26. 新時代の大人達
「あっ、さすがに上は脱いで行くの?」香奈
「目立つし、最後に着て揺さぶってやろうかなと」巻
巻は特攻服の上着を脇に抱えてタクシーで渋谷に
~~~渋谷の暴力団事務所~~~
東京のアウトローのドンの事務所である。
12時ちょっと前・・
「ようっ巻」
「あっ・・はい」巻
入り口で、たまたま出くわした人・・
この人は気さくに話しかけてくれる。
やはりこの人と愛羅さんは少し抜けてる。
「んっ?めずらしいね特攻服?」爆撃総長
「ええ・・」巻
まあ、ズボンだけでも見ればわかるよね。
少しこの人が緊張をほぐしてくれる。
(てか・・門番してる若い衆?・・すげえな・・)巻
末端の兵隊ですら、とてつもないオーラを放つ
とても自分達じゃ敵わないって思えるほどの不良の先輩達。
(ギャラリーもすげえな・・)巻
「渋谷ー」
「しぶや~」
「巻~」
(渋谷?なんだその声援・・)巻
まあ、悪い気はしない。
この事務所を囲うように、噂を聞いたギャラリーが取り囲む
俺が現れた時も街がどよめいた。
俺はそこまでじゃないが、
先ほど、俺が来る前に聞こえたどよめき・・
(誰だろ?俺がもしかして一番遅いのかな?)巻
けど誰だか大体分かるな・・
ここに居る連中が一番注目してるのが・・
(千夏さん・・まだ正体のバレてない・・うんもう来てる)巻
ここが一番の関心だ。
すでに事務所の前に置かれた千夏さんの伝説の単車。
この単車が登場した時点で、
知ってる奴にはかなりのインパクトだ。
爆撃の総長に続いて階段を上がって事務所前へ・・
やはり、この総長くらいなら顔は利く
入り口の門番と・・
「おうっ、『愛等』も、もう来てるぞ」
「はいっ。お疲れ様です」爆撃総長
少し長かった迷路が解ける・・
その前にドアを開ければ、
女帝達の笑いと中根とリオの揉める声が聞こえてくる。
「ぶははは、アンタずるいなぁ」
「ははは。最近それなの?」
「コクっ」っと、
声も出さずにうなずく千夏を見て俺も笑いそうになる。
先に来てる中根やリオ達も少し苦虫を噛む仕草
(そりゃぁねえだろ、くそっ)中根
(完全に顔わからないな・・・)リオ
千夏さんが俺と同じように特攻服脇に抱えてるんだが・・
「ぶはは、嘘付けよ・今時ヤマンバって」
「しかも、カツラまで。」
さらに、それにタオルで覆面。
もう絶対誰かも分からない・・
まあ、これは上に顔の利く、
爆撃総長や千夏さんだから出来ることだ。
他の連中は緊張しっぱなしだ。
「おめえ綺麗な格好で来いって
なんで仕事のドレスなんだよ」中根
「正装つったら、これでしょうが!」リオ
「真昼間だぞ!もうちょっと考えて・・」中根
「お前も特攻服はないだろ!しかも小汚い」リオ
(う・・・)巻
「あっ・・居た・・特攻服・・ここにも」リオ
「ほらっ正解なんだよ特攻服が」中根
いや・・正解ではないと思うが、千夏さんもだし・・
「あっ!総長お疲れ様です」
「おうっ」爆撃総長
「・・・・・・」巻
「・・・・・・」中根
中根と目線が合う。
まあ、これでほぼ確定だ・・こいつか・・湯島は・・
俺はどこに座ってもよさそうなので、
(当然・・)巻
一番奥に居る千夏さんの隣へ
(・・隣・・本当に巻の女(香奈)なのか?)
何人かは、まだこう思っている。まだ騙せそうだ。
爆撃総長は・・
「どうぞこちらへ」長山
「おうっありがと」爆撃総長
丁寧に総長の椅子を用意し・・
(うん。間違いない。湯島だな・・こいつが・・)巻
その後も、座らずに総長の横に立ったままの長山
そして、まだボス達が来ないので・・
「なんで私も呼ばれるかな~」
「ははっ、妥当だと思うよ」愛羅
少しみんな緊張も解けてきてるし多少の会話。
少しだけ迷っていた迷路に視線が行く・・
愛羅が二人居る・・
冷静を装い会話に耳を傾ける。
「お前、チャリで来たんだって?」爆撃総長
「ええ・・さっきまで、ヤクザに攫われてました」長山
顔面に暴行を受けたであろうアザの湯島の頭
くだらない会話を聞きながら、
(はは・・千夏さんの匂いだ・・すぐ分かるな俺なら)巻
って思ってたら・・
「巻くん写メ取らせて、写メ」
「あっ・・はい」巻
「ムギュ・・」って。顔までくっつけて・・
「おおーじゃあ私も~」
「うん。がんばってね巻君」
「ははっ・・」巻
なんだろ?女帝達が・・恥ずかしい・・
そうこうしてたら・・
「おいっ、大人は関与しないって決めてるだろうが!」
「関与じゃないよ。がんばってって、言っただけだよ」女帝
東京のアウトローの頂点・・
そして・・
「がんばってね、中根君っ!」って手まで握る男
「あっ・・押忍!」中根
「・・・なしでしょ、そういうの・・」
「いや、挨拶だけだから」
二人の大物。
ヤクザのトップに右翼の大幹部だ。
それに、それを補佐する女帝達が四人。
千夏や爆撃総長とは仲良く話してる模様。
なぜか、ここからちょっとボス達や女帝が小競り合い。
どうやら、この人達は賭けてるみたいだ・・
俺達で誰が勝つか・・
「ごっ・・50億!?」爆撃総長
どうやら、ド本命の爆撃にこの組長がぶち込んだらしい
んで女帝達は・・
「巻くんがんばってね」
「応援してるからね巻君」
「あっ、はい。」巻
どうやら、俺が中穴らしい
これか・・ごく一部に人気って・・
てか、俺でも知ってるアウトローのカリスマ達。
この新時代の俺達の中で一人でもこのアウトローのカリスマ達の、
末端の兵隊にくらいまでたどり着けるだろうか?
それほど、次元が違う。
これが、俺達のような腐った時代じゃなく、
激戦・激闘を制覇してきた主役達・・
そして、
「飛鬼っ俺の全財産突っ込んでるからな。頼むぞ」大幹部
「押忍っご期待に応えられるように!」中根
「ははっリオもがんばってね」
「はいっ。がんばります」リオ
(自分の派閥応援しろよ・・本当この人は・・
全財産が300万って・・愛羅より金持ってないな・・)爆撃総長
「関与するなっつってんだろうが・・」組長
今回の抗争や俺達には関与しないと決めてるみたいだ。
まあ、これでお遊びはお開き。
まず、議題は・・
「先にもうネタバレしとけ」女帝
「ああ・・歴史を繰り返したくない」組長
双子らしい、愛羅は。
真面目な方が妹で爆撃の総長の彼女らしい。
「お前等も間違えて襲わないように」組長
「はいっ」
「カリカリ・・」
しっかり、メモまで取ってるリオに少し好感だ。
なんか過去に間違えて殺されたとか・・
そして次がなかなかの衝撃発言・・
「ややこしいから東爆継げ」組長
「だね・・んで・・」女帝
「引退してもらおう・・お前と愛羅は・・」組長
爆撃総長が、東京爆撃隊襲名と引退?しかも愛羅も・・
いや、引退じゃなく次のステージにだ。
すでに認められているこの総長と愛羅。
実質今も東京制覇中だ。
「・・・・・・・・・・」爆撃総長
「・・・・・任すよ・・」愛羅
まあ即答できる事ではない。
しばらく、考えて・・
「ごくっ・・」一番緊張してる長山
「・・・歌舞伎町爆撃紅蓮は解散・・
愛羅は引退・・
だが、俺は次を見届けたらに・・」爆撃総長
「おおー!じゃあ!」長山
「謹んで、東京爆撃隊継がさせていただきます」爆撃総長
「うん。それが警視庁の考えでもあるしな」
「まあ、分かりやすくね・・」
伝説の復活だ。
どうも、この総長が今まで東爆継がなかったは・・
「ここから始まったので(爆撃紅蓮)」総長
「うん。みんなの帰り場所か・・」
爆撃紅蓮は池袋や六本木に枝分かれしていった仲間を繋ぐ
唯一のものだと・・
まあ変わらず誰も相手にはしないと思うけど・・
現れりゃ逃げの一手だ。
この総長も分かってる。ほぼ引退だ。
だけどご意見番というか、次の覇者を現場で待つというか・・
「誰でもいいぞ・・次の東爆継ぐのは」総長
「・・・はいっ」長山
だな・・。
後は・・ルールの徹底。いわゆるお水ルールの厳守
それと火気・刃物禁止
さらに・・
「相手を殺すような事をすれば負けにする」
「状況にもよるが、殺すまでやるなって事だ」
これも、お水ルールと同じようにきつい制裁でチームを潰すと。
これも警察との絡みもあるのだろう。
てか、発表はまだか?
気になる・・
まだ一度も発言も絡みもない・・
発表されれば分かるか・・
誰もが思ってる・・・感じてる・・・
「・・・・・・・」無言の男
(誰だ?こいつ)巻
(誰だ?こいつ)中根
(誰だ?こいつ)長山
一人・・
紛れ込んでやがる・・
いや・・
まだ悪党が居やがるのか?・・
きっと、強力の。




