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Creature Of The Wheel

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「いつからだ」

「え、何が?」

 ジャムパン貪るDB。その姿はまさにドーン・オブ・ザ・デブ。口の周りについたジャムがさらに雰囲気を盛り上げる。

 家に入ってから戸締りを確認し、二階へ避難した。リビングのほうが快適なのだが安全とはいえ一階に留まることはためらわれた。

「いつからこんなことになったんだって聞いてるんだよ!」

「いつからって……。ネクが病院運ばれてからずっとパソゲーやってたからなぁ。わかんないよ」

「いやいや、オンラインとかで話題とか出るだろ?」

「海外のサーバーだからね。基本的に外人ばかりでござる。そして昨日からは徹夜でエロゲーやってたのでさらにわかりません。むしろゲームでもソロプレイヤーなので話題に加われません」

「よしテレビつけるか」

 話の進まないDBに見切りをつけテレビの電源をつける。が、どこのチャンネルも砂が吹きすさんでいた。

「……どこもかしこも使えないな!」

「まぁ、予想の範囲内だよね。むしろ報道が使えないなんて今に始まったことじゃないし」

「まぁそれもそうだけどな」

 テレビの電源を落としリモコンを放り投げる。静かな空間に響き渡る咀嚼音。気分が落ち込む。泣きたい気分になってきた。

「どうしよう」

 実際のところネクは実感を感じられなかった。すべて薄い膜を通した出来事のようで希薄に感じられる。映画を見ているようだった。もし仮に、『そういう状況』になっていたとして、噛まれたりしたら感染してあいつらと同じになってしまうのだろうか? 感染するとして感染経路は? 治療法は? そもそも本当に死者が蘇ったのだろうか? 現実感のなさは情報の不足からだ。

(そうだ! きっとさっきの人だってただの酔っ払いでうっかり勘違いして殺しちゃっただけかもしれないじゃないか! そうだ! そんな映画のようなことが起こってたまるか!)

 情報の不足を予測で補う。少しは心が晴れた。外を見る。青い空が気持ちいい。窓でも開けたらさらに気が晴れるだろう。窓を開けさわやかな風を全身に浴びる。見下ろした通りには血まみれで歩く人が何人かいた。

「……」

「ホームセンター」

「は?」

 だしぬけにDBがしゃべりだした。

「だからホームセンターだよ」

「何?」

「こういう状況ではホームセンターに避難するのが一般的常識だろ? 食料も、武器もある。立てこもるには一番だ。無事な人間はみんなホームセンターに避難してるはずよ。とにかく今孤立するのは避けたい。生存者を探してグループを作るべきだ。こういう場合死ぬ奴は仲間と協力できない奴だからね。あと極端に」

 なぜか饒舌だった。

「気乗りしないな」

「なんでだよ」

「バリケードも作るだろう。食料も武器もあるだろう。何日かは安全だろう。しかし、だ。グループの中に必ずトラブルメーカーがいてそいつがしょうもないことをするばっかりに何もかもぶち壊しにするんだ。なだれ込んできた奴らにグループの半分は殺されるね。これは間違いなく起こる。誓ってもいい」

「なぜだろう……。そのときの情景がありありと思い浮かべることができる……。じゃあやめたほうがいいか」

「いや、ホームセンターの線は悪くない。武器と食料は必要になるだろうから今のうちに調達するべきだ。まともな人間がいたら行動を共にしてもいい。グループの上限は4人くらいだな。それ以上だと内部でトラブルになりやすい。そうかんがえるとドラ猫クエストのパーティーメンバー4人という数字はよく計算された数字なんだな」

「じゃあとりあえず目的地はホームセンターでOK?」

「いや、その前に行かなければならないところがある」

「どこさ」

「俺の家だ」

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