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おっさんと僕とマクダフとゴブリンと仕組まれた勝敗

 モンスターコロシアムに登録した翌日、僕たちはギルドで「ゴブリン討伐」の依頼を受けた。


「よしジョン、今回はゴブリンを捕まえるぞ」


「倒すんじゃなくて捕まえるの……? なんでゴブリンなの?」


 僕は首をかしげた。もっと強い魔物のほうが強そうだし、勝てそうな気もする。

 わざわざゴブリンを選ぶ理由がわからない。


 だがおっさんは、ニヤッと笑っただけだった。


「いいからついてこい。理由はあとで分かる」


 嫌な予感がしたが、ここまで来たら従うしかない。


 ---------


 向かった先は、あの竜騎士団反対で騒いでいた村だった。


 村に近づいた瞬間、空気が変わった。


「……なんか、雰囲気悪くない?」


「旦那ぁ…… これは完全に“よそ者お断り”の空気ですぜ」


 村の入り口には、以前よりも多くの人が集まっていた。こちらを見る目が明らかに敵意を帯びている。


「おい!また王国の連中か!?」


「違う違う、僕たちは冒険者だよ!」


 そう言った瞬間だった。


「同じだろうが!!」


 怒号とともに、石が飛んできた。


「うわっ!」


 僕はとっさに身をかがめたが、肩に当たった。痛い。


「旦那ぁ!下がってくだせぇ!」


 マクダフが前に出て僕をかばう。


 おっさんはというと——


「……ちっ、面倒くさいな」


 珍しく露骨に嫌そうな顔をしていた。


 ---------


 結局、僕たちは村の中にまともに入ることすらできなかった。


 村人たちは口々に叫んでいる。


「竜騎士団の仲間だろ!」

「魔物を連れてくる気か!」

「帰れ!!」


 完全に話が通じない。


「なんでこんなことに……」


「旦那ぁ、あいつらもう“理由”で動いてねぇんですよ。“雰囲気”で動いてるだけですぜ」


 マクダフがぼそっと言った。


 僕は少しだけ分かった気がした。


 あのケムトレイルの話も、たぶん同じだ。


 誰かが言ったことを、みんなが信じて、広がって——それが“正しいこと”になってしまう。


 ---------


「仕方ねぇ、外でやるぞ」


 おっさんはそう言って、村の外れの森の方へ向かった。


「ゴブリンはこの辺にも出る。わざわざ村の中に入る必要はない」


「最初からそうすればよかったんじゃないの…?」


「いや、あの反応を見せたかったんだジョン。あの村も後でやる金策の役に立つ。」


「え?」


 意味が分からなかった。


 ---


 森に入ってしばらくすると、すぐにゴブリンが現れた。


「ギギッ!」


「出た!」


 僕は愛用の短剣を構える。


「待て、殺すな。捕まえるだ、木剣でいい……」


「え!?」


「弱らせろ。動けなくなる直前で止める」


 言われた通りに戦うのは、思ったより難しかった。


 倒さないように戦うのは、倒すよりもずっと神経を使う。


「い、今だ!」


 ゴブリンが膝をついた瞬間、おっさんが僕に何かを投げてきた。


「それ使え!」


 受け取ったのは、小さな札のようなものだった。


「これがテイム用アイテムだ。ゴブリンの口を開けて突っ込め!押し込んだら『テイムッ!』って言ってみろ。」


 僕は言われるままに、渡されたそれをゴブリンの口の中に突っ込んで、叫んだ。

 まさか魔物の口の中に手を入れる機会があるとは僕は思えなかった。


 一瞬、光った。


 そして——


 ゴブリンは動かなくなった。


「……え?死んだ……の?」


「成功だ。そいつはもう“お前の駒”だ」


 僕は思わず後ずさった。


 さっきまで襲ってきていた魔物が、まるで別のものみたいに静かになっている。


 ---------


「これでいいの?」


「ああ。あとはこれをコロシアムに持っていくだけだ」


「でも、なんでゴブリンなの?」


 もう一度聞いた。


 するとおっさんは、今度はちゃんと答えた。


「ゴブリンは“弱い”からだ」


「え?」


「数が多い、誰でも扱える。初心者向け。そしてゴブリンは弱い——」


 そこで言葉を切って、笑った。


「ジョン……お前はモンスターコロシアムの英雄になるんだ。」


 僕はモンスターコロシアムの英雄になるようだ。


 ---------


「いいかジョン。コロシアムの勝敗はな、“強さ”じゃない」


「……え?」


「“決められてる”んだよ、最初から」


 マクダフもニヤニヤしている。


「旦那ぁ、ここからが本番ですぜ……」


 僕はようやく理解し始めた。


 この金策は——


 ただの戦いじゃない。


 仕組まれた勝負を、さらに利用するためのものなんだ。


 ---------


 捕まえたゴブリンを見ながら、僕は思った。


 銀行でのこと、指輪のこと、そして今回のこと。


「……なんか、この世界ってさ」


 小さくつぶやく。


「最初から決まってること、多くない?」


 おっさんは答えなかった。


 ただ、楽しそうにマクダフも笑っていた。


 その場で笑っていなかったのは僕だけだった。


ステータスのスキル一覧と所持金とアイテム袋内アイテム

武器スキル類

刀剣スキル 18

盾スキル 3

戦闘技術スキル 11

生産スキル類

料理スキル 13

その他

鑑定スキル 0.3


所持金

671g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚) 蛇肉たくさん ???のスクロール6枚 武器破損した剣 木剣2本 ???の指輪(バンステ金策で入手)ゴブリン(テイム)


装備品 

水トカゲの手袋(呪)骨護札の首かざり 

奴隷のマクダフ

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