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出遭い
静かな浜辺。
そこに、金色の何かが流れ着いていた。
黒髪の少年が飛びかう海辺の鳥たちに導かれ、そこに辿り着く。
流れ着いたそれを見ると、息を飲んだ。
美しかった……。
それは、人。
美しい金色の髪を持つ少女だった。
白の陶磁のような肌には生気が無く、いつ逝ってもわからないような状態で浜辺に倒れていた。
少女は、少年に気づいたのかゆっくりと目を開けて手を伸ばす。
「……とめ…な、いと…」
はちみつ色の瞳には、少年ではなく、止めなくてはならない『彼女』の姿が映っていた。
「……シャラ」
少女の伸ばした手は、虚しくも白い砂の上に墜ちる。
少年は、無言で少女を見つめる。
一度少女に手を伸ばしかけて、止める。
そして、その手を見てため息をついた。
「面倒だな……」
そう言い訳するように言うと、少年は少女のもとを去った。
その出遭いは運命だったのかも、しれない。
週一更新予定。
話の展開はかなりのんびりです。