25. 湯島の過去と明日の用意
上野・湯島地区
湯島の最下層、暗闇の泥沼の通りの入り口に・・
「ゴボオオンっ!!」
派手なエンジン音の車が横づけ。
「うおっ!ポルシェだ」
「何?何?」
「いじりまくってんな」
湯島爆撃の視線を釘付けだ。
そしてポルシェの窓が開き・・
「ようっ!おめえらっ」長山
「うおっ、ちょーすけかっ。」
「どうしたんだよ?この車っ?」
「ああっ!?ギッて来たに(窃盗)決まってんじゃねえか」長山
「ぶはははは、またパクられたら別荘入れられるぞ」
初代湯島爆撃愚連隊隊長 長山 17歳 通称・ちょーすけ
「明日渋谷だろ。登場も一番目立たねーとなっ」長山
「おおー。これで行ったらビビるぜえみんな」
「ああ。舐められるなよ絶対」
熱い思い・・
「東京取るぞ・・」長山
「ああ・・・・」
ここで散っていった人が居た・・
少しみんな空を見上げる。
天国のあの人へ・・
しんみりしてたら・・
「居たぞーー!!」
「てめえこのガキ!俺のポルシェ、ギリやがって!」
「殺せぇ!ヤクザ舐めんなよ!」
「うわああああ来た~~~」長山
(知らんぷり・・知らんぷり・・)メンバー達
(あのバカ、ヤクザの盗んで来たんか・・)
遠くに猛スピードで逃げていく長山。もちろん無免許だ。
「くく・・相変わらず破天荒だな」
「まあだから総長からも可愛がってもらってるしな」
爆撃系のすべてのチームのトップは隊長である。
唯一、新宿の本体の爆撃の総長は、『総長』
歩兵連隊もトップは隊長。
だから呼ばれる時は、湯島の隊長だとか、池袋の隊長って感じだ
「あいつ別荘出て来たばっかりなのに元気だな」
「ああ・・でも二年で出られてよかったよ・・」
「総長が動いてくれたらしいな」
「普通あれだけ死ぬかね・・」
「・・・湯島頂上決戦か・・」
数年前に行われた、湯島頂上決戦。
湯島の不良グループが荒れに荒れていた・・
結局、ここ暗闇の泥沼の利権の取り合いだ。
仕切りはヤクザだが、
その下の不良にこぼれてくる残り湯でも相当な利権だ。
~~~~~~数年前の湯島~~~~~~
「ここは、俺達が仕切るんだよこのやろう」
「消えろや!何が湯島最強だ、このやろう」
「うるせえ、このカスチームが!!」15歳の頃の長山
「もうウチとお前等んとこだけだ・・
ケリつけようや3・3のタイマンでいいじゃねえか」ナンバー2
お互い一歩も引くわけにはいかない。
ここを追われれば、もうどこにも行くところが無いのだ・・
色んな街を弾かれて弾かれて、ここに落ちてきた両チーム。
湯島夜行性喧嘩倶楽部と
長山達の、
湯島黒双
三対三の勝ち抜き戦。
一人で三人突破もありうるこの戦い。
「俺とジョー(ナンバー2)、あとちょーすけ(ナンバー3)」大将
「おうっ」ジョー
「しゃあ勝つぞ」長山
まだ15だが、ナンバー3の長山。もちろん喧嘩の強さも飛び切りだ
だが相手チームも
この湯島で生き残ってきたチーム・・
いやこのチームと長山達のチームが他を全部潰したのだ・・
湯島も残すところ、あとこの二チーム。
「やれ・・見届けてやる」
「ああ。下は一本でいい。」
「勝ったほうがここ(湯島)仕切れ。負けたほうは湯島追放だ」
地元、この暗闇の泥沼のヤクザ達だ。
ヤクザ達にとっても、不良が抗争することは好ましくない。
一つにまとまれば話は早い。
ただ、このタイマン戦が失敗したのは、
勝ち抜き戦にしたこと・・
一戦目・・
行き成りお互い大将同士を出す奇策
「いけーー総長っ」長山
「負けるなっ」
「おおお」
壮絶なる打ち合いに・・
「なっ・・バカ・・」
「やべえ、意識戻らねえぞ」
「くっ、救急車!」
だが・・
「呼ぶな・・」ヤクザ
「だな・・」長山
続行・・
何より、こんな中途半端じゃ終われない。
もちろん最初から全員死ぬ気だ
勝ったのは湯島黒双の大将。
だが壮絶な打ち合いの後のすぐさま二戦目・・
「うわあああ、総長~!!!もう止めろや!」長山
「しゃあーおらー」夜行性ナンバー3
ここでも・・・
「くそっ・・くそっ・・」長山
「くそっ、早く次を」
総長が意識不明だ。
壮絶な打ち合いの後の喧嘩だ。当然すぐヤラれるし、
相手も総長がヤラれたのだ・・必要以上に後追いしてくる。
今思う後悔。
団体戦の三戦で、二勝すれば勝ちにしとけば・・
「くくく・・来いやっ」夜行性ナンバー3
(いくら、ダメージがあったとはいえ、
この総長を倒した男・・まだ若いな・・俺位か、こいつ・・
代表に選ばれるくらいだから当然強い・・)長山
次に出たのはナンバー2のジョー。長山は最後に。
「ぐはああ」悶えて倒れこむ夜行性ナンバー3
「しゃあ!どんなもんじゃい!」黒双ナンバー2
「よしっ。」長山
(強かった・・前のダメージなければウチが負けていたかも・・)
途中押されはしたがなんとか勝利。
これで相手はラスト一人。
こちらは、ナンバー2と長山残し。
もう、ほぼ勝ちを確信したが・・
「なっ!・・嘘だろ・・」長山
(まずいな・・こいつも意識無くなるまでやりやがった)ヤクザ
長山側のナンバー2が敗北。
この勝ち抜き戦が悪循環に・・
皆、接戦すぎてダメージを引きずり誰も二連勝出来ない状況。
遂に長山と、夜行性のナンバー2だけ残すことに・・
「ぜったい負けるな、ちょーすけ!」
「くそっ・・総長・・意識戻してくれよ・・もうすぐだから」
「くそっこっちも(ナンバー2)だ。早くカタ付けろ」
(くっ・・早く終わらせて、救急車・・病院に・・)長山
(くそっ、こっちも引けるか!
こっちの総長も、意識失って結構経つ・・)相手ナンバー2
だが・・
「まだ・・動いてるな夜行性の奴・・」ヤクザ
「ああ。反撃してる・・」ヤクザ
長山が何とか相手を倒すが、まだ倒れたまま反撃してる相手
絶対負けられない思い。
ここで負けたら不良としてもう食って行けない。
縄張りがなければ金も生まないし、
他所に出ればあっという間に潰される。
地元が圧倒的有利の不良世界だ。
それはお互いよく理解している。
何より、ここに飛ばされて来た者同士だ。
もう行く所がない・・
(くそっ・・くそっ・・早くしないと・・)長山
「もう殺せ!ちょーすけ!」
「ああ、それしかねえ、早く!」
「くっ・・・」長山
「がっ!」っと
「うぐうううう・・・・」
渾身の力で、首を絞める長山・・
「・・・ガク・・」っと、口から泡吹いて意識を失う相手
「うわあああああああ」長山
「・・・決まりだ・・頼んだぞ、これから・・」ヤクザ
消えていくヤクザ達
(くそっ・・くそっ・・)夜行性ナンバー3
唯一意識有るこの夜行性ナンバー3も、
この後残りのメンバーに壮絶なリンチを受ける事に
だがこれによって・・
夜行性喧嘩倶楽部総長が死亡
長山に首絞められたナンバー2は植物状態に・・
そして・・
「うがあああ!」
「ざまあみろやっ!」
ナンバー3の背中にはヤキでナイフで大きく彫られた『バカ』の文字
湯島黒双は総長とナンバー2が死亡。
長山は逮捕、少年院へ
3対3の戦いで三人も死人を出してしまう最悪の結果に。
長山が少年院を出てきたのは僅か数ヶ月前
「頼むぞっ」爆撃総長
「はいっ。爆撃の名に恥じる事無く!」長山
長山が憧れていた派閥、爆撃入り。
ここからが、湯島爆撃愚連隊の始まりだ。
~~~~~~~~~~~~~~
~~~湯島~~~
「あっ・・・」千夏
初めて自分で・・
汚く・・自分の指を舐め、よだれまで垂らして・・
(明日・・・悪党が集まる・・あっ・・)千夏
抑えきれない・・
壁に掛けられた、この新しく作った、
明日着ていく特攻服の刺繍に酔いしれる。
~~~新宿~~~
「ぐふうう・・ふ~~~~」巻
「あっ・・すごい・・獣っ・・あっ・」香奈
こちらも・・
(誰だ?・・誰だ?)巻
突き抜けるのは?
特別指定不良グループ?
選ばれたい・・
いや、選ばれるべき・・
過去にもねえ・・こんな事。
名誉みたいなもんだ、悪党にとっちゃ・・
~~~次の日~~~
「何着ていく?」香奈
「・・・・くく・・これ」巻
「ええええ!!?」香奈
「ふふ・・はは・・わはははは。」巻
揺さぶってやる・・
「嘘っ?・・入ったの?」香奈
「ふふ・・理解した?この文字何て読むか・・
まあ、入ったというか・・・まあ・・ふふ・・」巻
巻が用意したのは・・・
「でも、かっこいい・・」香奈
「ふふ・・初めて。特攻服なんて。」巻
黒い特攻服・・・
背中の刺繍は・・
『東京無双無上龍』
巻の着たこの特攻服の刺繍を香奈が指でやさしくなぞりながら・・
これで、こう読むんでしょ?・・
かっこいい・・
「・・・エース・・オブ・・ドラゴン・・・」香奈
踊れ・・・
俺の手の中で・・




