28話
中川 輝之
この薄暗い体育館の舞台袖でも分かる。板倉さんの顔は真っ赤っだ。告白された。しかもこのタイミングで!?
「⋯その⋯。」
「⋯うん。」
「マジ?」
「マジ。」
「あ、ありがとう。」
「⋯うん。」
「えっと⋯。」
「いいの。返事は。」
「そう⋯なの?」
「こんな時だよ?分かってるんだ、タイミングが悪いって事くらい。ただ言っておきたかったの。どうなるか分からないから。」
「板倉さん⋯。」
ドォーン!
凄まじい揺れだ!何かが落ちて来たような、そんな感じの!
「きゃあぁ!」
「うおおっ!」
板倉さんは、俺の胸元に飛び付いた。俺は咄嗟に板倉さんを抱き締めてしまった。舞台袖の天井からは、パラパラとゴミやらホコリやらが落ちて来る。
「だ、大丈夫?」
「う、うん。ごめん、抱き着いちゃった。」
「いいよ⋯別に。」
板倉さんが俺の事を見上げる。そして、俺の事をじーっと見つめてくる。あれ?この感じは⋯あれ?気が付くと、板倉さんが俺にキスをしていた。俺はただ黙ってそれを受け入れていた。少しして、板倉さんの唇が離れると、俺は急に顔が熱くなってきた。
「えっと⋯その⋯。」
「⋯ごめんなさいっ!私っ⋯!」
「いや、いいんだけど。」
「えっ、いいの?」
「あ、うん。」
「⋯何で⋯いいの?」
「それは⋯。」
次の瞬間、視界が真っ暗になった。激しい音と揺れを、体全体で感じる。もはや自分の体が存在しているのかも分からない。痛みを感じているのかも⋯分からない⋯板倉さんは⋯板倉さんは無事なのか⋯あ⋯これは⋯だめかも⋯意識⋯が⋯あ⋯。




