50. 消えることの無い屈辱
「なんだあいつ・・」原西
「・・・・・・・・」巻
「ビターーーーーっ」っとビルの壁を前にしてくっ付く大輝
(不良だ・・
しかも学校に居るレベルの不良じゃないぞ・・)大輝
壁に向かって直立不動で不良が通り過ぎるのを待つ。
だが・・
「どうした?巻?刺客か?」千夏
(うっ・・巻っ!!?俺でも知ってる超ド級の不良だ!)大輝
「・・・・・・」ゆっくり巻が近づいて行き・・
反対を向いて見なくてもわかる・・
今、猛烈に近い位置に居る・・
息の音さえ聞こえそうなくらいに
「スンっ・・・」と巻が
「行くぞ巻。どう見ても一般人だ・・」原西
「だな。」千夏
(ふ~・・凌いだ。やっぱ恐ぇ六本木は・・)大輝
最後、巻が僅かに匂いを嗅いだような・・
「・・どうした巻?匂い嗅いで・・」千夏
「悪党の匂いがするかどうか」巻
「す・・するの?」原西
くく・・・
するよ・・ほらっ・・もうここでプンプンしてる・・
「あらっ、ちょうどか・・」亜美
「プンプンだな・・六本木中に」巻
「ん???」中根は何かダンボールを抱えて登場
「押忍っ総長お久しぶりです」コバヤ
引き寄せる・・甘い蜜のように・・
それは巻も千夏も一緒だ。
この亜美も・・
だが、みな少しずつ種類が違うというか・・
それぞれ独特の匂いを持っている
店内に入れば、すでに三代目が・・
「おうっ、こっちだ」三代目
「失礼します」千夏
「どうも・・」亜美
「巻、座りぃ・・」千夏
「えっ、でも千夏さんが・・」巻
千夏は巻だけを座らせ、原西と後ろで立ったまま
亜美達も同様に亜美だけが座る。
「ガチャ・・」「ドン・・」
「んっ?あれは?」三代目が入り口の兵隊と箱を見て。
「ああ・・一応、入り口のガードです。
箱はウチの交渉のカードと・・」巻
「ええ・・ウチのです。」亜美
ダンボールが二つ・・
「あくまで俺は立会人・・では、どうぞ・・」三代目
「では・・」巻
「ええ・・」亜美
まず動いたのが亜美
「パラっ・・」
「・・・・」巻
「何っ!このやろう本気なのか!?」原西
亜美が一枚のステッカーをテーブルに・・
『二代目東京街賊悪漢拳鍔』
「・・・まず、一つ目の要求がこれ・・」亜美
亜美に拳鍔を譲れ・・との意味だ。
「・・・貧乏人ね・・何個要求するつもりかしら・・」千夏
「うるせえよ・・」亜美
「またぶち壊してやろうか!ああ!?」千夏
(『また』・・やっぱり、面識が有るんだ・・この二人)巻
「くく・・まあ、これは簡単な話・・」亜美
「ええ、想像の付く事だから、
キリのいい数字用意してるわよっ原西っ」千夏
「はいっ」原西
(ほうっ・・100万か。このステッカー、一枚が・・)中根
(100?へへっ俺にも、お小遣いくれるかな?)コバヤ
「ドンっ!」
「えっ?」中根
「んっ?」コバヤ
原西が入り口のダンボールを亜美の横に置く
「・・一億。」千夏
「くはははは・・さすが。
この私の拳鍔二代目は無かった事に。」亜美
そういって亜美がステッカーを破り捨てる・・
(す・・・すげえ・・一億奪った・・ステッカー一枚で)中根
(あれっ?・・あのダンボール・・)コバヤ
コバヤだけが気づく・・
千夏の部屋に山積みにされているダンボールだと・・
気が付いたコバヤは顔が真っ青だ・・
(も・・もし、あの部屋のダンボール全部金だったら・・・)コバヤ
「さて・・あと一つだけ・・」亜美
「どうぞ・・受けるかどうかは、分からないけれど・・」千夏
(どうした?・・・巻がまったく動かない・・)中根
言葉を発するどころか、下を向いてうつむいたままだ。
そして亜美の狙い・・
東京を制覇する為の狙い・・・
「コバヤは、そちらに返す・・」亜美
「えっ!?」コバヤ
「・・・助かるよ・・そうしてくれると」千夏
(うっ、総長っこんな俺でも・・うれしいっす)コバヤ
コバヤが千夏の部屋を知っているからである・・
「私もアナタを置いて置くのは不安なの分かる?」亜美
されど元千夏の側近で熱烈信者だ・・
「で・・でも、俺亜美さんに色々お世話に・・」コバヤ
「じゃあ、千夏やエースの人間を殴れる?」亜美
「無理っす・・・・」コバヤ
(そう・・コバヤは、もしかしたら、
いや、最後の最後で裏切る可能性が・・
惜しいがこれが最善なのかもしれんな・・)中根
(くく・・なるほど
だが亜美の情報もオマケでこっちに来るって事だ
これは、きっとウチの方が圧倒的に得だ。)原西
唯一、巻の言う事聞かないで和が乱れるかもしれないが、
それでも、亜美のところに居るよりはいい。
「・・・・・・」巻
「またエースでがんばれ・・」千夏
「・・・・・・はいっ。
でも亜美さんとの抗争には参加しません」コバヤ
あくまで亜美以外の勢力となら・・
「うん。まあ助かるよ。こっちもそれで・・」亜美
「おうっ爆撃だけ、くそ潰してくれよ」中根
「はいっ。俺は俺の出来る事を」コバヤ
「うん。まずはいわゆるチーム解散で二代目の件は金で解決。
そして、元兵隊の復帰ね・・・」三代目
一応声に出して確認する。
周りにも異論はないか・・
(よし、ここまで100点・・)亜美
そう・・これは亜美の東京制覇への布石だ・・
「・・まあでも、それじゃあ圧倒的ウチが損だから・・」亜美
(ちっ、やっぱり手前が損な事だけはしないか・・)原西
動き出す・・亜美の策略が・・
「・・・・・・・」巻
「トレードって形にしようと思ってね」亜美
「なっ!」原西
「このやろう!」千夏
トレード・・・不良トレード・・
亜美はコバヤを出して、
いや、出した代わりに・・
「・・・・・・」巻は、まだ動かない。うつむいたままだ
(さすが・・。認定されるだけあるな・・五十嵐・・
発想がおもしろい。不良トレードか・・)三代目
そしてここ・・・。これだ・・・。
時代を引き寄せるなら・・。
「進藤寄こせやっ!」亜美
「なっ!ふざけんなこのやろう!」原西
「受けれない」千夏
(わはっ!すげえ。コバヤの1000倍いい。)中根
当然受けれる訳が無い・・
進藤を寄こせって事は、さっきのステッカーもそうだが・・
結局・・
「拳鍔寄こせって言ってるようなもんじゃねえか!」原西
「ふふ・・違うわよ・・」亜美
正確には・・
「四部夜のシノギごとよ」亜美
「このやろうぅ!」原西
進藤が動けば、そのほとんどが動く・・
進藤の居ない拳鍔なら抜ける連中も多いはず・・
「バッ!」っと、三代目の方を見る千夏
「・・・まあ、それが向こうの示談の条件で、受けれないなら・・
お水ルール認定で・・・」三代目
結局、拳鍔が潰される事に・・
(ちっ・・何やってんだ香奈は!
ぜんぜん有利じゃねえじゃねえか!)巻
薄情だが期待した・・
抱かれはしなくても、
何か正義を訴えかけるものでもあればと・・
認定されれば取り返しが付かない。
あの先輩達のオールスターに木っ端微塵に潰されて、
東京から叩き出されるのがオチだ・・
(ふふ・・)三代目
この巻の僅かな感情の変化にも気づく三代目
「ああ・・そうだ・・巻君、・・ご馳走様・・」三代目
(うおっ!やりやがった香奈!だけど、何で?)巻
有利に運んでない・・
「・・・それと・・・亜美も・・」三代目
「ええ。お粗末な体でしたが・・。」亜美
香奈・・・ありがとう・・
(マジか!?亜美が抱かれた?三代目に?)中根
(巻・・自分の彼女出したのか・・)千夏
お前(香奈)が、引き戻してくれたのか五分に・・
でないと圧敗だった・・
「・・・巻ぃ・・」千夏がやっと巻に声を掛ける
「・・・当然受けれない・・別の案に・・」巻
当然そうだ・・この巻が一番分かっている。
今この東京の現役では進藤が一番重い・・
その重みでパワーバランスが一気に傾く。
「くく・・じゃあこれか、もう一つ出しましょう。選んで・・
じゃあ・・おいコバヤ」亜美
「んっ?はいっ」コバヤ
「ズボンとパンツ脱いでくれる・・」亜美
「・・マジっすか・・」コバヤ
「マジっ!」亜美
少し恐そうに言う亜美に押され・・
「・・・はずいっす・・」コバヤ
下半身むき出しのコバヤ
(・・・何する気だ?)原西
ふふ・・弾け飛べ・・・何もかも・・
威厳・風格・拳鍔・エースオブドラゴン・・
「くわえろや!千夏ぅ!
お前が私にヤラしたみたいによ!」亜美
この人前で・・
消えることの無い屈辱を・・




