14話〜15話
高梨 雄介
母さんが外をウロつき始めた。困ったなあ。俺の事が気になって仕方がないんだ。
泉屋 修二
今の所、映画撮影は実に順調だ。クランクイン初日は、撮影していて本当に楽しかった。何より演者が素晴らしい。出演をお願いして、大正解だった。増田、高梨、中川、そりゃ本心は嫌だろうけど、もの凄く頑張って演技してくれている。
特に増田は、光る原石だと思う。正直、ここまで演技が出来るとは思っても見なかった。普段はお馬鹿丸出しのご機嫌野郎なのに、カメラが回るとクラスのマドンナ・鈴木ミナミに様変わりする。いやあ、恐れ入った。増田、あいつ俳優に向いてるんじゃないのか。背も高くて、ビジュアルも悪くないし。
撮影は今日の放課後もある。頭の中で撮影するシーンのイメージを考えながら授業を受ける。正直、授業の内容なんてほとんど聞いていない。
「監督。」
休み時間、増田が俺の元へとやって来た。
「どうしたヒロイン。」
「あのさあ、お願いがあるんだけど。」
「何?」
「今日の撮影、しのっちも一緒に誘ってもいい?」
「見学ってこと?」
「そう。」
増田曰く、最近篠宮の元気が無いらしい。口数も少なく、話し掛けたら話すけど、篠宮からは話し掛けて来ないらしい。確かに最近、あんまり増田とか畠中と喋ってる所を見ないな。
「別にいいけど、何で?」
「私の演技見たらウケるでしょ?」
そういう事か。自虐的だけど増田らしい。
「いいよ。」
「さんきゅー。」
そう言うと増田は席に座る篠宮の所にすぐ向かった。多分、撮影見学に勧誘している。何があったかは分かんないけど、女子にも色々あるんだろう。確かに仲良い奴ほど、そいつの演技を見たら面白いだろうな。




