変態の放し飼いは止めましょう 中編
初夢は何を見ましたか?
あれ…前後編になるはずだったのに…
ビーツ達から卵を返して来いと言われ、すっかり臍を曲げてしまったミーヤ。
ダチョウの卵よりも大きく、縦に長い卵を大事そうに腕の中に抱え、愛おしそうに見つめている。
ミーヤの全身から《手放せなんて酷い事を言わないでくれ〜!》と言うドンヨリとしたオーラが漂って来る。
ブラウがミーヤの手から卵を受け取ろうとするが、卵はゆらゆらしながらも、自分の意志でブラウの手から転がり落ちそうになる。
「!!」
卵が落ちて地面に打つかるか否か…。
慌てたブラウが手を伸ばすが、それさえも卵がさけているかのようにするりと彼の手の間を抜けて行く。
全ての時間が止まったかのように、卵の落下速度が停止した。
「「「「あ!!」」」」
卵は妖しく光りながらも、ふわりふわり空中を漂うとミーヤの腕の中に帰って来た。
「「「…………」」」
「ほら、やっぱり僕の所が良いんだよ」
お帰り僕の卵ちゃん。
ミーヤは嬉しそうに卵に頬ずりをする。
ピシピシ…
空色の卵が左右に揺れ動いたかと思うと、ピタリと止まり卵の上の方に亀裂が入り始めた。
「生まれる!! 生命の誕生だ!!」
ビーツ達は、恐怖のあまり顔色をなくした。
目を開けていられない程に眩い閃光が卵の亀裂から漏れて来る。
小さく皹がはいった所から、爬虫類を思わせるような頭が見えた。
「え…?」
ヒヨコってこんな顔をしてた?
いきなりの事で一瞬現実逃避をしたミーヤ。
その場にいた全員がミーヤを見つめていた。
「あー。ミーヤ それ 竜の子」
気の抜けるようなジャンガの声が、ビーツとブラウの背中に冷や汗をかかせた。
「「竜…の…子?」」
いつもはキラキラ笑顔で優しい王子様のブラウも、竜の卵をミーヤが持っていた事に驚いていた。
しかも、それがふ化し、ピヨピヨ!!と可愛らしい声を出している。
「ミーヤ殿。説明をして頂けませんか?」
ショックから立ち直ったブラウが、ゆっくりミーヤの顔を見る。
その眼差しは完全に怒っていますよ状態だった。
ビーツは溜息をつくしかない。
時渡りの巫女の条件は、女。
そして巫女の側には彼女を守るように佇む竜がいると言うのが古からの良い伝えだ。
巫女、黒髪黒目、膨大な魔力、その上…竜と此処までくれば、もうミーヤに逃げる余地はない。
全く…どうして自ら首を絞めるような事をするんだろうか…
この巫女は…。
ビーツは目の前に立っている巫子を見ていた。




