23. 壊れそうな夜
会いたかった?
なんてクソだせえ感情だ・・
止まってる・・感情が、子供のままに。
子供のまま、この人の魅力に溶けて行く。
ずっと何も言わずに朝までこの俺を抱きしめてくれた・・
「・・帰るね」巻
「今なら誰も居ないから・・」千夏
さすがだこの人は。
東京にこれ以上のセキュリティーはないだろう・・
くく・・ウチのさらに上を行くな・・
~~~新宿~~~
「あっ!おい、住民さんだぞ、退け!」爆撃兵隊
「あっ、すんません」
「どうもで~す」香奈
「こんばんは~お仕事ご苦労様でした~」爆撃兵隊
「ええ、ごきげんよう」香奈
(変なルール・・これ持ってたらか・・)香奈
香奈が持ってるのは、マンションのカードキー
地域住民の証だ。
「おめえ、どこのどいつだ!このやろう」
「ここは爆撃のシマなんだよ!ヤクザでもぶち殺すぞ!」
これ持ってないと、この通りに入る事も難しい。
だからこの地域住民はこのカードキーを判りやすく首からぶら下げてる。
(恐っ・・)香奈
だけど地域の住民は・・
「恐いけど、バカとハサミは使いようですよ」地域住民
「ですね。泥棒とか絶対入って来れませんし」香奈
「しっかり管理費から払ってますしね」地域住民
「ええ。地域住民には絶対手を出しませんし」地域住民
うまくできたシステムだ・・
えっと・・バコム?(爆撃とセコム)
それとも、バルソックかな?(爆撃とアルソック)
でも新宿って言っても広いから、
ここに居る奴は本隊じゃない。言わば二軍の守備隊だ。
「あっ。お疲れさまでーす」爆撃兵隊
「・・・・・・・」
カードキーをぶら下げ、帽子を深く被った男が無言で通り過ぎていく
「・・・あの住民不愛想だよな」爆撃兵隊
「まあしょうがねえよ。こっちが弱いし。雇われの身だしな」
「それでも、こっちから挨拶しとかないとな」
「ただいま~」帽子を取る巻
「うん、おかえり~」香奈
この人は、朝帰りでも疑わずにやさしく出迎えてくれる
「もう・・また顔腫れて・・」香奈
「服はもうボロボロだったからロッカーで着替えた」巻
常に駅のロッカーに着替え入れてる。
まあ変装用といか、家帰る用というか・・
「あっ・・もう・・大丈夫これ?・・」香奈
「へへ・・いてててて」巻
服を脱がせば無数のアザ・・
きっと大勢にやられたんだと分かる。
一生懸命この人は看病してくれる。
ネットで何がいいか調べたりたり、薬買いに行ってくれたり
「まず冷やして・・それからゆっくり温かいお風呂に」香奈
「ありがと・・」巻
どっちみち、しばらく休暇だ。
体が喧嘩できる状態じゃない。
二・三日のんびりして・・
「私、お仕事行ってくるね~」香奈
「ちょ・・ちょっと待って・・テレビ!」巻
俺が動いてない時でも、街は動いてる。
テレビから流れるニュース・・
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「昨夜、六本木で不良グループ同士の抗争と思われる事件が発生し
若者数名が意識不明の重体となっており・・」
「なお、上野・湯島地区でも同様の抗争事件が発生。
さらには池袋でも抗争が発生してるとの情報があり・・」
「激化する不良グループの抗争により、
警視庁は指定暴力団のように、
指定不良グループを認定する作業に取り掛かり・・・」
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「・・・情報集めて早めに帰るね」香奈
「うん。おねがい」巻
指定不良グループ?
やれ、このテレビじゃ不良がどうたらこうたらと解説してる
街を代表した戦いだとか・・六本木の取り合いだとか・・
昔の抗争で死人が多く出た事や過去の歴史も説明
(おもしろいな・・あとで、また録画したの香奈と見よ)巻
最後に聞いたこのゲストの元不良解説者の言葉に笑いが出る。
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「裏社会の上の考えや意見は、まあ勝つのは新宿でしょうね・・
ごく一部の人気は渋谷ですが」
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ははっどっちよ?俺?千夏さん?
やっぱり上には全部筒抜けか。
てか、湯島襲ったのだれ?
さらに六本木に池袋?
考えられるのは・・・ウチの進藤君か・・
エースオブドラゴン・・
(まだ湯島の頭も誰だか分かってねえ・・
どうも名前がそんなに売れてねえって事は、年少上がりか・・)巻
たま~に、急に、お前誰だ・・?こんな悪党居たの?って奴が出てくる。
デビューして、いきなりヤンチャすぎてパクられたりした奴とかがそう。
本当に危ない奴は名前も売れずに別荘暮らしだ。
まあこの新時代に付いて来れない古いタイプの不良だ。
エースオブドラゴンが湯島と池袋を狙ったのか?
飛鬼は、どっちかって言えば六本木でヤラれた方?
(くそ・・やっぱ行くか。六本木に・・)巻
~~~六本木~~~
「もしもし巻君?今から帰るよ・・えっ?
もう六本木に居る?」香奈
今から帰るって巻に電話したら、六本木に居るから迎えに来てって・・
「ここ・・恐いな。路地裏だ・・。あっ!」香奈
「ごめん、ここ・・」巻
巻が手で横顔押さえて路上に座り込んで・・
「わっ、血がすごい!病院っ」香奈
「いや・・いいから帰るよ」巻
また大勢にやられたんだろう・・
無数に付いてる蹴られた靴の跡。
何か最近、言ったら怒られそうだけど・・
(負ける事多くなったな・・)香奈
いや、負けることが多くなったと言うか、
逃げなくなった。
自宅に帰る前にまたロッカーで綺麗な服に着替えて、
マンションの前までタクシーで帰宅。
まあ、負けもしょうがないって言えばしょうがない。
もう拳鍔三人しか居ないみたいだし。
だから巻君も喧嘩は常に一人でしてるみたいだし。
「もうっしばらく休養してよ
大体まだ怪我も治ってないのにまた喧嘩するなんて・・」香奈
「うん。わかった」巻(まあ正直、体動かなかったな)
んで手当てしてくれてる香奈がびっくりして・・
「んっ?・・・わあああぁ!」香奈
「ああ・・気にしないで」巻
~~~上野・湯島地区~~~
「ピラっ」
っと、テーブルの上に置いたハンカチで包んだいつもの『物』を広げ・・
「どうした?今日は綺麗にハンカチで包んで?」千夏
「へへ・・こないだ怒られたんで。」コバヤ
「怒るよ・・ビニールが汚いから怒ったんじゃないよ
興味ないよ、耳なんて・・」千夏
「へへ・・今日のハンカチは意味あるんですよ・・」コバヤ
丁寧に・・神聖に・・
そして褒めて欲しい・・
最高の結果・・
「巻の耳っす」コバヤ
「そう・・」千夏
生温い風が街を覆ってた・・
少し嫌な・・
壊れそうな夜。




