間幕
気づくと、そこにあったのは破壊された森だった。
茂っていた木々はそのことごとくがなくなり、地には酷い傷跡が残る。
なにが起こったのだろう。
なぜ、自分は無事だったのだろう。
「ユウちゃん? ルムナさん?」
近くに居た二人を呼ぶ。
「キースさん、ルゥイ君……ヴィランちゃん?」
一緒に居たはずの三人を呼ぶ。
誰も、いない。
立ちあがってあたりを見ると、この広い世界に一人だけ、取り残されていた。
いや、違う。
「ルゥイ君っ!!」
近くに、いたのはルゥイ君だった。
離れた場所で、一人うずくまっていたのだ。
一人取り残された訳じゃなかった。
その事に安堵して、不自然なその姿に疑問を抱く。
「それ、なに……?」
ルゥイ君が握っている物。それは良く知っているものだった。
ただの、着物。
でも、先ほどまでキースさんが纏っていたはずの――。
「きえちゃった……キース、きえちゃったの」
「これは困ったわ」
対して困ってないような様子で、彼女は言う。
目の前には鉄の柵。
周囲は壁で囲まれていて、逃げ場はない。
一緒にいれられた女の子が目を覚まして、彼女の姿に驚いている。
「うーん。これは困ったわ」
「な、なにが困ったんですか?」
「シエルに用があったのに、あの子がいないのよ」
あっけらかんと、流夢薙は言った。
捕まっている事に動揺した様子も無く、シエルが居ない事に困ったように。
「で、ここはどこなのかしら? でも一番に疑問なのは、貴方……誰?」
初対面である二人は、同じ檻の中。
どこぞともしれない場所で、交流を深めることとなる。
宵闇が訪れる。
暗い森のその中心。開けた丘の上。
そこに居たのは神――スサノオ。
そして、その後ろには二人の巫子。
「観念してくれ、スサノオ」
「貴方は重大な罪を犯そうとしている」
「それゆえに、お前を、ツクヨミと」
「アマテラスの名のもとに」
二つの声。低音と高音。
まじりあったその言葉は、風に消えた。
「神威を剥奪する」
誰も居ない部屋の中。
ずっとそれは待っていた。
何時か現れる本当の主を。
廃棄として処分されるその前に。
さて、次はどんな人が現れるのか。
そう、彼はまどろみの淵で考える。
さて、次は殺す価値のあるモノか、無いモノか。




