5話
泉屋 修二
映画は、エンドロールの最後まで見る主義だ。特に最近の映画は、エンドロール後にオマケシーンみたいなのが付いている事が多い。しかも、それが結構重要なシーンだったりする。たった今見終わった映画『プロジェクト・ボーイ』には、そんなオマケシーンは無かったけど。
エンドロールが流れ終わり、劇場内が明るくなる。こうして見ると、意外と観客が入っていたのが分かる。みんなのそのそと席から立ち上がって、出口へと向かう。俺も空になったキャラメルポップコーンの箱と、メロンソーダが入っていた空の容器を持って、席を立った。
この映画館は、大きなショッピングモール内に入っている。映画を大画面で見たかったら、ここに来るしかない。俺の家からは少し距離があるけど、映画鑑賞が趣味の俺にとって、そんなに移動は苦にならない。
劇場から出ると、俺は必ずグッズ売り場を覗く。いつも見終わって、その作品が俺の中で気に入った映画にノミネートされたら、パンフレットを買うのが恒例となっている。『プロジェクト・ボーイ』は、期待以上のハリウッド映画だった。ある日、地球上で異常気象が多発する。原因は、たった1人の17歳の少年だった。少年は“神”と呼ばれる存在から、力を授かったと語り、その力で世界を滅ぼそうとする。“神”とは何なのか。何故、少年は世界を滅ぼそうとするのか。『プロジェクト・ボーイ』はそんなSFサスペンス映画だった。
今月は財布の中身が貧相だ。パンフレットの値段もバカにならない。900円か⋯うーん。買おうかどうか、悩みに悩む。
「やっぱり、泉屋君じゃん。」
声を掛けて来たのは、同じクラスの増田だった。ヒールを履いているようで、いつもより彼女の背が高く感じる。
「あれ、何してんの?」
「映画見てたの。『プロジェクト・ボーイ』。劇場から出て行く時さあ、あれ、もしかして泉屋君じゃね?と思って。」
どうやら増田と同じ回を鑑賞していたらしい。
「気が付かなかった。何処にいた?」
「私、1番後ろの席だったから。」
「そうなんだ。増田もこういう映画見るんだな。意外だわ。」
「そう?私、こう見えて映画好きだよ。どう見えてるか知らないけど。」
増田とは1年生の時から同じクラスで、程々に仲が良い。キッカケがあれば普通に話したりする間柄だ。
「ここの映画館、よく来んの?」
「来るよ。映画見たかったら、ここに来るしかないし。」
「分かるー。私もたまーにここ来るよ。」
プライベートで始めて増田に会った。いつも制服姿か体操服姿でしか見ないから、増田の私服姿は新鮮だ。青いジーンズ姿は、よく似合ってると思う。
「増田が一人映画するとは思わなかったよ。」
「そう?」
「うん。いつも誰かしらと一緒にいるイメージだから。」
「今日はちょっと暇だったから。オシャレに1人映画を決めてみたの。」
増田の中で、1人映画はオシャレな行動に分類されるらしい。
「へー。」
無感情な相槌を打つ。さて、この後どうしたものか。別にここで別れてもいいんだけど、何か気まずいな。
「ねー、これから暇だったらさあ、ちょっとカフェ付き合ってよ。」
増田が体を大きく左右に揺らしながら、俺に提案してきた。
「⋯別にいいけど。」
「いえーい。」
増田が右手でピースサインを作る。思ってもいない展開になったな。結局俺はカフェに行くならと、『プロジェクト・ボーイ』のパンフレット購入は断念した。
映画館から離れ、違うフロアにあるカフェに2人で入店した。店内はほぼ満席だったが、たまたま2名席が1つだけ空いていたようだった。
「ふうーあぶねー。ギリギリ座れた感じだね。」
「ここのカフェ、いつも混んでるよな。」
テーブルに置かれたメニューを増田が手に取り、俺にもメニューが見えるように、横に大きく広げてくれた。
「どうしようかな。泉屋君ってなに、コーヒーとか飲んじゃう人?」
「微糖なら飲むけど。」
「飲めるんだ。大人だねぇ。」
「微糖なら誰でも飲めるだろ。」
「だったらコーヒー牛乳で良くない?」
「それは、なんか⋯違うんだよ。」
「ふーん。えー、どうしよう。甘いやつがいいな。あとケーキ。あ、ケーキセットにしたら安くなるんだね。」
「増田、映画見てる時何も食べなかったの?」
「食べたよ。ポップコーンセット。塩バター味。」
「ああ、そう。」
「泉屋君、こいつポップコーンセット食ったくせに、ケーキも食べんのかよとか思った?思ったよね、今の顔は!」
図星だった。
「いいの。いつも運動してるし。私、大食漢だから。」
「増田は陸上部だもんな。」
「そう。食べても食べてもカロリーが消費されるからいいのだ。」
増田はそれはそれは甘そうなホットキャラメルラテとチョコレートケーキのセットを注文し、俺はアイスレモネードだけを注文した。
「泉屋君とプライベートで会うのって、初?」
「多分そう。」
「私、ここによく来るのに、会わないもんだね。」
「そうだなあ。」
増田はいつもと雰囲気が違う。私服だからっていうのもあるけど。そうか、理由が分かった。化粧だ。増田は化粧をしているんだ。唇の色も、学校で見るよりも明るくてピンク色な気がする。いつもよりも大人っぽい。
「何、私の顔になんか付いてる?」
「ううん。学校で会うときより、なんか雰囲気が違うから。」
「あら、そうかしら。それはいい意味で?」
増田はわざとらしく手で髪をなびかせた。
「⋯うん。」
「なにその間は!」
テーブルに届けられたチョコレートケーキを美味い美味いと呟きながら、増田が食べ進めていく。俺はストローでアイスレモネードを吸いながら、そんな増田の事を見つめた。
「増田ってさ、彼氏いないの?」
「ええっ。」
増田がさすがに食べる手を止めた。
「な、なに急に。びっくりした。」
「いや、ほら、彼氏いるんなら悪いじゃん。俺とこうしてたら。」
「まあ確かにそうかも。しかし残念。私に彼氏はいないのです。」
「いないんだ。」
増田は面白い奴だし、愛嬌もある。モテると思うんだけどな。
「泉屋君は?」
「いない。」
「じゃあ、私達はソロ組だね。」
そう言うと、増田はチョコレートケーキを再び食べ始めた。ソロ組、か。
「あ、ねえ、泉屋君。そうだ。これも何かの縁という事で、聞きたいん事があるんだけど。」
「ん?」
「いや、あの、そのお〜⋯えーっと。」
「何だよ。」
「高梨君って⋯今、彼女いるか分かる?泉屋君、高梨君と仲良いでしょ。」
俺は一瞬フリーズする。高梨⋯高梨だって?
「えっ、高梨?あの高梨?ウチのクラスの?」
「うん。あの高梨。」
「何でそんな事知りたいの?」
「そんな事って⋯ま、まあ理由は⋯そ⋯それを聞くのは⋯や、野暮ってやつですよ。」
「増田⋯えっ、好きってこと?高梨の事が。」
「ぐわあー!どストレート質問きたあああ。」
増田の顔が真っ赤になっている。いつも通り振る舞っているみたいだけど、明らかに恥ずかしがっているのが丸分かりだ。
「好きがどうかは⋯ご想像にお任せします。」
「好きじゃん、もうそれは、好きじゃん。」
「だ・か・ら!ご想像にお任せします⋯。」
「高梨⋯あ、そう、へー高梨⋯!」
「し、質問に答えてよっ!」
「彼女はいないんじゃない?」
「へ、へー。そう⋯。」
増田と高梨って、なんか全然タイプ違うけど。陸上部と帰宅部だろ?あと、増田の方が高梨より背が高いよな。そういうの気にならないのか。これは興味深い。
「増田が、高梨か。なるなる。」
「何も言ってないじゃん!ご想像にお任せしますって。」
「で、何で高梨の事が好きなの?」
「聞けや人の話。」
「もはやいいじゃん。」
「ぐぐ⋯。」
増田はおもむろに、キャラメルラテに口を付けた。
「優しいでしょ?高梨君。」
増田は、今までで1番の小声で、ぼそっと教えてくれた。
「それだけ?」
「あと⋯普通にタイプ。」
「ほえー。」
思わずほえーと口に出てしまった。いやあ、人の恋愛のタイプなんて本当に分からないもんだ。増田が高梨。なんか凄いな。面白い。
「ああっ恥ずかしいっ!穴掘って地面に埋まりたいっ!ぐああっ。」
増田が勝手に悶えている。
「いいじゃん。頑張って。」
「ううっ⋯ありがとう⋯でもやっぱり恥ずかしい⋯!私、泉屋君が初めてなんだからね!この事話したの!」
「そうなの!?」
「そうだよ!」
「畠中とか篠宮は知ってるんじゃないの!?」
「知らないよ!話してないもん、誰にも。」
増田は友達が多いイメージがある。教室で、いつも誰かしらとワイワイガヤガヤしてる。だから、恋バナ的なやつを勿論誰かしらとしてるだろうと思っていたけど。ん、じゃあ⋯。
「何で俺に話したの?」
「⋯逆に近過ぎる相手には、話しづらいというか⋯ごめんね⋯変な意味じゃないんだけど。」
「いやいいんだけど。そっかそっか。」
「あとね、私そろそろ行動に移したいの。」
「告白するってことか。」
「⋯チャンスがあれば。」
増田が少しだけ俯く。何だか、俺までドキドキしてしまう。
「高校生活なんてさ、あっという間に終わっちゃうでしょ?だから、やれる事はやりたいんだよね、私。後悔したくないっていうか。」
「応援するよ。」
増田からそう言われて、俺も何だか色々と考えてしまった。そう、増田の言う通り、高校生活なんてあっという間に終わってしまう。
この事は誰にも言わないでよ!言ったら粉々に粉砕するから!という恐ろしい脅しを増田から受け、俺達は解散した。増田と話したからか、さっき見た『プロジェクト・ボーイ』の記憶は、既にもう薄れつつあった。
それからというもの。俺は教室にいると、増田と高梨の事が気になるようになった。増田はいつも通りだし、高梨も別に変わりない。2人ともそれそれの学園生活を送っている。だけど、増田の事を注視していると、ちょくちょく高梨の事を見ている事に気が付いた。やっぱり高梨の事が気になるみたいだ。
ある時、自分の座席から増田の事を見ていると、たまたま彼女と目が合った。俺は敢えて目を逸らさず、彼女と睨み合いになった。増田からは『何見てんのよ』という圧を感じる。俺は『どうすんだよ』という圧を送り返した。増田は俺の圧に負け、目を逸らした。よし、勝った。
移動教室に向かう途中。廊下で増田に捕まった。増田は小声で囁くように話し掛けてきた。
「おいおい、何だねあの視線は。」
「応援の眼差し。」
「あれが?嘘つけ!」
増田と話していると、丁度後ろから高梨が歩いて来た。隣には中川も一緒にいる。
「何コソコソやってんだお前ら。デート?」
中川が速攻いじってきた。
「はあ?違うわい!ばーか!」
増田はチラッと高梨の事を見たかと思うと、前方を先に歩いていた篠宮と畠中の所へ、逃げるように飛んで行った。
「何だったの?」
「別になんもない。ただのいつもの増田。」
「なんだ、ただのいつもの増田か。」
高梨も、増田の後ろ姿をぼーっと見ている気がした。高梨とはよく話すけど、何考えてんのかよく分からない時が結構ある。まさか増田が、自分の事を好いているなんて、多分思ってもいないだろうな。
「増田ってなんかこう⋯元気だよな。高梨もそう思わねー?」
何となく雑に高梨に話しを振ってみた。
「元気だよね。毎日、長距離走ってるだけあって、体力あるんじゃないかな。」
普通に返された。まあそうだよな。高梨って、自分よりも背が高い女子の事、タイプに入るんだろうか。
「増田って、彼氏いんのかな。」
俺は知っていて知らないフリをしてみた。自分でも何でこんな事を言ったのかよく分からないけど、取り敢えず、会話に一石を投じてみた。
「えっ、増田彼氏いんの?」
中川が先に食い付いた。
「いや、知らんけども。いんのかなって。」
「ああ⋯。いないん⋯じゃね?」
「増田さん、人気ありそうだけど。」
高梨が口を開く。そうなんだ。増田って、実は男子から人気があるイメージ。冷静に考えて、可愛いと思う。性格もああいう感じだし。一緒にいたら退屈しなさそうだ。
「増田って背が高いから、彼氏もデカい奴が選ばれんのかね。普通は自分よりもデカい奴がタイプだよな、女子って。」
中川め、余計な事を。
「高梨、残念だったな。」
中川が高梨の肩に手を置く。
「俺なんか眼中にないだろうね。」
高梨が笑顔で大人の対応を取る。いやいや、むっちゃ眼中にあるんだよ、高梨。お前なんだよお前。増田はお前なの!
両想いだったら、楽なんだけどなあ。高梨が誰の事が好きなのか分からないし、なんかそういう話をする空気にも、これまでなった事がない。仲は良いけど、いきなり『高梨って誰が好きなの?』とか聞くのも変だよな。
放課後になった。有り難い事に、我が校には映画研究部が存在する。自主制作映画を撮って、文化祭で上映したり、映画鑑賞会を開いたり⋯映画が好きなら、取り敢えずここに所属しておけばいいという部活だ。俺は中学まで卓球部に所属していたが、この高校に入って映画研究部が存在すると知ると、何の悔いもなく卓球部を引退した。
教室では、掃除当番の人間がせっせと動き出す。今日は当番だったらしい増田が、掃除箱からボロボロの箒を取り出して、床を掃き始めた。
「高梨。」
帰ろうとしていた高梨に声を掛ける。
「帰んの?」
「迷ってる。図書室行こうか、帰ろうか。」
「図書室好きだなーお前。」
「図書室が好きなんじゃなくて、本が好きなんだよ。」
「そうだ。何かさ、オススメの恋愛小説ない?」
俺は“恋愛”という部分を強調して声に出した。増田が何だ何だと、こちらの様子を伺っているのが分かる。面白い奴だ。
「恋愛小説?」
「映研でさあ、何か恋愛映画撮ろうぜみたいな流れがあって。俺は嫌なんだけど。」
「ほう。」
「で、多分、俺が脚本書くのよ。他の奴と共同だけど。」
「泉屋、映画好きなんだから、恋愛映画とか見てるんじゃないの?」
「それが全く。そっちの畑には興味が無いもんで。勿論そういう映画も見て研究しなきゃなんだけど、なんか参考になりそうな本ない?何でもいいんだけど。普段恋愛系、読む?」
“恋愛”という単語が出る度に、俺はその部分だけ、微妙に声量を上げる。
「読むよ。どんなジャンルがいい?純愛系?青春系?ドロドロ系?恐怖系?」
「そんなにあんのか。じゃあ⋯。」
俺は増田を横目で見た。またもや増田と目が合った。
「増田。ちょっと。」
俺は箒をちょこまかと動かす増田を呼んだ。彼女はゆっくりとこちらに近付いて来た。
「何。掃除してんだけど。」
「恋愛映画見るなら、どんな恋愛映画が見たい?」
「はあっ?何その質問?意味わかんないだけど。」
「泉屋、映研で恋愛映画作るらしいよ。それで、脚本書くんだって。」
高梨がすぐに補足してくれた。
「へ、へー。そうなんだ。ウチの映画研究部に、恋愛映画なんて作れるとは到底思えんけど。」
「それを言うなそれを。まあいいや。で、女子目線の意見を聞きたいんだよ。恋愛映画、どんな内容だったら見たい?」
「どんな内容って。そうだなあ。男と女がイチャコラして、最後にチュー、ジ・エンド的な?」
「そういう事じゃねーよ。」
「純愛系とか、ドロドロ系とか、そういうのだよ。泉屋が聞いてるのは。」
高梨が増田に優しくツッコむ。
「なるほどね。うーん、どうだろうな。見るんなら
、じゅ⋯純愛系ですかね。」
意外な答えだった。
「へーーーーーーーーーーー。」
「何よ。」
「純愛だって。増田は純愛が見たいんだって、高梨。」
「そっちが聞いたんじゃんか!」
「セカチュー的な作品?」
「⋯そうだね。うん。なんか良くない?そういうの。ロマンチックで憧れるじゃん。」
「増田って、女子なんだな。」
「どういう意味だコラ。」
「でも確かに、当たり障りないのは純愛だよな。高梨、じゃあなんかその辺の本でオススメ教えてくれよ。この後、図書室一緒に行くから。」
「いいよ。」
「ねーねー、映研が撮るって事はさ、出演者も映研のメンバーってことでしょ?大丈夫なのそれ。」
「大丈夫じゃない。だから嫌なんだよ。でも映研女子メンバーがやりたいんだと。普段変なのばっかり撮ってるから。だがしかし。恋愛もので主演をはれるようなヤツなんか、ウチの映研にはいない。」
「誰かに頼めばいいんじゃない?出演を。」
高梨が提案してくれた。
「確かにその通り。じゃあ、もしもの時は頼むから。増田、高梨。」
「「は?」」
2人の声が揃って、俺は思わず噴き出しそうになった。
「嫌だよ?私、絶対に出演しないからね!?」
「俺も嫌だからね?」
「はいはい、うんうん。」
「いやマジで!演技とか出来ないから!部活もあるし!」
「高梨は帰宅部だから問題ないよな?」
「いや、あるよ?」
「マジな話、ほんっとうに出演者に困ったら、助けてくれよ。な?」
「いや⋯脇役とかならともかく⋯ねえ、高梨君。」
「そうだよ。増田さんの言う通り。」
「ありがとう、2人とも。俺は良い友達を持った。」
「箒でぶん殴るよ?」
増田と別れ、俺は高梨と一緒に図書室に向かった。道中、高梨は俺に探りを入れてきた。どうやら、色々と気になったらしい。
「どうしたの?」
「何が?」
「さっきの。」
「さっきの?どの事言ってる?」
「恋愛映画、本当に作るの?」
「それは今の所マジ。残念ながら。」
「脚本書くのも?」
「うん。まだちょっと研究段階だけど。」
「増田さんは?」
「増田がどうした。」
「何で増田さんの事を呼んだの?」
「近くにいたから。」
「ふうん。」
なんだ、そのふうんは。
「増田って、映画好きなんだよ。だから参考になるかと思った。」
「増田さん、映画好きなんだ。」
「らしいよ。」
「ふうん。」
まただ。だから何だよ、そのふうんは。
「いや、実際さ。恋愛映画なんて、出演者がそこそこのビジュアルじゃないと無理だろ?ただでさえ小っ恥ずかしい素人学生映画だぜ?」
「言わんとしてる事は分かる。」
「だろ?残念ながら、映研にイケメンも美少女もいない。企画段階から詰んでんだよ。」
「泉屋が出ればいいじゃん。」
「俺は無理。イケメンじゃないし、俺は裏方専門。だから高梨が言ったみたいに、誰かに出演をお願いするしかないと思うんだよ。ビジュアルが良い奴に。」
「それで増田さん?」
お、いいね。
「増田、ビジュアルどう思う?」
「良いと思う。」
即答じゃん。
「あいつ、黙ってりゃ普通にビジュ良いよな。」
「黙ってりゃって。でも、増田さんがメインヒロインになるなら、増田さんより背丈がある男子を探さないとね。てことで、俺は無理だ。」
高梨が苦笑いを作る。そうか、やっぱり高梨はそう思うんだな。
「いやいや、まだ脇役でも出演チャンスはあるから。続報をお待ち下さい。」




