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街賊悪漢 新東京屑  作者: 火村虎太郎
===新時代の女達===
26/73

23. 壊れそうな夜

会いたかった?

なんてクソだせえ感情だ・・


止まってる・・感情が、子供のままに。

子供のまま、この人の魅力に溶けて行く。


ずっと何も言わずに朝までこの俺を抱きしめてくれた・・


「・・帰るね」巻

「今なら誰も居ないから・・」千夏


さすがだこの人は。

東京にこれ以上のセキュリティーはないだろう・・


くく・・ウチのさらに上を行くな・・


~~~新宿~~~


「あっ!おい、住民さんだぞ、退け!」爆撃兵隊

「あっ、すんません」


「どうもで~す」香奈


「こんばんは~お仕事ご苦労様でした~」爆撃兵隊

「ええ、ごきげんよう」香奈


(変なルール・・これ持ってたらか・・)香奈


香奈が持ってるのは、マンションのカードキー

地域住民の証だ。


「おめえ、どこのどいつだ!このやろう」

「ここは爆撃のシマなんだよ!ヤクザでもぶち殺すぞ!」


これ持ってないと、この通りに入る事も難しい。

だからこの地域住民はこのカードキーを判りやすく首からぶら下げてる。


(恐っ・・)香奈


だけど地域の住民は・・


「恐いけど、バカとハサミは使いようですよ」地域住民

「ですね。泥棒とか絶対入って来れませんし」香奈

「しっかり管理費から払ってますしね」地域住民

「ええ。地域住民には絶対手を出しませんし」地域住民


うまくできたシステムだ・・

えっと・・バコム?(爆撃とセコム)

それとも、バルソックかな?(爆撃とアルソック)


でも新宿って言っても広いから、

ここに居る奴は本隊じゃない。言わば二軍の守備隊だ。


「あっ。お疲れさまでーす」爆撃兵隊


「・・・・・・・」

カードキーをぶら下げ、帽子を深く被った男が無言で通り過ぎていく



「・・・あの住民不愛想だよな」爆撃兵隊

「まあしょうがねえよ。こっちが弱いし。雇われの身だしな」

「それでも、こっちから挨拶しとかないとな」



「ただいま~」帽子を取る巻

「うん、おかえり~」香奈


この人は、朝帰りでも疑わずにやさしく出迎えてくれる


「もう・・また顔腫れて・・」香奈

「服はもうボロボロだったからロッカーで着替えた」巻


常に駅のロッカーに着替え入れてる。

まあ変装用といか、家帰る用というか・・


「あっ・・もう・・大丈夫これ?・・」香奈

「へへ・・いてててて」巻


服を脱がせば無数のアザ・・

きっと大勢にやられたんだと分かる。


一生懸命この人は看病してくれる。

ネットで何がいいか調べたりたり、薬買いに行ってくれたり


「まず冷やして・・それからゆっくり温かいお風呂に」香奈

「ありがと・・」巻


どっちみち、しばらく休暇だ。

体が喧嘩できる状態じゃない。

二・三日のんびりして・・


「私、お仕事行ってくるね~」香奈

「ちょ・・ちょっと待って・・テレビ!」巻


俺が動いてない時でも、街は動いてる。

テレビから流れるニュース・・


==========


「昨夜、六本木で不良グループ同士の抗争と思われる事件が発生し

 若者数名が意識不明の重体となっており・・」


「なお、上野・湯島地区でも同様の抗争事件が発生。

 さらには池袋でも抗争が発生してるとの情報があり・・」


「激化する不良グループの抗争により、

 警視庁は指定暴力団のように、

 指定不良グループを認定する作業に取り掛かり・・・」



===========


「・・・情報集めて早めに帰るね」香奈

「うん。おねがい」巻


指定不良グループ?


やれ、このテレビじゃ不良がどうたらこうたらと解説してる

街を代表した戦いだとか・・六本木の取り合いだとか・・

昔の抗争で死人が多く出た事や過去の歴史も説明


(おもしろいな・・あとで、また録画したの香奈と見よ)巻


最後に聞いたこのゲストの元不良解説者の言葉に笑いが出る。


=======


「裏社会の上の考えや意見は、まあ勝つのは新宿でしょうね・・

 ごく一部の人気は渋谷ですが」


=======


ははっどっちよ?俺?千夏さん?

やっぱり上には全部筒抜けか。



てか、湯島襲ったのだれ?

さらに六本木に池袋?


考えられるのは・・・ウチの進藤君か・・


エースオブドラゴン・・


(まだ湯島の頭も誰だか分かってねえ・・

 どうも名前がそんなに売れてねえって事は、年少上がりか・・)巻


たま~に、急に、お前誰だ・・?こんな悪党居たの?って奴が出てくる。

デビューして、いきなりヤンチャすぎてパクられたりした奴とかがそう。

本当に危ない奴は名前も売れずに別荘暮らしだ。

まあこの新時代に付いて来れない古いタイプの不良だ。


エースオブドラゴンが湯島と池袋を狙ったのか?

飛鬼は、どっちかって言えば六本木でヤラれた方?


(くそ・・やっぱ行くか。六本木に・・)巻


~~~六本木~~~


「もしもし巻君?今から帰るよ・・えっ?

 もう六本木に居る?」香奈


今から帰るって巻に電話したら、六本木に居るから迎えに来てって・・


「ここ・・恐いな。路地裏だ・・。あっ!」香奈


「ごめん、ここ・・」巻


巻が手で横顔押さえて路上に座り込んで・・


「わっ、血がすごい!病院っ」香奈

「いや・・いいから帰るよ」巻


また大勢にやられたんだろう・・

無数に付いてる蹴られた靴の跡。


何か最近、言ったら怒られそうだけど・・


(負ける事多くなったな・・)香奈


いや、負けることが多くなったと言うか、

逃げなくなった。


自宅に帰る前にまたロッカーで綺麗な服に着替えて、

マンションの前までタクシーで帰宅。


まあ、負けもしょうがないって言えばしょうがない。

もう拳鍔三人しか居ないみたいだし。

だから巻君も喧嘩は常に一人でしてるみたいだし。


「もうっしばらく休養してよ

 大体まだ怪我も治ってないのにまた喧嘩するなんて・・」香奈

「うん。わかった」巻(まあ正直、体動かなかったな)


んで手当てしてくれてる香奈がびっくりして・・


「んっ?・・・わあああぁ!」香奈

「ああ・・気にしないで」巻



~~~上野・湯島地区~~~


「ピラっ」


っと、テーブルの上に置いたハンカチで包んだいつもの『物』を広げ・・


「どうした?今日は綺麗にハンカチで包んで?」千夏

「へへ・・こないだ怒られたんで。」コバヤ


「怒るよ・・ビニールが汚いから怒ったんじゃないよ

 興味ないよ、耳なんて・・」千夏

「へへ・・今日のハンカチは意味あるんですよ・・」コバヤ


丁寧に・・神聖に・・

そして褒めて欲しい・・

最高の結果・・



「巻の耳っす」コバヤ

「そう・・」千夏



生温い風が街を覆ってた・・

少し嫌な・・


壊れそうな夜。


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