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竜騎士  作者: Blood orange
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たまごが先か?竜が先か?

「それと卵の色とどう関係するんだよ?」


ミーヤの苛立った声を遮るかのように話は続けられる。


「少女が去った後、世界は荒れに荒れたんだ。蛇の陰謀で他の世界に追いやられていた少女が、ジュダル神の嘆き悲しむ姿を見て反省したのかは知らんが、ある日 空から1つの雫が落ちて来たんだ」


「どこぞの家出娘ですか…ってのぉ!っと」


ミーヤは呆れた様に腰に手をやると、手持ち無沙汰なのか竜の子を片手で空中に放り投げると、軽くキャッチした。

いつ手をミーヤが落とすかと心配で、ビーツ達の目は上下に上げられる竜の子を追って、上に下にと動いて行く。


「ったく親の顔を見てみたいもんだ!っと あ…その子の親はジュダル神だったんだっけ? 神様も子育てには苦労するんだな」


それはこっちの台詞だとビーツ達が腹のそこで思っているなんて、ミーヤには知る由もない。


「あ…何処まで話した? あ、そうだったその雫は光る水色の卵だった」


ふーん。それって物凄いド派手な卵の色ね。


「卵から産まれたのは白い竜で、荒れはてた世界を浄化させた」


白い竜…本当はそんな色の竜なんて、その辺にゴロゴロいるんじゃねーの?

未だにミーヤは竜に自称『高い高い』をしてやっている。

されている竜も嬉しそうにピーピーと声を出して楽しそうだ。


「ジュダル神はその竜がかつて自分が創造した少女だと言う事を知ったのだろうな。彼は、竜が寂しがらない様にと人間を作った」


なんで、竜が寂しがらないようにって人間を作るのさ。どうせなら、そのジュダル神とかいう神様も竜のためを思うんなら、同族の竜を作りゃあ良いのに。


「竜は主人となる人間を選ぶとその人が亡くなるまでずっと側に居たんだ。主人を失った竜を我が物にしようと企む人間達に愛想を尽かした竜は、また天空へと帰って行ったと言う話だ」


「ふーん。それでめでたしめでたしなんだ」


今回の説教は長かったな…。あーあ、肩凝った。


「説教が長くて悪かったな、ミーヤ。これで終わりじゃないんじゃ」


「え〜。まだ続くんすか〜? でも残念っす〜ほら、みんなだってもう行かなきゃ行けないって言ってるし…「「「別に何も言ってないぞ」」」


チッ!

折角逃げ出せるかと思ったのにさ。


「じゃが、それはただの神話だ。 実際に行われたのは、人間は主人を失った竜を捕まえ、他の動物と掛け合わせて色々な種族を作った。己が神だと言わんばかりにな」


うわ〜、それってどこにでもありそうな話だ。

醜い政権争いに竜を戦闘要員として使うってヤツだよね。ったくどこの世界にも余計なことを考えるヤツがいるんだよな〜まったく。


「白い竜の最後は悲惨だったと言われている。まず最初に竜の頭の角を折られ、どこにも逃げ出さないようにと羽を斬り落とされ、それでも逃げ出そうとした竜の体を何十人もの人間が取り押さえると最後に四肢を斬ったのだ。人間達はその竜の体のすべてをジュダル神の供物にと捧げたんだ」


それは、酷い…。

竜の頭の角って、虫で言う触覚と同じよね? 

猫で言うとヒゲだ。 あれを切られると平衡感覚がなくなって動けなるらしいけど。

虫に至っては、死ぬこともある。ゴキブリ以外は。

さすがはゴキブリ!感心しちまうぜ!

触覚…じゃなくて頭の角を折った上に、竜の翼までも斬ったんだ。そりゃあ、逃げるに決まってるよ。

私が竜なら、そんなことをした人間達を片っ端に頭っから、パクッと食べちゃってるね。

防衛本能だもん。

四肢をもぎ取られって言う所が、如何にも中世のニオイがぷんぷんだよ。

いやだね〜身分社会。自分達さえよけりゃあ竜が死んでも良いって思ってたんだ。

そんな供物を捧げられたジュダル神もびっくりだよ。


「ジュダル神の怒りは酷く、40日もの長い間世界は厚い雨雲に覆われ、大地は水に覆われた。1人の若い神官が自らの命を犠牲にして神の怒りは静まったと書物には書かれておる。それが、この国の初代の王だ」


ジュダル神が怒るのも当たり前だよ。自分が創った少女(竜)がイカゲソみたいに斬られて自分の供物にされてんだもんな。

私だったら、引くどころじゃないな。どん引きだよ。

40日間の嵐って…ノアの箱船状態じゃん。

それでようやく人間は自らの過ちを知ったって言う話か…。

でもねー1人の人間に罪を命を犠牲にさせる奴らもまだ反省してないと思うがな…。


「へーでもさ、その若い神官って身柱になったってことでしょ? 何で生きてたの?」


身柱って確か…橋の袂に括り付けられて、強制溺死させられるんだよね。それか土左衛門か。


「彼のこの世界を思う気持ちが竜を呼び覚ましたのじゃ。竜の力に守られて彼は死なずに済んだのじゃ」


死者甦生〜!!

く〜いいね〜!! この響き!!やっぱ、ファンタジーはいいわ〜!!


「ジュダル神はその時に竜もつくってしまえば、こんな惨劇になる事はなかったと自分の髪を一房切ると、それに血を混ぜて空に投げたんだ。すると空から様々な色の竜が羽ばたいて来たと言うわけだ」


ふーん。ようするにそのジュダル神とか言う神様も、完璧ではなかったってことだね。

うっかり屋さん〜。

だから、街に出れば良い身なりをした人の横には、必ずSPみたく竜が付き添っているんだ。


「だが、世界が混乱に陥ったときは、必ず伝説の竜の卵が空から降って来ると言われてるのじゃ…おい!ミーヤこちとら真剣に話しておるんじゃ!神聖なる竜の子をそんなにぞんざいに扱い追って、落としたらどうするのじゃ!」


「おっと〜! ビーツの大声で落としそうになったじゃん!」


空中になげた竜の子をキャッチする時に、ビーツのお小言でほんの数秒ほど動作が遅れてしまった。

それでも、何とかキャッチした。

ほっと息をついたミーヤとは対照的に、竜の子は嬉しそうにキーキーと白い小さな歯を見せてご機嫌だ。


「す、すまぬ…じゃないわい! そもそもお前がワシの言う事を聞かぬから…」


ボォッ!


竜の口から一瞬大きな炎があがった。

それをまともに顔に受けたビーツは、顔がすすだらけになっている。


「ピノが止めろって言ってる」


「ピノって誰だ?」


え? この子(竜)のことだけど?

ピノザウルスの略でピノ。


ビーツが呆れ顔で名前まで、一緒とは…と呟いていたことなど、ミーヤは知る由も無い。

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