おっさんと僕とヘスサ その1
いらっしゃいませー いらっしゃいませー
おいしい… おいしいサンドイッチはいかがですかー 蛇肉ステーキのサンドイッチですよー
略して”ヘスサ”ですよ。ヘスサいかがですかー
今なら1,00gですよー おひとついかがですかー
僕は今露店が集まっている場所で朝からサンドイッチを作って売っている。
そうだ、パンに肉をはさんだサンドイッチだ。なんのへんてつもないサンドイッチを売っているのだ。
パンにはさんでいる肉はもちろん蛇肉のステーキだ。
パンは食料の紋様だった???のスクロールを鑑定して食料品ドロップのスクロールから出したパンだ。
パンはお店で売っているものを買って使うのかと思ったが、おっさんが言うには下位の食料品ドロップスクロールから出現するパンは売っているパンとは違いなんとほぼ限界費用ゼロ… つまりタダのようなものだと言われたからだ。
食料品ドロップスクロール一つからパン5個~ ドロップするようだ。
42枚ドロップした???のスクロールから食料品ドロップスクロールは全部で36枚だった。
かなり多いと言うか食料品ドロップスクロールが一番出やすいように思う。
食料品ドロップスクロールでドロップしたパンは小さめで少し固めのパンだったが、僕が知っているパンと同じくらいか… いや少しおいしくない。固めで口ざわりが良いといえばそうかもしれないが、このパンを半分に切ってから蛇肉ステーキを入れて調味料をつけてはさんで完成だ。かんたんだ。僕にでも作れる。
「おっさんっ… 料理スキル10まで上げたのに僕が作って売るのはサンドイッチかよ… これが本当に金策になるのか?」
僕は少し不安になった。これがあのじごくのよう蛇肉ステーキ焼きから解放されたと思ったら次の日また僕は蛇肉のステーキを焼いているからだ。
「ジョンお前これ一つは食べたか…? 食べたことがあるサンドイッチと比べてみろ。飛ぶぞ」
そう言っておっさんは僕に売り物のヘスサと自分が作ったものと一緒に二つ手渡してくれた。
僕はもう蛇肉ステーキはあまり見たくも食べたくはなかったが食べてみた。
おいしかった。
今まで食べていたサンドイッチと比べてかくだんに僕が作ったこっちのほうがおいしいと思った。
比べられるほどサンドイッチを食べたことはないが、そう思えた。
「おっさんが作ったほうはまぁ食べられるくらいかな… こっちは… おいしい… どうしてっ… 普通のサンドイッチのはずなのに… 」
それを聞いておっさんは笑っていた。
「だろ… お前の料理スキル10の成果だ。この蛇肉サンドは料理スキル8以上のやつが作ると格段に美味しくなる。そしてこの秘密のスパイス。これが料理スキルの可能性だ。」
おっさんに言われたとおりに今日初めて作ったこの調味料はマヨネーズと言うらしい。
昨日料理屋の店主と何か話していたのはこのマヨネーズの材料を手に入れてもらうためだったようだ。
料理スキル10の僕が作ったヘスサとおっさんが作ったヘスサを食べ比べてみたらはっきりと分かった。
僕には料理のさいのうがあることを。僕はやはり生産職の人だったのかもしれない。
朝食代わりに簡単に手で持って食べられるからか朝から売れた。
昼飯前には僕はヘスサを11は作って売っていた。
この時点で僕は1,100g懐に持っている。やはり狩りをするより町中で売るのは安全だしこっちのほうが僕には向いているのではないかと思った。
「よし撒き餌はいい感じにできてきたな… 昼からは人通りも朝よりも多くなりもっと売れる… ピークは夕方あたりだな。」
そう売り物のヘスサを露店先で食べながらおっさんは笑っていた。
もちろんおっさんはヘスサを食べているが料金は払ってはいない。
「僕もそう思うよ… こんなおいしいサンドイッチなら昼からもっと売れるよ… 僕どんどん作ってヘスサ売るよ… 」
僕は朝よりもヘスサの量を増やして売ることにした。
いらっしゃいませー いらっしゃいませー
おいしい… おいしいサンドイッチはいかがですかー 蛇肉ステーキのサンドイッチですよー
略して”ヘスサ”ですよ。ヘスサいかがですかー
今なら1,00gですよー おひとついかがですかー
昼飯時は朝よりもお客さんが多く来てくれた。いつも食べているサンドイッチよりおいしいと言ってくれて僕はうれしかった。
朝買ってくれた人がまた昼飯時に買いに来てくれた人もいた。リピーターといわれるお客さんのようだ。
昼過ぎごろにはヘスサは18個近く売れていた。32個作って朝売ったヘスサと合計して29個売れている。
僕の懐には2,900gある計算だ。ホクホクだ。
夕方にまた売る分のヘスサを僕が作っているとおっさんはヘスサの値段を上げろと僕に言ってきた。100gから150gだと言われ僕は言われるがまま値段を150gにした。
いらっしゃいませー いらっしゃいませー
おいしい… おいしいサンドイッチはいかがですかー 蛇肉ステーキのサンドイッチですよー
略して”ヘスサ”ですよ。ヘスサいかがですかー
リピーターもいますよー 朝から大人気ー
今なら150gですよー おひとついかがですかー
朝買ってくれた人や昼飯時に買いに来てくれた人が夕方にも買いに来てくれたりもした。
評判はよいようだ。だが朝や昼に買ってくれた人は値段が上がっていることに対して少しおこっていた。
「おいおい… 朝食べて美味しくて昼も食べてまた夕方にも買いに来たがもう値上げかよ… 値上がってんなー」
「100gで美味しいサンドイッチが露店で売ってるって聞いて買いに来たけど値段が違うわね… この店であってるのかしら… 」
値段を50gも上げてしまったが売れるのかと僕はしんぱいしたが問題はなかったようだ。おっさんが言うには僕の料理スキルで料理したヘスサに調味料のマヨネーズがとてもよくあっておりまだまだ値段を吊り上げることができると言っていた。
夕方過ぎにはヘスサは26個売れた。
今日一日で朝11個昼18個夕方26個売れたため合計62個僕が作ったヘスサは売れたことになる。
今日の稼ぎは6,800gだ。
残りの食料品ドロップスクロールは25枚、蛇肉はたくさん、調味料のマヨネーズはなくなった。
ドブネズミ狩りのレアドロップ品ドネタン狙いの時よりも多く稼ぐことができた。
「今日はもう店仕舞いだ。 さぁ売り上げの折半だジョン… 明日も朝から売るぞ早く寝ろよ… 」
そう言っておっさんは売り上げ金の半分の3,400gと取り置き分として僕に作らせていたヘスサを懐に入れてまたどこかに行ってしまった。
半分おっさんと分けても僕には手元に3,400gもある。大金だ。
まさかあの野蛇狩りがこんな大金に化けるなんてすごいなと思った。
明日もヘスサを朝から売る予定のため早く宿に帰って寝ようかと思ったが少し露店を見回って帰ることにした。
今僕はお金持ちなのだ。何か自分のために買い物をしようと思った。なんでもよかった。
「いらっしゃい… いらっしゃい… さぁ安いよ安いよ… 」
露店の集まりの端のほうまで来たことろで気になる露店を見つけて並べられた商品を見ることにした。
僕には見たこともない商品が並んでいたが、なんとなく技書売りの店だと売り物から判断した。
「さぁそこの坊ちゃんいらっしゃい… 良いもの沢山あるよ… 見てってみてって… 」
おっさんや僕と同じような身なりの店主が手に技書を持って僕にすすめてきた。
「これなんか坊ちゃんにお勧めだよ… 見たところ坊ちゃんは刀剣スキル持ちと見た!とても良い武器スキルを持っているようだ… そんな坊ちゃんにはこれ… 刀剣の技書… この技書を使えば坊ちゃんも今より格段に強くなれーーーる!!」
そういって技書売りの露店の店主は僕に刀剣スキル持ちが使えるという技書を僕に見せてきた。
通称技書 技術指南書と言われるものでこれを使用することによって使用武器のスキル値によって武器専用の技テクニックを発動することが簡単にできるようになる書物だ。
技書を使わなくてもスキル値の高い人に教えてもらったりして覚えることもできるが覚える技テクニックによってはとても取得までに時間がかかる。だが、この技書を使用することによってだれでも簡単に覚えることができる。そのため技書そのものが一つ一つ高価なものだ。
ただし覚えたからと言って絶対に技テクニックが使えたり発動できるわけではなく、必要スキル値、指定武器や専用のアイテムが足りなかったりすると失敗して魔物や対人において隙が発生したりするため注意が必要だ。
「僕にも使える技書売ってたりしますか?… そろそろ僕にも何か必殺技的なのがほしいと思っていたのですが… 」
僕が聞くと店主は満面の笑みで僕にとても良いものを見せてくれた。
「坊ちゃん… 必殺技をお望みで… そうかそうか… やっぱり一つは欲しいわな必殺技… ありますぜ最強の技書がここに… めったに人にはお見せしないのですがね… そのなもアンチェインダスト… 」
そう言って店主は露天先で並べている技書ではなく高価な装飾品がほどこされた大事そうな箱から一つの技書を出してきた。
どうやら本当にすごい技術指南書のようだ。僕はわくわくしていた。
「これはね… いや… やっぱなし… これはまだ坊ちゃんには早いか… 」
そう言って店主は手に持った技術指南書をまた高価な装飾品をほどこされた大事そうな箱に戻そうとする。
僕はあわてた。あわてた
「大丈夫です!僕ならその技書を… 技テクニックを使いこなせてみせます… 必ず… 」
僕は必死に店主に言った。なぜかどうしてもその技書がほしくなったからだ。
ここでこの技術指南書を手に入れられなければ生きている意味もないように思えた。
必死な僕の顔を見て店主は満面の笑みでうなずいていた。
「坊ちゃんには負けた… 負けたよ! よしこの大切な技書を売ってやる!100k… いや50k… やっぱ10Kgだ!もってけ坊ちゃん!!」
えっ 10kっていくらだ… 僕は頭をフル回転させて計算した1kが1000gだからそれの10倍だ10,000gだ。高すぎる… それだけ良いものでもあるが僕には値段が高すぎた…
技術指南書が10,000gで手に入るなんてほかの人から見たら格安なんだろうが今の僕には手が出せない。
「すいません… ほしいのはほしいのですが… 僕には買えそうにないです。10,000gなんてとてもとても… 」
僕はしょんぼりしてしまった。そのしょんぼりすがたが店主にも伝わったのかもしれない。
「そうか… 10kgなんて大人からしたら格安かもしれないが坊ちゃんからしたら大金だわな… おっちゃんが悪かった悪かった… ここは坊ちゃん価格に変更させてもらうよ… 」
技書露店の店主はとてもいい人だったようだ。僕はうれしくなって顔を上げて店主を見つめた。
「よしっ5kだ!半値の半値の半値これ以上はいくら坊ちゃんとおっちゃんとの中でも難しいぜ… 」
僕はまたしょんぼりしてしまった。懐に手を入れて店主に見せないようにゆっくり手持ちのお金を数えてみたがいくら数えても3,500gちょっとだ。買えそうで買えない金額だ。
「今手持ちはこれだけです… 3,715g… 」
手持ちのお金をすべて懐から出して両手で持って技書露店の店主の前に出した。
店主はそれを見てもまだ満面の笑みでうなずいてくれていた。
「3kgちょっとか坊ちゃん… いいだろういいだろう… おっちゃんと坊ちゃんの中だ… 俺も悪人じゃない端数の215gは持っとけ!緊急時のお金だ!」
そう言って技書露店の店主は僕の両手から3,500gちょうど抜き取り僕に技書を押し付けてきた。
僕はうれしかった。元値は100kgという途方もない金額の技書がなんと3.5kつまり3,500gで僕に売ってくれたのだ。僕がその技書を上から見たり下から見たりいろいろな方向から見ていたら技書の使い方を教えてくれた。
「坊ちゃん見たところ技術指南書使ったことがなさそうだな… おっちゃんに任せろ!手を技術指南書にかざして技名を叫ぶんだ!そうすればあら不思議… いつの間にかその技書に書かれている技テクニックが自分のものになっていつの間にか使えるようになっちまうんだ!」
僕は教えてもらった通りに技術指南書に手をかざしてやってみた。
「アンチェインダストトラッシュ!!!!」
技術指南書が光って僕の中に何かが吸収されていく感じがした。これが強くなるということなのか…
また僕は最強に一歩近づいた気がした。
「おぉ~坊ちゃんやったな… 最強に一歩近づいたぞ!!頼む… おっちゃんにはくれぐれも剣は向けないでくれよっ!」
技書露店の店主は笑いながら僕にそう言ってきた。僕はこんなに親切にしてくれたおっちゃんに剣なんか向けないよ絶対にと言いながら僕も笑った。
僕はウキウキで宿屋に帰った。明日はまた早い。朝からヘスサを売らなければならないからだ。
僕はとてもいそがしいのだ。
ステータスのスキル一覧と所持金とアイテム袋内アイテム
武器スキル類
刀剣スキル 4
盾スキル 3
戦闘技術スキル 2
生産スキル類
料理スキル 10
その他
鑑定スキル 0.3
所持金
215g 蛇肉たくさん ???のスクロール6枚 食料品ドロップスクロール25枚




