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僕とパックとモンスターコロシアム その1

 モンスターコロシアムにこれから早速、向かうのかと思っていた僕に、おっさんはまったく違うことを言い出した。


「その前に“仕込み”だ。勝つためのな」


 仕込み……?


 僕には何のことか分からなかったが、おっさんはすでにテイムしたゴブリンの前に立っていた。


「こいつにドーピングをする」


「ドーピング……?」


 聞き慣れない言葉に首をかしげる僕をよそに、おっさんはアイテムボックスからいくつかの道具を取り出した。


「簡単に言えば強化だ。ただし普通の強化じゃない。“従わせる”ための強化だな」


 そう言って、おっさんはゴブリンに何かの液体を飲ませた。


 ゴブリンの目が一瞬、ぎらりと光る。


「……ギィ」


 さっきまでただの魔物だったゴブリンが、明らかに違う雰囲気をまとい始めた。


「これで人の言葉をある程度理解する。あとは――」


 次に取り出したのは、僕が見たこともない武器だった。


 細長くて、金属でできていて、どこか不気味な形をしている。


「これは銃っていう武器だ。ドワーフに作らせた特注品だ」


「じゅう……?」


 剣でも槍でもない武器に、僕は思わず見入ってしまった。


 それを、おっさんは何のためらいもなくゴブリンに渡した。


「え、ちょっと待って!それ僕のゴブリンだよね!?」


「そうだな。だから強くしてやってる」


 そういう問題じゃない気がした。


 僕よりいい装備を持っているゴブリン。


 正直、ちょっと複雑だ。


 というか――


 どう見ても僕より強そうだ。


「いいか、こう構えて――引く」


 おっさんはゴブリンに銃の扱い方を教え始めた。


 ゴブリンはぎこちないながらも、それを真似している。


 理解している。


 本当に理解しているのだ。


「すごい……」


「知能が上がれば命令は聞くようになる。問題ねぇ」


 問題しかない気がするが、ゴブリンはおとなしく従っていた。


 むしろ、妙に従順だ。


 マクダフより扱いやすいんじゃないかと思ってしまうほどに。


(その武器でマクダフを一度、狙って撃って威力を確かめたい……)


 そんなことを少し思ったが、さすがに言わなかった。


---------


 その後。


 僕たちは村の近くでゴブリン狩りを始めた。


 ただし――


「よし、やれ」


「ギィッ!」


 戦っているのは僕じゃない。


 僕のゴブリンが、別のゴブリンを狩っている。


 ゴブリンがゴブリンを狩る光景。


 なんとも言えない気持ちになる。


「これでいいんだ。効率が段違いだろ?」


「う、うん……」


 確かに強い。


 銃を持ったゴブリンは、普通のゴブリン相手なら一方的だった。

 遠距離攻撃ができる僕のゴブリンの前にただ棍棒や短剣を持って向かってくるゴブリンは敵ではない。


 あっという間に討伐が終わっていく。


 そして――


 ギルドでクエスト報告。


 報酬も問題なく受け取れた。薬草採取よりはお金になるがゴブリンはやはり弱いためそんなにお金にならなかった。

でも数が増えると面倒になるため定期的にまたはそれ以上に毎日でもいいから狩る必要性があるようだ。


複数のゴブリンを狩って今回の報酬は3,000gだった。

もちろん、おっさんと報酬は半分こだ。


「よし、準備はできたな」


 おっさんがニヤリと笑う。


「いよいよ本番だ。モンスターコロシアムだ」


---------


 その日の午後。


 僕たちはモンスターコロシアムへ向かった。


 昨日登録したばかりなのに、もう試合に出ることになった。


「そんなにすぐ出れるの?」


「新人戦は枠が余ってることが多い。ちょうどいい」


 会場は想像以上に大きかった。


 歓声、怒号、笑い声。


 いろんな音が混ざり合っている。


 檻の中では魔物同士が戦っていた。


 血の匂いがする。


 ここは、ただの見世物じゃない。


 本気の戦いの場所だ。


「これが……モンスターコロシアム……」


「ビビるなよ。俺たちは“勝つ側”だ」


 おっさんはそう言いながら、どこか楽しそうだった。


 そして小声で続ける。


「いいかジョン。ここはな、“結果が決まってる試合”がある」


「え……?」


「八百長だ」


 やっぱりそうなのか。


「でも、それを逆に利用する」


「どうやって……?」


「簡単だ。決まってる“はず”の結果をひっくり返す。新人が勝てばその分オッズも高い」


 その言葉の意味を、僕はまだ完全には理解できていなかった。


 でも一つだけ分かる。


 これは、ただの試合じゃない。


 “金策”だ。


「第一試合、そろそろだな」


 係員に呼ばれる。


 今回の対戦相手は僕と同じような新人だが勝率が高いらしい。


 僕の心臓がドクンと鳴る。


 檻の向こう側には、別のゴブリン。すでに棍棒を振り回して待機檻の中で暴れまわっている。


 でも――


 明らかに様子が違う。


 弱々しい。


「……あれ?」


「気づいたか?」


 おっさんが小さく笑う。


「相手はこの試合では“勝ち役”だ」


「じゃあ……」


「本来は、あっちが勝つことになってる試合だ」


 ぞくりとした。


 でも――


 僕のゴブリンは違う。


 銃を持っている。


 言葉を理解している。


 普通じゃない。


「行け。パック!」


 檻が開く。


 僕のゴブリンが一歩前に出る。


 そして――


 試合が始まった。


---------

ステータスのスキル一覧と所持金とアイテム袋内アイテム

武器スキル類

刀剣スキル 18

盾スキル 3

戦闘技術スキル 11

生産スキル類

料理スキル 13

その他

鑑定スキル 0.3


所持金

2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚) 蛇肉たくさん ???のスクロール6枚 武器破損した剣 木剣2本 ???の指輪(バンステ金策で入手)ゴブリン(テイム)


装備品 

水トカゲの手袋(呪)骨護札の首かざり 

奴隷のマクダフ

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