3日目前編 探険最高!!
「ううッ…」
…ばッと体を起こすとそこは見覚えのない窮屈な部屋?だった…。
…思い出した。この部屋は俺が作った寝床か…。
「はぁはぁ…」
息が切れている。嫌な夢を見ていた気がする…。大切な人達が自分の手によって殺されていくような夢だった気が…。
喉がカラカラだった。
「火でも焚くか…。」
そんな事を言いながら立ち上がると頭に木の棒がぶつかった。
「イテッ…イテッ」
寝床から出ようとしたらまた頭を木の棒にぶつけた。
外に出ると空が曇っていた。
「今日は降るかな」
そんな独り言を言いながら昨日やったみたいに火をおこす。
数分後…水を飲み一息ついてから、トイレを済ませた。
「今日はもっと深い所まで探索してみるか…」
準備を済ませて、川に向かって歩きだす。
準備といっても持ち物は…サバイバルナイフ と昨日乾燥させておいた豹の肉を腰に巻きつけて、木の棒と皮を数セットと木の容器を持っただけだ。
川に着くと川に沿って上流の方へと歩く。
「ぐぅぅ」
腹が鳴った。
「結構歩いてきたし飯でも食うか…」
いつも通り火を焚いて飯の用意をした。
飯を食いながら周りを見渡す。
「なんだ…あれ…」
川の向こう側に大きなビルような建物建っている。
「飯食ったら行ってみるか…」
肉を半分ほど食べて水を沢山飲んだあとトイレを済ませた。
トイレをし終わって川の渡り方を考えていると川の向こう側で人影がチラッと見えた。
すると、いきなりTHE大和撫子と言える、おしとやかそうな美少女が現れた。
その美少女は何か追われてるようだった。
「助けてッ」
と大声で叫びながらこちら走ってくる。
美少女の後ろを見るとチーマー系の怖そうな男が二人追いかけていた。
「マジかよ…」
勢いよく川に飛びこんでみると意外と浅く、膝下までしかなかった。
川の向こう側に着くのとほぼ同時に美少女も俺の背中に身を隠した。
「いきなり…はぁあの人達が…はぁ追いかけてきたんです…」
と美少女が息を切らしながら言ってきたから
俺も調子にのってしまい「大丈夫、俺が守るから」とか言ってしまった。バカだよ全く…。
すると、息をきらしながらチーマー風の兄ちゃんたちが追い付いてきた。
彼女の体がビクッと震える。
チーマー風の兄ちゃんAが「そこ退けよ」とか言ってきた。思わずバカですか?と聞きそうになった。なんでかって?そりゃ後ろにこんな可愛い子がいる状況で退くわけないでしょ。
チーマーBは金魚のふんみたいなやつだった。
そんな事を思っていると、いきなりチーマーAが殴りかかってきた。その勢いを借りて思いっきりカウンターをやってみたら想像以上にクリティカルヒットしてしまい、相手の鼻が折れた音がした。俺の拳はこの程度では壊れない。なんでかって?そりゃ祖父が格闘技の達人で小学校に入る前から色々な格闘技を教え込まれ、素手での試合もさせられていたからだ。そんなこんなでチーマーAが折れた鼻を押さえながら地面に倒れこんでいたので、そのままにしておくのも危ないと判断し、首にデビルスリーパーをかけたら数秒で気絶した。
チーマーBを探すといつの間にか彼女を人質にして逃げようとしていた。その時の彼女の顔は祖父が本当に怒っているときのそれにとても似ていたため体が動かなかった。
そしてその後の彼女の体さばきは祖父のような力強さはなかったが祖父以上の可憐さがあった。その体さばきに見とれていると、いつの間にかチーマーBは地面にめり込まんばかりの勢いで垂直に投げられていた。どうやったらそんな風になるのかと思うぐらい変な形で地面に頭逆立ちしているチーマーBの口から泡が出ていたので、あたふたしていると彼女が俺に抱きついてきた。
後編に続きます。