表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/36

愚かな姉妹




「うそつきなかみさま。その嘘に踊らされるのは偽物のお人形。それでもきっと許してしまうのでしょうネ」


白の大理石が一面に広がっている。

あまりにも広すぎて、空虚な部屋。

そこに置かれた二つの玉座。

その一つに座っていた少女は、立ちあがって窓まで歩いていく。


黒の髪が揺れる。

その顔はシェルリーズと酷似をしていたが、その表情はあまりにもかけ離れていた。

諦めている様な、楽しんでいる様な空虚な笑み。

「その人形にはそのかみさましかいなかったから。いや、でもそれなら……」

その足取りは軽い。まるで、羽でも生えているかのように。

無邪気な子どものように早歩きになりながらも窓へ向かう。

整った顔にはどこか歪な、愉悦の笑みが浮かんでいた。

「それなら、もしもそのお人形が他に大切なモノを手に入れてしまったら……どうなるのかしら?」

少々音を立てて窓が開けられる。

彼女の背丈よりも巨大な窓だ。

開けられた窓から風が吹き込み、黒髪を宙に遊ばせる。

そこからバルコニーにでると、少女は身を乗り出した。


くす……くすくすくすくす


その口からこぼれるのは歪んだ笑い声。

聴く者を狂わす、沈んだ声。

「どこに行くのですか?」

いつの間にかその後ろにいた青年――プルートは少女に問う。

それに対し、彼女はさも当然そうに言うのだった。

「あら、プルート。それはもちろん、『私』の妹の所よ。丁度、あの場所の近くを通りかかったらしいのヨ。ちょうどいいじゃない。あの偽物の子も回収して、私の半身も帰ってきてもらいましょう?」


もう、あの忌々しい世界樹はいない。ティルクスノートの守護下から離れた。


もともと、『私』が見つけた大切な宝物なのだ。

それがなんでシエルの元にある。

許せない。

その感情はありえないはずのもの。


「ふふっ、シャラもそう思っているようよ?」


シャラージュ(・・・・・・)は、笑いながらプルートに手を差し出した。


「さあ、イキマショウ?」

「えぇ。貴方の為ならば、なんでもいたしましょう。美しい黒の姫――『スフィラ(・・・・)』」


くすくす……


笑い声は木霊する。


シャラージュの姿をした神は嗤う。

自分に気づかない愚かな『妹』を。

自分に影響を与えているやはり愚かな『姉』を。

そして、愚かな神と精霊達を。


「さぁ、復讐は始まったばかり。私は人間達の願いを叶えてあげるだけ」









それは、突然のことだった。

続く旅の中で、変化の無い森の中で、現れたのは私の求めていた少女。そう、シャラで。

彼女は嗤って、酷く変わり果てた笑みを浮かべて、


「久しぶりね、シェルリーズ。残念だけど、今日はアナタに会いに来たわけじゃないの。そこにある偽物を取り戻しに来たの」


そう言って、ルゥイ君を指した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ