30. 流した涙の分だけ・・
まだ六本木の夜は終わらない。
店を飛び出したのはいいが・・
(しょうがねえ、約束したしな・・)巻
リオから電話掛かってくるか次第だが・・
(くそっ、もう一台携帯持ってるの香奈にバレるかな・・)巻
当然メインの方は教えない。
(まあいいか・・次、次・・)巻
行きたい所は山ほどある。
歩いて移動してたら、やはり抗争中・・
不良共の視線が痛い。
だが、俺は澄ました顔で少しぎこちなく歩く
「くっ・・ありゃ罠だぞきっと・・」
「ああ・・・誘ってやがる行くなよ」
「何が、一人ですよアピールだ・・ひっかからねえよ」
くく・・俺も、うまくなったもんだ
裏の裏というか・・
だがしばらく歩いてたら・・
遂に六本木に登場
「東京爆撃隊参上だあ!このやろう!」爆撃総長
六本木に東爆の三人が出現
「押忍っご苦労さまですっ!」中根 (くく・・)
(くく・・なるほど・・)巻
これが新時代の先制攻撃だ。
「おら~!ご苦労さまじゃねえんだよ!」ナンバー3
「俺等は喧嘩しに来たんだ!喧嘩!」ナンバー2
「ドガ!」
「がはああ!」中根
問答無用にナンバー2が中根を殴打
だが中根がすぐ立ち上がり手を後ろに組み・・
「つつ・・押忍っ!。ごっつぁんです!」
「えっ・・いやっ・・」ナンバー2
「くっ・・それ言っちまうと・・」ナンバー3
「やな先輩がヤキ入れに来たみたいになるだろうが!!」ナンバー2
(くく・・そうだよ・・)中根
「おいっ拳鍔も居るぞ!」ナンバー3
「しゃあ~熱いじゃねえか六本木の夜も~!」ナンバー2
「くっ・・」巻 (見つかった・・)
「おらーー!」ナンバー2
「ドガ!」
「うぐ・・」巻
こちらも問答無用に殴打
これで一気に六本木がヒートアップかと思ったら・・
「押忍っごっつぁんです!先輩っ」巻が大きな声で
「えっ・・いやっ・・」ナンバー2
「ねえ・・東爆がヤキ入れに来たみたいよ」
「おお~巻なんて、もう一発どうぞみたいな顔で居るな」
「でもヤキって、やな先輩だな」
「かわいそうだよな・・」
聞こえてくるギャラリーの声
「くっ・・このっ新時代のクソヤロウ共がぁ!」ナンバー2
「汚ねぇ・・どの不良よりも・・」ナンバー3
「俺いつもこの仕打ち~」爆撃総長
(くくく。勝てるわけねえ。これが最善)中根
(ここは別格・・シカトシカト・・)巻
まあ、引き際が分からなかったが・・
六本木の特攻野郎が走って出現
「タイマン張ってくれや!」コバヤ
「わはっ」総長
「おおー」ナンバー3
「しゃあ俺にやらせろー」ナンバー2
(よしっ撤退、撤退・・)中根
(ナイスタイミング・・)巻
二人は自然にフェードアウト
たがこれが結構な騒動に・・
「ぐぱはああ・・うぐっ・・うぐっ・・」コバヤ
やはりあっさりやられるコバヤ
だがこれで多少の名前は売れる。
一人で東爆に突っ込んで行ったとんでもねぇ根性だと・・
でもこんな売名より撤退した方がいい。
東爆の総長が六本木に来たとなると・・
「押忍っお疲れさまですっ」歩兵連隊
「おうっ」総長
「お疲れ様でーーーすっ。お前等、あいさつわぁ!」長山
「押忍っ。湯島ですっ押忍!」湯島爆撃
他にも・・
「押忍っ自分どこどこの・・」
「押忍っ自分どこどこの・・」
六本木が傾く。この男が現れれば。
爆撃系が集まる集まる・・
「しゃあ、ヤキじゃヤキ!このくそエースが!」長山
「押忍っ自分等にやらさせてくださいっ」
「いえっ、指定されてない自分等が殺します!」
ここぞとばかりにアピール合戦だ。
不良の一番強くて恐いのは、
先輩が見てる時の後輩である。
「うぐっ・・うぐっ・・」コバヤ
あのコバヤでさえ無様に頭だけは蹴られないように必死でガード。
こういった時の後輩は、とにかく結果出そうとマジ蹴りしてくる。
(くそっ・・くそっ。言わなきゃよかった・・)コバヤ
カッコつけてタイマン張ってくれなんて・・
これを遠くで見てる非行少年数名は・・
「くそっコバヤぁ・・」
「どうする?」
「どうするも、何もできねえよ」
出て行けば、この爆撃の渦にあっという間に飲み込まれるだけだ
ただ犠牲者が増えるだけ・・
「総長(千夏)に一応連絡・・」
「いや、鉄也君(総長補佐)にまず・・」
渋谷に駐屯している本隊に連絡。
だが怒られるだけだ・・
「なんの為のゲリラ部隊だ!バカタレ!」電話の鉄也
「すっ、すいません・・でもコバヤがこのままじゃ・・」
「今、爆撃系何人だ?」鉄也
「4~50人かと」
(くそっ・・もう手遅れ・・
たったコバヤ救出の為に本隊出すのは・・)鉄也
「・・・今、なんとか逃げれたようです・・」近くにいる千夏に・・
「うん。よく手当てしてやれ」千夏
「・・・・はい・・」鉄也
(バカタレが、コバヤのやろう!
動かせるか!お前一人の為に総長を・・)鉄也
普通これだけの騒ぎなら警察介入で終わりそうだが・・
「なんだ?固まって?」警察
「集会っす。」ナンバー3
「ご苦労様です」ナンバー2
「んぐっ・・んんん・・!!」コバヤ
渦の中で口元押さえられて声も出せないコバヤ
この大人数に囲まれて警察も外からじゃ見えない状況
「迷惑かけるなよ。住民とお客さんに」警察
「はいっ。もうすぐ帰りますんで」ナンバー3
「んんー!!んっんんー!」コバヤ(終わった・・)
美学だと思ってた。
タイマンで負けても根性認められて許してもらえると・・
俺も新時代の不良
逃げ道は用意してたはず・・
いや適応しきれてない・・この新時代に。
さらに一枚も二枚も上でみんな戦っている。
俺だけ取り残されたまま・・進化してない・・
「さて帰るか飽きたわ」ナンバー2
「あれっ総長は?」長山
「とっくに一人で遊びに行ったぞ」ナンバー3
激しい渦は引いて行って、意識が戻っても体が動かない。
無様に六本木の路上で裸で打ち捨てられる。
油性マジックで、体のあちこちにうんこだ、ちんこだ、カスだ
湯島爆撃参上やら書かれ・・
他にも・・
「ははっ見てダサい。六本木ドーテー夜芸だって」
「六本木純情少年コバヤ君だってよ、わははは」
「湯島爆撃参上か・・。やっぱ強いな湯島」
街の住民に恥晒す・・
「くそっ見るなこの野郎!」
「コバヤ、大丈夫か!すまんっ・・」
「すまんコバヤ、すまんっ・・すまんっ・・」
必死で謝るメンバーに担がれて行くコバヤ。
いや、俺が悪かった・・
分かってる・・
でも来てくれなかった、救出には・・
これが巻だったら・・
総長は来ただろうか・・
連合になって正直浮いている俺。
鉄也さんは深々と頭を下げた。
これからのエースと拳鍔の為と言って、巻と進藤に
だが下げれない。俺は・・
何より取られたくない・・総長を・・
くそ嫉妬した・・巻が総長のケツに乗ってるのを見て・・
だから巻より、とにかく目立って結果出したい・・
「うぐっ・・うぐっ・・」コバヤ
「うぐっ・・すまん・・コバヤ」
「ああ・・うぐっ・・もっと強くなろうや」
流した涙の分だけ強くなれるなんて幻想だ・・
ただの一歩後退だ。
もっと手に入れねば・・
力・金・女・残虐性・嘘・・・
特に嘘。・・俺に一番無いもの・・
それに女も・・
この時代、最大で最強の武器を・・
でないと生き残れねえ・・
この新時代を。




