3日目後編 探索最高!!
彼女は抱きつきながら「…怖かった…」
と言った。
すると バッ と体を離してしまった。
少し残念だった。
彼女の頬が少し火照っていた。その姿はまるで天使のようだった。
数秒だけ二人で見つめあっていたら、彼女が「ありがとうございました」
と言ってどこかに行こうとしたので
「あッあのさ…名前なんて言うの?」
と聞いてもう少し一緒にいる時間を増やそうとした。
なんでかって?そりゃ今までボッチでさみしかったしこんな可愛い子と会った事もなかったし、女の子の耐性を少しでも上げたかったから。
すると彼女は俺の方に振り向いた。
その時の彼女はもう凶器です。はい。
振り向いた時に丁度いいアングルで見えた谷間と長い髪がサラサラと効果音をつけた方がいいんじゃないかな?とか思うほど綺麗になびいた。
そして元々可愛いかったから、トリプルエルボーを受けたぐらいの衝撃が俺の体を駆け抜けた。
そんな事を思いながら寸劇みたいな事していると
「あの…何か言いましたか?」
と彼女が聞いてきた。
「えっと…君の名前教えてくれないかな?」
少しハニカミながら聞いてみると彼女が頬を赤らめながらうつむいた。
「あの…私の名前は…」
彼女が名前を言おうとした丁度その時、俺の後ろの木の陰から数人の男達が出てきた。
「またかよ…」
泣きそうになりながら俺が呟くと
「またって何だよ?」
と男達の頭なんだろう、先頭に立っていた男が聞いてきた。
「周りを見てみろよ…」
はぁ…と息を吐きながら応える。
「何だこいつら…まさか死んじゃいないよな?」
少し男達の間でどよめきがあった。
「死んじゃいないよ。」
と言ったら安心したのか男達が彼女の方へと顔向けた。
「可愛い彼女じゃねぇか…俺達に貸してくれよ?」
と先頭にいた男が言ってきた。
「すまない…この子は俺の貸し切りなんで他をあたってくれ」
そう言うと彼女は驚いたのか俺の顔を見た。
そんな事は気にも止めず俺は先頭にいた男…まあ仮に男Aとしておこう、その男Aの行動をみていた。またいきなり殴りかかってこられたら困るからだ。さすがに二回も素手で顔面なんかなぐったら俺だって痛い。
そんな事を思っていると男達は俺と彼女を囲むように歩いてきた。
「そんな事言うなよ~…なあ?」
と男Aが言うと他の男達も口々に
「少しぐらいいいだろ」とか
「ちゃんと返してやるよ」とか言ってきた。
その言葉に彼女はビクッと震え、また俺の後ろにきた。
「今度は俺が一人でやるから…逃げてくれ」
と俺がかっこつけて言ったにも関わらず彼女は「…嫌です!」と言ってきた。
…まぁ可愛いからいいだろう!と思って、俺は男達にファイティングポーズをした。
今背中に柔らかい何かが当たった気がしたが…まぁ気のせいだろと思って、ちょっと後ろをみたら彼女の顔が至近距離にあり心臓がバクバクしてきた。
「って事は…さっきの膨らみは…!」そんな独り言を言っていると男達が一斉に駆け出してきた。
まず右側にいた二人を掴まえて他のやつらに投げつけた。さすがに一回じゃダメージがないに等しいらしく、すぐに立ち上がってきた。
二回も同じ手は食らわないらしく掴まえようとしたら避けられた、しかし俺だって二回も同じ事はしない掴むふりをして相手の懐に入り金的を膝蹴りした。
その攻撃はクリティカルヒットしたらしく、一人は再起不能になった。
残り四人…さすがにきついだろ!!と思ったが可愛い彼女の為だと思うと気がらくになった。
そして四人が俺を囲うようにして並んだ。
後ろからのパンチをかわして相手の勢いを借り、背負い投げ…一本!!と心の中で叫んでしまった。それくらい、いい音がしたのだ。
背負い投げの勢いのまま目の前の男に胴回し回転蹴りをする。
何故か男のアゴに命中し、一撃で男を沈めた。
残り二人…。
そんな事を思っていると男Aが「強いねぇ~…でもプロボクサーには勝てないでしょ?」と言ってきた。
「俺はプロボクサーとの試合なら何十回もやらされてるよ!」
そう!俺の祖父は頭がおかしいのだ!なんでかって?そりゃ15才の孫に「プロボクサーと試合しろ!!勝てなかったら後で痛い目みるぞ!!」とか言わないでしょ?
そんな思い出に浸っていると「そりゃ楽しみだ…」と男Aが言った。
少しの間二人でにらみ合っていると、ポツポツと雨が降ってきた。
「雨…?」と彼女が言った。掌で雨を受け止めている彼女の姿は時間が止まっているような感覚におちいった。
そんな事は気にも止めず男Aが殴りかかってきた、さすがにプロと言うだけある…今までの男どもとは比べ物にならないほどの速さでパンチが飛んでくる。しかし俺はステップで全てのパンチを避けた。
男が息を切らしていので、隙だらけのアゴにハイキックを入れて倒した。男はアゴがハズレたらしく、いたがっていた。
もう一人の男を探すといつの間にか彼女に投げられていた。彼女の体のどこにそこまでの力があるのかと思うほど豪快に投げ飛ばしていたので、数秒ほど見つめてしまった。すると彼女と目が合ってしまい、お互い照れくそうに目をそらした。
「あのさ…もう一回名前聞いてもいいかな?」
「はい…私の名前は白騎希です」
と少し照れながら言っている姿がとても可愛かった。
「あなたの名前も…教えてくれないかな?」
と上目遣いで聞いてきたので誘ってんのか?とか思ってしまった。
「俺の名前は葉桜充…15才です」
「私と同い年だ!」と指差しながら言っている姿も可愛かった。てかこの子の全てが可愛いんじゃね?
「へぇ…希ちゃんって呼べばいいかな?」
「うん…私は充君って呼んでもいい?」
意外と活発な女の子だったが、またそれも可愛い要素の一つだ。
そんな事を思いながら「うんいいよ!」と返事をした。
「希ちゃんはいつ、この島に来たの?」
気になっていた事を聞いてみた。
「う~ん…雨も降ってきたし、あそこに見えるビルみたいな所で雨宿りしながら話そうか」と言っている彼女の体を見てみると雨に濡れていて色々と透けていたため目をそらしてしまい、それに気付いた彼女が頬を赤らめながら自分の体を隠し「エッチ!」と言ってきた。
「べっ別に見てないよ!」と言ってビルの方に小走りした。
それを追いかける形になって彼女が「ちょっと待ってよ~」と言って近づいてきた…。
数分後ビルのような建物に着いた。
寒かったのでそこで火を焚いた。
二人で火を囲みながらビルの中を見てみると一階部分は一階全部で一つの部屋になっているようだった。部屋の隅の方には二階へと続く階段があった。
「それで…私がいつこの島にきたかだよね?」
「ああ…因みに俺は二日前だ…」
「私も充君と同じで二日前だよ?」
「じゃあここにくる前になにがあったか覚えてる?」
「覚えてるよ…えっと確か…道場の帰り道に…後ろからハンカチみたいなもので口を押さえられて…そしたらいつの間にかこの島の浜辺で寝てた!」
「やっぱり…そうか…」
「充君も似たような感じ?」
「うん俺もいつの間にかこの島の浜辺で寝てた」
「そうか…もう遅いし、明日起きたらまた話そうか!」
「うん、わかった…そういえばどこに寝るの?」
「私は二階で寝るから充君は一階ね!!」
「うん…」少し残念だった。こんな可愛い子と二人っきりだから何かあるんじゃね?とか思ってたのに!!
そんな事を思いながら「おやすみなさい」と希ちゃんに言ってすぐに寝た。
そのころ日本では行方不明者続出とのニュースが流れていた。
食料や緊急用の物資、武器などがはいったアタッシュケースを積んでいるヘリが成田空港から飛び立った。
そのころ葉桜家では「まだ充は帰ってこないのかね?」と祖父が母さんに聞いていた。
夜ご飯はビルに向かう途中にあったブドウのような食べ物を食べて済ませました。
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