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理由の町へ


森の中を、ある不思議な一団が進む。

少女が三人。そして、子どもが二人。

争いが無いとはいえ、妖怪などが存在する世界だ。

それなのに、女子供だけ。危険ではないのだろうか。

しかし、そんな事は一切心配無用だった。


キースの昆が妖怪を牽制する。

その間にユウとヴィランの呪術と魔法が発動。

ひるんだ妖怪にシエルの剣が向かう。

大抵、それで戦闘終了。

妖怪は逃げていくか倒される。



「結局、ヴィランちゃんは一緒に来ることになったんですね」

休憩しながら森の中を進む中、私はヴィランに問いかけた。

彼女は私の事が嫌いらしく、なるべく離れた場所でルゥイの後ろにいる。

ちょっぴり寂しいし、どうしてなのか分からないけど、ルゥイ君の話ではただ単に苦手なだけだから気にしない方が良いと言われた。それでも、やっぱり気になってしまうけど。

「どうやら、同じ場所を目指しているらしくてね」

そう答えたのはキースさんだった。

ヴィランは応えてくれない。

「えっ、聖域に……?」

それは、危険なことじゃないのだろうか。

「あのね、ルゥイ……いきたい場所、あるの」

ルゥイ君は寂しそうな顔で口を開いた。

「それが、聖域にあるの?」

「うん!」

この前まで寝込んでいた事を感じさせない笑顔だった。

既に全快しているし、お医者さまからも大丈夫と言われたけど……旅をして大丈夫なのだろうか。

それに、人は聖域の中になにがあるのか、知らない。

彼が目指している場所が、本当に聖域にあるのか分からないのだ。


そんな事を私が考えているという事をルゥイ君は知らず、初めて同じくらいの年嵩で友達になったというユウとお話しをしていた。

ユウちゃんは次の目的地……エルフ達の住んでいる場所までは一緒にいることになっている。

「さてと、行こうかね」

キースさんの声と共に、私達はまた歩きだした。

どこまでも変わらない森の中。

私達は進み続けていた。



なのに、それを見る視線に気づかなかった。

気づけなかった。





日は、いずれ沈む。

あたりが橙の炎のような光に照らされる頃、森を抜け、大きな町に出た。

新しく出来た町の様で、考えて作られた整備された町の中。それなのに、人はあまりいないという矛盾した町。

ルゥイ君は突然立ち止まると町の中に立つ鐘つき堂の方へと視線を廻らしていた。

ヴィランは不機嫌そうな顔で見ている。

何時も不機嫌な顔をしていたヤヅキ君がいなくなってしまったら、こんどはヴィランちゃんが不機嫌な顔をするようだ。

「あそこはね、この町で一番大きな鐘楼堂だよ。このへんじゃあれほど大きいのはあまりないね」

「そうなんですか? このあたりに詳しいんですね……」

もともとこの国に住んでいる訳でもない私よりも詳しいのは当たり前だけど、それにしてはこの町の事をよく知っているようだ。

誰かに道を聞く訳でもなく、私たちを先導してくれている。

「とりあえず、今日はここまでで宿に向かおうか」

その足取りは迷いが無かった。

「どこにあるか知ってるの?」

ユウちゃんが私も考えていた質問をする。

「あぁ、この町は……この町が出来る前から知ってるからね」

どこか、切なそうにキースさんは周囲を見渡す。

数少ない街人たちは旅人という事で少しだけこちらを注目していた。

よほど、思い出深いのだろう。

出来る前からという事は、この土地が切り開かれる前からここを知っていたという事。それは思い入れのある場所なのかもしれない。

でも、マーメイドであるはずのキースさんがなぜ、こんな場所に?

そもそも、足がある時点で本当にマーメイドなのかわからないけれど、どうなのだろう。

いや、でもマーメイドたちとお話ししていたし……?

そんな中、私はルゥイ君が何かを言いたそうにキースさんを見ていたのに気づかなかった。

「さてと、はいはい、いくよ」

「あっ、うんっ」

「そうですね。早めに宿を取れれば、少し町の中を見れるかも」

日は沈み始めたら早い。

少し早足になりながら、私たちは宿屋へと向かって行った。






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