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ある夜の事


それは、ある夜の事。

場所は宿屋。キースと夜月のみが起きていた深夜。

「突然だが、招集された」

「は?」

突然の夜月の言葉に、キースは眉をひそめた。


あれから、数日。

場所を移動する事もなく、シエル達は町に滞在していた。

理由は多々あるが、もっとも大きな理由はユウの住んでいた隠れ里が襲われた理由、そして居なくなった人々はどこに行ったのか。

神域に行くためにも、森の民の協力は欲しい所。もしも見つからなかったときのために、他の森の民の隠れ里はどこなのか、またどうするかなどを考慮に入れて、調べていたのだ。

そして、ユウ、ヴィランとあの子どもをどうするのか。

ユウはもう連れていくしかないという事で結論は出ている。

元々森の民と人間の仲は良いとは言えない。彼女を人間しかいない場所に預けるよりも、違う場所の森の民の隠れ里へ行った時に預けた方がいいのではないかという事でだ。

そして、ヴィランとあの子ども……ルゥイ。

夜月から言わせれば、歩く不審物のようなヴィラン。彼女をのこのままにしていいのか。そして、大精霊なんてものに追われているルゥイは、一体何者なのか。

つっこみどころがありすぎる彼等をこのままにしていいのか。

考えることがありすぎる。

そして、今回の夜月の発言。

「招集って、まさかルムナにかい?」

「あぁ。どうも、スサノオが何かやらかしたらしい。ついさっき、式文が届いた」

前々からヤバイかもしれないとは思っていたが、なぜ今なのか。

軽くため息をつきながら先ほど届いた文をキースに見せる。

「あいつは何を考えてんだ? オレに子守をさせたり、呼び戻したり……最初からオレを外に出さなきゃもっと穏便に済まされたはずなのに」

「さぁ。どうなんだろうね。ルムナの考えることは何時も奇抜すぎてあたしには何とも言えないよ」

「だろうな」

あんな人間が、一国を背負っているなんて何か間違っているだろ。

そうぼやきながら夜月は荷をまとめる。

もともと少なかったそれはすぐに集められた。

「おいおい。シエル達には何も言わないで行くのかい?」

シエル達が寝ているであろう隣の部屋を片目に、夜月は実に嫌な顔をする。

ちなみに、夜月は違う部屋で一人だ。今はキースの部屋にこの後の事を伝えるために来ていた。

「せいぜい死ぬなよと伝えとけ」

「まったく、夜月は素直じゃないねぇ」

そんな夜月とはキースは正反対に微笑した。

どこか、子どもを見守る母親のようなソレに、夜月は気づかない。

「なにがだ。ようやく子守から解放されるんだ。いいだろ」

「子守って……あんたも十分子どものくせに、生意気いってんじゃないよ」

「どう見ても、オレよりガキだろ。特にヴィランとかいうアレ。なんだ、あいつはっ」

「さぁね?」

「あんな得体のしれない奴と一緒に居るなんてどうかしてる」

「それを言ったら、足のある人魚なんて得体のしれない奴と今まで一緒に居たのはどう言い訳するんだい」

「そ、それは……別に、キースは得体のしれない奴なんかじゃないだろ」

夜月とキースの付き合いは、三年ほど前に遡る。

人魚が足を手に入れて、人間と共にとある神から逃避行をした。そんな噂を聞いた流夢薙が夜月にその二人を連れて来るよう命令されたことで。

「夜月……とにかく、気をつけてな」

「誰に言ってんだ」

文句を言いっているが、隣に寝ているはずのシエル達を気遣っているのか小声だ。

気づいているキースは苦笑しながら夜月の頭をかき混ぜるように乱暴に撫ぜた。

「さて、急を要するんだろう? じゃあね」

「……またな」

暗い部屋から夜月は出ていく。


夜が明ける前にその町から夜月の姿は無くなった。




「ということで、夜月が首都へ帰ったよ」

「えぇっ?!」

えっ、どうして?

疑問を浮かべる私。それにユウちゃんやルゥイ君も首をかしげる。

ルゥイ君に関しては私のまねをしているみたいだった。

「それがねぇ、ルムナの奴から招集をかけられたみたいでね」

「そう、なんですか」

流夢薙さん……あの人が?

あの人はよく解らない人だ。

私の素性を知ってたのはともかく、言動も行動も、予想するどころじゃない。

全ての斜め上を行っている。

そういえば、夜月君を一緒に連れてけっていったのも流夢薙さんだ。

それがどうして招集してわざわざ呼び戻したのだろう。

「まぁ、いろいろあったんだとさ」

「いろいろ……結局、ヤヅキ君に嫌われたままで終わっちゃったようですね……」

「え?」

だって、いつだって不機嫌そうだった。それに、私には何も言わないで戻って行ってしまった。

最後に、お礼くらい言いたかったのに。

「こわいかおのお兄さん、どうしてよるに行っちゃったの?」

「そうだねぇ、夜月はちょっと恥ずかしがり屋だからかな」

「?」

ユウちゃんがまた首をかしげる。

夜月君……恐い顔のお兄さんで覚えられてしまったようだ。ちょっとだけ、可哀想かも……。

「とりあえず、ヴィランとルゥイのこの後の事を考えようか」

「あ、はいっ」

そうだ。

ヴィランちゃんとルゥイ君の事。これから、どうするのか。

聞かないといけないし、どうすればいいのか考えないといけない。




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