の・・
悪党のメロディーが・・・
東京制覇への・・
渾身の・・
無双の・・
悲しみの・・
メロディーが・・・
踊れ・・・
俺の史上最低の悪党のメロディーで・・・・東京。




