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目覚め


ここは、どこ?




目を覚ますと、見知らぬ場所だった。

シェンラル王国では珍しい木造の家で、初めて見る木の天井が新鮮だ。

「あ、あれ?」

状況を確認して見ると、敷かれた布団に私は寝かされていた。

なんで?

私は、シャラに会いに行ったのに……。

「……あ」

すぐに思い出す。

私はシャラに会って、海に落されたんだ。

体が宙に浮き、気づいた時には抗えない波に攫われていた。

その時の恐怖を思い出し、震える体を止めようとする。


「おう、起きたみたいだね」


「……?」

起きあがり、声の聞こえたほうを見ると艶やかな女性がいた。

私よりも鮮やかな金髪に、深い海よりも美しい碧眼。こちらが恥ずかしくなるような美女だった。

「あたしはキース。あんたは?」

「私は、シエルです。シェルリーズ……アヴィア」

シェルリーズ・アヴィア。

それが私の名前……だった(・・・)

「そうかい。その分だと、大丈夫そうだね」

キースさんは優しくほほ笑む。

「あ……貴女が助けて下さったんですか? ありがとうございます」

海に落ちて波に攫われた後、何があったのかまったく覚えていない。

でも、私は生きている。

なら、彼女が私を助けてくれたのだろう。

「いや、あたしじゃないよ。この家のほんとうのあるじさ」

「え」

この人が、助けてくれたんじゃなかったようだ。

それに、この家の主でもない。なら、そのあるじはどこにいるのだろう。

「では、その方はどこに?」

「ちょっとようがあってね。今はいないんだ」

「そう、ですか……」

「で、あんた、どこから来たんだい? わかる所なら、あたしが送ってあげるよ」

「ありがとうございます。あの生まれはシェンラル王国なんですけど……セレスティア王国に、行きたいんです。行かなきゃいけないんです」

そこまで言って、一番重要なことを聞いてなかったことを思い出す。

「あと、ここはどこですか?」

それを聞いたキースは、とても哀しそうな顔をした。

「そうか……あんたは、向こうの国から来たんだね。……ここは、巫五(ふご)の国。あんたはあんたの住んでいた国には、もう二度と戻れないよ」

「……え?」


それは、私の世界を壊す言葉だった。




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