37. まだ終わってねぇ
まだ夜は終わらない・・
新時代流に言うと、
まだ終わってねぇ夜は・・か。
六本木の雑踏で・・
「おいっ、中根だ・・目合わすなよ・・」
「ああ・・・」
「おいっ、お前らっ」中根
(くっ・・)
(マジかよ・・)
最近評判の良くない中根
「ちっと、金貸してくれや」中根
「俺、こないだも貸したんですけど・・」
「ああ!?舐めてんのか?このやろうタイマン張るか!」中根
「そんなぁ・・無いものは無いし・・」
「・・俺が出すから・・いくらですか?」(これが無難・・)
「5万だ5万」中根
まあカツアゲである。
「くそっ、いつからあんな落ちぶれたんだよ・・」
「タイマン張れるわけねえよな、あんなのでもクソ喧嘩強いし」
「飛鬼も二代目になったしな」
「誰も付いていかねえよ、あんなクソじゃ」
さらに・・
「ビーーーーン・・」
「ガッ!」
「きゃあ!誰か!ひったくり!あの原付バイク」女
これも中根の仕業である。
「さて物色、物色・・
おっ結構、金入ってんな・・んっ?うおっ!」中根
バックの中を漁っていたら・・
~~~六本木のキャバクラ~~~
「もう最悪・・・」香奈
「香奈もやられたの?ひったくり?」
「うん。一応気をつけて、
カードとか貴重品は持ち歩かないようにしてたのが幸いだけど」香奈
最近多くなったひったくりに注意してるキャバ嬢達。
「キャバ嬢ばっか狙ってるの?」香奈
「そう。無難に金持ってるしね・・」
「あっ、あのお客さん・・」
「あれっ?・・あれリオの元彼だ・・」香奈
「んなっ?ここ巻の女の店か・・
出るわ・・これ、御代ね・・」中根
「いえっ。まだ飲んでもないのに、御代なんて・・」ボーイ
「いいから、じゃあな」中根
「ありゃ・・帰った・・」香奈
「まあ、居づらいよね・・」
「あの人って、まだ不良してるの?」香奈
「不良ってより、もう半グレ・・チンピラだね。」
良くない方で、上に上がったというか・・
しょうがなく引退させられたような・・
(くく・・うまくなったな俺も・・)中根
そう言いながら、中根が見てるのは・・
(バカが・・診察券に、ご丁寧に住所まで書いてある。
まさか巻の女のバックひったくるとはな・・)中根
それだけでは、巻の彼女とは、分からないが・・
(くそっ、こんなの張りやがって・・
むかつくわ・・別れろ別れろっ)中根
巻と香奈が仲良く写ったプリクラである。
しばらく歩いて・・
「いらっしゃい」亜美
「おうっ」中根
どっぷり・・お前の魔力にハマッてる。
「よく来てくれるね最近」亜美
「不良も一旦休業してるからな・・」中根
一旦・・一旦だ。そう言い聞かせてる。
「すみません、亜美さんご指名で・・」ボーイ
「うん。じゃあ、また後でね中根君」亜美
「・・おう」中根
「・・・ゴクっ・・」
っと、やる事も無いので、ただ一人で飲む酒。
この誰も女の子が付いてない間が大嫌いだ。
何かバカにされてるような・・
「こんばんは~」キャバ嬢
「おうっ、飲んでいいぞ」中根
やっと夜の遊び方も分かりだした。
ここ六本木じゃあ金持ってねえとモテねえ。
とにかく金だ。それはどんな金でも・・
「ほらっ、亜美が付いたお客のあの人・・」
「・・誰っ?すっげー羽振りよさそう・・」中根
「入れろ入れろっ、好きなの~」男
「わああぁっありがとう~」亜美
明らかに亜美の笑顔も違う。
それでいて隣で軽く客の足に手を置いてるのが目に付いた・・
何気にボディータッチ・・
たったそれだけの事でも
俺だけ相手にされてないような・・
「・・あれっ、もうすぐ捕まるよ・・」
「えっ?」中根
「会社のお金を横領してんだって・・あれただの平社員」
「・・・それでも、金は金か・・」中根
分かってる。ここは六本木だ。
金に種類なんてない。本物か偽札くらいかの差だけだ。
「中根様、ご延長の方は?」ボーイ
「・・ちっと用事あるから、今日はもう帰るわ」中根
結局、亜美は人気で回って来れずに帰る事に。
だが、送りはしてくれる。
「ごめん、中根君。・・今日、・・まだお金持ってる?」亜美
「んっ?ああ・・(いくら?5~6万なら)中根
「終わってアフターって言うか、食事じゃなく・・
・・・・・遊び・・・・行こうよ・・」亜美
「おうっ、いいぞ。終わったら電話してくれよ」中根
(しゃあ、誘いづらかったしな・・でも・・
『遊び』・・・何か、すっげー間があった・・)中根
遊び?・・隠語か?
亜美くらいの女が遊びって、カラオケって訳じゃねえだろ・・
とにかく分からんが・・
(もうちっと金稼いどくか・・)中根
とちあえずカツアゲである。
「おいっ今俺の事見たか!?」中根
「いっ・・いや・・(くそっ中根だ・・チンピラが)」
路地裏に連れ込み2~3発殴って・・
「すみませんでした・・」
「おうっ分かればいいんだよ、もう行けや」中根
(よし、5万か、これでいいだろ)
10あれば・・遊べるだろ・・
しばらく時間潰して亜美からの電話で合流
「行こっか」亜美
「おうっ」中根
って、腕を絡ませて・・
「ズンズン・・ズンズン・・」
けたたましく鳴り響く音楽
狂喜乱舞する若者
「こっち・・」亜美
「おう」(クラブ・・)中根
いつも六本木に居たって言っても、金も無いから路上だし・・
まだ本当の六本木を知らない事ばかりだ。
それでも必死で六本木の住民を気取ってる俺だ。
奥へ進み、VIPルームへ
「いらっしゃいませ亜美さん」ボーイ
「うん。色々用意して」亜美
「・・・・・・」中根
これが・・・現実だろうか?
本当にこんな事が日本で行われてるのか?
いや・・これが六本木・・
これが、六本木の最先端の・・
闇・・・
「あっ・・あっ・・あっ・・」
「ふ~~~ふ~~~~ふ~~」
「へへっ・・へへ・・ははは」
「はいっ中根くん」亜美
「・・おうっ」中根
って、かっこつけたけど・・
(ドラッグ・・向こうの奴なんて乱交してるぞ人前で・・)中根
「あれっ?嫌い?」亜美
ここじゃあドラッグの一つくらいキメないと、だせえ奴だ
「いや・・これっ火?」中根
きっと、煙を吸う奴?いや、直接?
「ああ・・普段やる時、注射器なんだ?
さすが知ってるね。本物を。」亜美
「まあな・・」中根
悪ぶってる・・この俺が・・本当は未経験・・
まあ不良指定されたチームの頭ぐらいだから、
世間じゃ東京でもベスト10に入る大悪だけど・・
「でも、ここはこうっ・・・オシャレにね。」亜美
って、亜美がストローで直接鼻に吸引
たったこれだけの仕草でもエロさを感じる。
「ふ~・・・どうぞ・・」亜美
「ああ・・」中根
そういってストローを渡してくれる
だが、躊躇・・
いや面食らってる。本当の六本木を見て・・
でも巻の顔が浮かんで来て躊躇も無くなる・・
あいつも、どうせ毎日こんな事してる・・
(薬キメて、乱交して・・そう、それが都会の不良だ・・)中根
「すぅ~・・」「ふ~~~」中根
(リオもこんな事してるのかな?
今時の女だったしな・・
それにしてもすげえ・・
乱交やってる女共なんて全員モデル級の美人だ・・)中根
「・・中根君も良かったらどうぞってよ・・」亜美
「・・ああ・・」中根
これが記憶にある最後の言葉だ。
気が付けば、精液まみれで寝転がる女に裸の俺・・
それでも、まだこの非現実に・・
「あはっ・・ははっ・・」中根
めったに、こんないい女抱ける時なんてねえ・・
貧乏根性だ・・立つ限りやりまくる。
もう亜美が居ないのなんて気にもしない。
鳴り止まない重低音のクラブミュージックが、
初めて心地いいと思った。いや心地いい理由がやっと分かった。
この破裂しそうな心臓の音と共鳴してまだ高ぶっていくような
これが俺が亜美に求めてたモノだったんだな・・
俺も本物の新時代の不良へ変わる為に・・
古臭ぇと生き残れねえ・・
これも修行みてえなもんだ。
だが薬も覚めて支払いの時に現実に戻る。
「用事で先に帰られましたよ。またよろしくって」ボーイ
「幾らだった?亜美が払ってくれたみたいだけど・・」中根
俺がトンでるウチに帰ったと・・
でも、支払いはしてくれたみたいだ・・
「えっと・・17万円お支払い頂きました」ボーイ
「・・うん。また来るから」中根
これがどこと比べて高いのか安いのかも分からないが・・
あれだけすりゃ・・安い。
薬キメて乱交して・・
ちょっと亜美が先に帰ったのが白状だなって思ってたけど・・
「ガチャ・・」とドアを開ければ、それも気にする事じゃない・・
「朝?・・嘘だろ?まだ客も一杯で踊りまくってたぞ」中根
時計を見ると、もう・・
「8時?・・そりゃ先帰るわ・・」中根
いつの間にかだ・・2時くらいに来てから、6時間・・
少し今出てきたドア・・非現実を振り返ってみる。
もう街は出勤や通学の人の流れなのに・・
(まだ、あのドアの中は・・)
夜が終わってねえ・・
「つつ・・頭いてえ・・」中根
こんな事普段からしてるのか?新時代の連中って・・
リオも・・巻も・・
何か・・・おかしくなりそうだ・・
家に帰って、あれだけクラブで『出した』のに・・
「くっ・・はあ・・はあ・・」中根
想像した・・あの乱交にリオが混ざってるのを・・
それを見ながら酒飲んでる巻とか・・
「くふ・・くく・・はは・・」中根
どうだ?俺のお古は?
どうだ?俺が愛してた女の味は?
どうだ?俺が・・・
「今でも、愛してる女の味はぁ・・・・・」中根
誰だ?
今、リオの体舐めまわしてる奴は・・・
誰乗せて・・舞う?
そのやさしき切なき才能は・・
この六本木で・・
「会いてえよ・・リオ・・」中根
誰よりも・・
ただ部屋の壁にもたれかかる。
目を閉じれば、あの時の雨が今でも体に纏わり付いてくる・・
六本木にサヨナラしようとした夜。
真面目に・・俺を貫き通そうとした覚悟・・
でも、まだ無様にしがみついてる。
まだ・・六本木に
それでも悪党にならなきゃこの新時代で生きていけねぇから・・
必死に悪党になって・・
もう一度・・この六本木で輝いてやる。
まだ・・・・終わってねぇ。俺の不良人生。




