47. 敗戦の船
「くそっ!どこ!?進藤君!」巻
呼びかけに答えが返って来ない・・
これで嘘じゃないと分かる事実に変わる。
(進藤くん・・)
巻がそれでもまだふらふらと前線に・・
「ガシっ!!」
「うっ!・・」巻
一瞬の隙を突かれた・・
後ろから捕まえられる巻。
しかし・・
「・・・撤退だ・・お前が取られると終わる・・」原西
「なっ、原西くん・・」巻
「おらっ!潰せ潰せ!」
「踏め踏め!踏めぇ!」
もう、あそこしかない・・
少し前に先輩方が何かを踏みつけている・・
この大乱戦でイチイチ倒した相手になど深追いはしない。
体力の無駄で相手にも隙を与えるだけだ
それでも・・
「おらっ!おらっ!」
「おらぁ!」
「・・・勉強になるな・・」爆撃総長
「ええ・・あれが大乱戦の主役達ですか・・」長山
この総長でも思う事が・・
タイマンではこの先輩方に勝てても、
乱戦・抗争では、勝てないかも・・と。
「進藤しか見てないですね・・」長山
「他に殴られようが、横から蹴られようが・・」総長
最初から攻撃は進藤のみに。
「・・先を見てるんですか?」長山
「ああ。もう意識なくなってるのにまだ続けてるのは・・」総長
すぐに復帰させない為・・
知っている・・抗争を。
潰せる時に潰せる奴を・・
いや、そのキーマンを徹底して・・
「バキっ!」
「しゃあ!片方折ったぁ!」
「まだだ!まだ!」
「いや、先輩方俺が!」
「いや、俺がやります!」
群がる・・
戦勝利権みたいなもんだ。
もう、向こうも進藤を取った事で大勝利だと分かってる。
先輩を使ったとはいえ、初戦でまさかの大金星。
(そんな・・進藤くん・・)巻
「巻っ!早くしろ!お前等も!」原西
「おうっ!」
今度は巻の撤退の道を開く拳鍔のメンバー達
原西に引っ張られながら後退して行く巻
まだ群がって行くバカ共が見える・・
俺も一蹴りでもと・・
先輩方も見てる絶好のアピールポイント・・
「おら~進藤ぉ!」
「ははっ無茶しやがるぜ、最近の若ぇのもよ」
「おうっ、やったれお前らも」
「原西くんっ!原西くんっ!
進藤君が死んでしまうあれじゃあ!」巻
「・・・ルールがあるから・・」原西
抗争で殺すまでやるな・・
撤退する巻を狙いに飛び込んで来る兵隊を、
蹴散らしながら後退する拳鍔メンバー
だが、まだこの乱戦の隙間から見える進藤を取り囲む群れ・・
「乗れっ!」鉄也
「おうっ、巻任した!」原西
横付けされた車に押し込まれる。
「ガラぁッ・・」
車の後部座席のスライドドアを閉め出す原西
最後にドアの隙間から、
少しだけ路上にダランと横たわる動かない腕が見えた・・
「ガチャ・・」
「よしっ」鉄也
そういって走り出す車・・
どこに向かう・・
この敗北・・敗戦の船は・・
「・・うおおおおおおおおお・・」
後ろで車越しにも原西君の突っ込んでいく声が聞こえた・・
「まだ抗争はこれからだ・・」鉄也
「・・・分かってる・・」巻
まだ負けじゃない抗争は・・俺が取られてない限り・・
でも、今日は完全に・・敗北・・
どうして?いつ?何が悪かったの?
俺が・・
「うわあぁぁん」巻
弱いから・・
「泣くなっ!東京一の悪党が!笑え!いつものように!」鉄也
そう・・でないと押しつぶされる・・
「・・くくっ・・やるじゃねえか・・長山ぁ・・」巻
「おうっ。それでいい。次の手ももう打ってある」鉄也
こう?これでいいの?東京一の悪党は?
でも無理だ・・
「・・・うわあぁぁぁぁぁん」巻
これほどまでの敗北は味わった事が無いから・・
そして拳鍔の熱き咆哮もすべて撃ち落された六本木の路上・・
まだ進藤の周辺に群がる者達に・・
「帰るぞ・・」エースオブドラゴン三代目総長
「押忍っご迷惑お掛けしました・・」爆撃総長
「ありがとうございましたぁ!」長山
(くく、やった!流れだから、お咎めなし。)
ま先輩使うのはルール違反ではあるが、
流れでそうなったし、先に手を出したのも巻だ。
「ああ・・そうだ言うの忘れてた・・」三代目
進藤の隣には、唯一ピクピクと蠢いている原西が・・
「示談交渉は、俺が立会いになってるから・・
ちゃんと上にも報告しないといけないからね。」三代目
「・・・しく・・ねがいしま・・す」原西(よろしくお願いします)
これも示談が決裂すれば、お水ルール認定である。
これを遠くで見てる・・
「行かなくていいんですか?」リオ
「・・・・・・・・」愛羅
この乱戦の情報を聞きつけ、
僅かな兵隊と共に六本木に舞い戻ったリオ
「拳鍔が初戦を落とした。・・ただそれだけ。」愛羅
「・・・・本当、憧れます・・・愛羅さんに」リオ
こちらは・・
「ちっ・・今兵隊何人居る?」亜美
「・・全部で10・・」中根
(ちっ・・六本木駐屯は無理か・・最低30欲しいな)亜美
そう、今微妙に宙に浮いているのが六本木。
渋谷は、エースオブドラゴンと拳鍔
新宿は、爆撃本隊
池袋に、長山
湯島に、飛鬼
六本木には、飛鬼と格チームの僅かな兵・・
(ほうっさすが拳鍔だな・・無傷の兵を残してる・・)亜美
まだこの六本木の権利を主張出来るように・・
「・・・・・・・・まだ、居るな・・・」亜美
「えっ?何がですか?」コバヤ
巻・進藤・原西クラスの悪党が・・
「コバヤ、気をつけろ・・アイツに・・」亜美
「エースオブドラゴン?
いや拳鍔・・っすね、あの文字は」コバヤ(かっけえな)
新しく作ったグッズなのか、覆面に街賊悪漢の刺繍の文字。
全身もお揃いの黒で覆った、
ギャング系のような・・いや、ギャングチーム・・
この乱戦の後でも4~5人で六本木に駐屯する拳鍔?のメンバー
いや、この敗戦で遂に出さざるを得なかった・・
渋谷の闇から連れて来た・・
輝いている?
いや、異彩?
暗闇でさらに黒く光る何かなような・・
この六本木の夜にも溶け込めてないほどの悪党の匂い・・
(別部隊か?いや渋谷大連合内?拳鍔内?)亜美
正確には拳鍔傘下の・・である。
もっと言えば、四部夜の一部に僅かに居る若者達である。
「はあ!?亜美さんっアイツ等の背中の刺繍!」コバヤ
「・・・すげえな・・見習うわ・・巻の底力・・」亜美
「どういうこと・・あっ!エースオブドラゴン系か!
復活してんのか!?すげえ・・」中根
「くく・・・知ってる?
ああ・・そう?くくく・・」
真ん中の男が立って・・
「よく見て覚えといてよ・・巻君最後の隠し玉・・
いや巻君の親衛部隊・・四部夜最高のクズ部隊・・」
そう言って男が振り返り背中の刺繍を見せ付ける。
チーム名さえ表に出さずに渋谷の闇を血に染めて来た・・
四部夜の血なまぐさい事件や、
表に出せないような事件のその殆どがこの連中の仕業だ。
受け継いだ主義・主張・・・
「いつでも上等、殺人ギャングスタだから俺等・・くくく・・」
「・・東京街賊悪漢二代目渋谷殺戮・・・」コバヤ
「行くよ・・」亜美
「やっかいなのが出て来たな・・拳鍔の殺しの軍団か」中根
過去にも不良チームとしても認められなかったチームだ。
不良じゃなく、ただの犯罪集団だと。
「ぶははははは・・・」亜美
「んっどうしました?」コバヤ
「何?怖っ・・亜美。」中根
そう。でかけりゃ、でかいほどいい・・
もっと出せ・・お前の全てを・・
ふふ・・大丈夫・・
示談で丸呑みしてあげるから・・
巻ぃ・・
かわいぃわ・・
クソ悪党すぎてっ




