46. 乱戦の勝敗を動かす物
~~~湯島~~~~
湯島に駐屯する飛鬼のメンバー達
「これからよろしくお願いします」リオ
「おうっ。きっちり上納入れてくれれば、
どこが仕切ろうが文句ねえから。
ルールだけはしっかり守ってな。」地元ヤクザ
とは言っても、最初にそれなりの挨拶料・・保証金払うので、
この湯島のヤクザは下はコロコロ変わってくれた方が実はありがたい。
「高くないっすか?最初の場代っていうか・・保証金
これ返って来ないんでしょ?」
「あと月々の上納も・・街も大しておもしろそうじゃないし」
「いやっ、安いくらいだよ。でも儲けるなぁヤクザって・・」リオ
だが、リオ達はこの湯島の使い方がよく分かってはいない。
だが長山を叩き出すことの意味は大きい
いや、それより拳鍔がここを得る意味・・
いや、もっとデカイのは絶対に五十嵐に取られなかった事
五十嵐と湯島があれば大渦になる。
だが何より、これで巻に褒められる。
いや、巻への交渉のカードだ・・
(ふふ・・誰の未練断ち切ってもらおうかしら・・)リオ
一人、一人・・・消えて無くなれ・・私よりかわいい女は・・
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この湯島陥落を千夏にも伝える巻
「そうっ・・やっかいね・・」千夏
(あっ・・言えないけど、やっかいじゃないよ・・)巻
(やられた・・これでもう長山は引くに引けない)亜美
「亜美さんっ!」コバヤ(すんません総長・・今は・・)
「亜美っ」中根
「おおーナイス!」亜美
「ちっ・・まあいいか逃げても」千夏
「ええ・・後日『示談』でって話で決着してます」巻
亜美を奪い、取り合えず千夏から引き離す。
とはいっても、お水ルールが認定されなかったので
すでにもう開放はしている。
「帰る所(池袋)はあるが、カッコがつかんぞ・・」総長
「ええ・・張りますわ・・タイマン」長山
「ばっ!止めろ、ちょーすけ!」
「勝てっこねえ、その怪我じゃあ・・」
「・・・・・・・・・」遠くで聞いていた亜美
この総長の『帰る所はある』に反応して動き出す思考
(・・池袋の長山・・渋谷の巻・・六本木のリオ・・)亜美
もう、五十嵐が飛び込む場所はあそこしかない・・
(新宿か・・綺麗な構図になるには・・・・
いやっ!違うっ。)亜美
「コバヤ、拳鍔が勝ったら、金持って池袋に走れ!」亜美
リオがそうしたように、地元ヤクザに挨拶料を・・
一つ先・・いや、もっと先を読む亜美の考え・・
「えっ?どうして?拳鍔の縄張りになるんじゃ?」コバヤ
普通そう思うが・・
「潰された兵隊がそのまま全部拳鍔に入る事はない・・」亜美
「あっ・・拳鍔にも維持できるほどの兵力がないのか」コバヤ
池袋が宙に浮く・・
もう長山は勝つしかない。勝って池袋に逃げ帰るしか
「おおーやれやれ、池袋の俺等も後押ししてやる」
「渋谷潰したれや!」
「いや進藤だよっ進藤潰したれやっ」
「くそ進藤がよ!」
「はは、まだ現役かよお前っ」
「・・・くく・・うるせえよ・・カス共が・・」進藤
(やっぱ知ってるんだ・・)巻
進藤はどっちかって言うと、この前の世代だ。
歳も爆撃の総長の一つ上だし、
この前の世代達の一個下や同級にあたる進藤・・
だが当時それほど名前が売れて無かった進藤
なぜかと言うと・・
「年少で、さんざんやられたな、この糞によっ!」
「おかげで、やっとシャバか?ずっと出れなかったんだろ?」
「大事な青春時代失って、今年下の兵隊か?ははは」
「長山ぁやったれ~進藤はここに居る全員(前の時代達)が・・」
「嫌いなんだよ!」「嫌いなんだよ!」「嫌いなんだよ!」
(俺は、そうでもないが・・)三代目
(私も・・)12代目
(すっげー嫌われてる・・知ってたけど・・)巻
進藤の名前が当時売れてなかったのは、
シャバに殆ど居なかったからだ。
居れば、またその時代は変わっていたはず・・
(でも、当然勝つ進藤君が・・。やった、これで東京制覇・・
ありがと・・進藤君。ここまで来れたのも進藤君のおかげ)巻
ありがとう。本当に。
信頼できる大好きな兄貴分・・
ついつい、やさしく微笑んでしまう巻
だが、巻の勘違いだ。亜美・・五十嵐の存在を忘れている・・
それでも、湯島を取ればほぼ確定。
後は、亜美だけ・・
巻の笑顔とは対照的に、
前の方の罵声や怒りの表情はさらに増幅していく。
「もう殺してしまえや、俺がケツ拭いてやるから」
「愛羅とも、付き合いやがって俺も狙ってたのによ」
「どんなセックスしてんだ?聞かせろよ!タコ!」
「生き残るのに必死だな、年下に媚売って、
愛羅には、腰振ってってか?」
「トクン・・・」
聞こえそうなくらいに、心臓が動いたような・・
先延ばしにしていた問題・・
いや、触れたくなかった問題・・
これに一番早く反応したのが千夏。
「・・・・・・」ゆっくり、隣の巻の方を覗く千夏
「・・んっ?へへ・・知らなかったけど、大丈夫・・
裏切らないよ・・進藤君は・・」巻
「そうっ・・私はこれでもう好きじゃないけど・・」千夏
そりゃそうだ・・愛羅が嫌いな千夏
でもどうして・・・
言ってくれなかったの・・
「愛羅の事、巻が好きなんだってな」
「年下気にして糞だなお前、ええっ!?」」
「やらさせてやれや!お前の大将だろうが」
「愛羅も巻にならって言ったんだろ?」
「いい女だな、手前の男の為にやらせてくれんのか?」
「3pか?いいな~俺もまぜろや。ははは」
「どうせヤリマンだろうが!愛羅もよ」
「でないと、巻に殴られるぞ!わははは」
「女で出世する気か?わはははは」
「安泰だなお前のポジションも。愛羅のおかげでよ」
うるせえ・・
くそヤロウ共・・
「あっ!」千夏
「ドっ!!」っと行き成りこの先輩の一人を殴打
「お前っ、このやろう!」
「やる気か!俺等と!?」
「やる気だよっ!ぶち殺してやるよっ
俺が、拳鍔の巻だぁ!コノヤロウ!」巻
「巻・・・」進藤
(ははっやった。潰れろ巻っよしっここで・・)長山
(流れが変わった・・どうなる?)亜美
「何やってんだ!突っ込めぇ!『先輩』の援護だぁ!」長山
「おうっ!」
これは長山のファインプレーだ。
『先輩の』・・いわば先輩も引きずり込んだ形だ。
(ちっ・・しゃあねえ・・)進藤
「迎え撃てぇ!来るものすべて撃ち落せや!」進藤
「おうっ!」原西
「しゃあ!」
「ははっ、始まった全面戦争」亜美
「しかも、これいい勝負だ」コバヤ
「怪我の長山の代わりに応援で先輩達か・・」中根
とはいっても、参加してるのは三人の先輩だ
だが強力・・
いきなり大乱戦の六本木
もう入り乱れて・・
(くっ、どこに誰やら・・どこだ?進藤君は?)巻
「進藤くんっ!」巻
どこに居るかは分からないが呼んで見る。いや、声を出したい。
「おうっ!!」進藤
前の方で聞こえる自信に満ち溢れた声。
たったこの一言で全て語ったような・・
気にするな・・
今は目の前の敵を・・そして東京制覇を・・なんて。
(会いたい・・いや、触れたい・・)巻
本当は抱きしめたい・・
けど一度でも触れれば今は納得できる。
少し萎えかけた俺の弱い心をまた支えてくれる。
この、くそ俺の為に生きてくれる兄貴が、
この俺を作っている・・
(進藤君っ、どこだ!?進藤くんっ)
この乱戦を突破するほどの力を俺に・・
前へ前へ進む巻。
だが乱戦は前に進むほど敵の比率が高くなる。
(くっ、巻っ飲み込まれるなよ。来いっここまで)進藤
大乱戦になると、どこに誰が居るかも分からなくなる。
ゆえに、いきなり頭同士がバッティングする事もしばしば。
「くっ・・総長、出ますか?」
「・・いや・・出るな。あくまで拳鍔だけだ・・」千夏
どちらが押してるのかも分からないほどの乱戦。
間違えて味方を殴り倒す者も・・
だから乱戦は、不確定、不覚な事態が起こりやすいものだ。
先の見えない迷路だ・・全員が必死で出口を探す・・
ただ前へ、前へ・・
突き抜ける・・・。
そしてしばらくすれば、
ここ最近では聞きなれない不思議な言葉・・
「もう駄目だぁ、逃げろ逃げろ」
「うわああ・・逃げろぉ!」
「逃げろぉお!」
「巻ぃ!」「巻逃げろ!」「逃げろ巻ぃ!」
乱戦の勝敗を動かしだすのは言葉だ・・
喧嘩は先にこれを言い出した方の負けだ。
だが、実際の勝負は、今五分。
これは拳鍔のメンバーが勝ちより負けない事を優先した為の発言だ。
巻は、これをよく理解してるので退かない。
だが、これにより少し拳鍔が不利になる。
何人かこの言葉に乗せられ離脱していく者・・
ここで大事なのが統率力だ。
抗争でこれが重要なのがよく分かる。
一気に戦況を巻き返す物が必要だ兵の士気を高める。
言葉でも、意思でも、行動でも・・・
拳鍔は、これに恵まれている。
圧倒的カリスマが二人居る・・
「しゃあああああ!」巻
「うおっ!まだ巻君突っ込んでるぞ!続けぇ!」
「おうっ!これからだ!」
「援護だ!巻の道を開け!」
(よしっ!盛り返せるっ、後は・・)巻
そしてダメ押しで・・
この人の言葉で兵は一気に蘇るはずだ・・
最前線で戦うあの人の声で・・
これが統率力のカリスマだって思い知らせてやる・・
「進藤君がヤラれたぁああ!!!」
大乱戦なんて・・
うまくいかねぇや・・




