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僕とバンステドロップ金策 その1

「いらっしゃいませ… 本日はどのようなご用件でしょうか?」

「おう。このアイテムを預けたい。ここはダメだな。こんな田舎の町でも年に一度の祭りをやるからって聞いて金になるかと思ったが、どいつもこいつも金を持っていない… 」

「さそうでございますか… ではこちらの装備アイテム2点と消耗品アイテム3点をお預けですね。」

「ああ。金貨200枚程度も金が出せねぇんだからな… 何が祭りだよ。なんかここ生臭いな… 」

「お預かりする装備アイテム2点、消耗品アイテム3点のご確認ができました。以上でお預かり手続きは完了です。こちらでお預かりいたします。」


 逆さまポーションの効果で姿を透明にして消すことができてもにおいまでは消せないのか、僕は初めてしった。でもにおいだけで僕がこの銀行のカウンター下にすわっていることを誰にも気づかれていない。僕は今日初めておっさんからバンステドロップ金策について詳しい説明を受けた。初めて聞いたときはおっさんはいったい何を言っているのか僕には一度では理解することができなかった。


 おっさんが言うには、この金策には夢があるらしい。なんでも、このバンステドロップ金策は一度成功すれば、金貨10枚以上、場合によっては白金貨級の稼ぎになるという。

 そんなすごい金策があるなんて、僕は知らなかった。

 もしもっと早く聞いていたら、野蛇狩りや露天市場でのヘスサ売りなんてやらなかったと思う。

 そう言うと、おっさんが言うにはこれは準備がいる。すぐにできるもんじゃない。どうやら、いくつもの条件がそろって、はじめてこの金策は実行できるらしい。


 通称バンステドロップ金策 (バンクスティールドロップ金策)と正式名称では言うらしい。

 この金策のやり方はかんたんで誰でもできる。

 まず銀行の床に硬貨やレアアイテムが カウンター から落ちる。それを拾ってダッシュで銀行から出てから即ランダム転移スクロールを使う。これだけだ。

 とんでもない話だ。これは僕が思うに泥棒だと思う。盗賊ギルドの人とかがやったりすることだろう。

 これではまた兵士さんに捕まってしまうのではないかとおっさんに言ったらそれは絶対にないと言われて僕は、二度おどろいた。


 このバンステドロップ金策が、あんなやり方でどうして捕まらないのか。

 僕が理由を聞くと、おっさんが言うには銀行は特別だからのようだ。

 銀行は、ギルドの依頼や魔物狩り、対人戦闘とはまったく別の仕組みで動いているらしい。

 町の兵士さんやギルドも、基本的には関与しない。

 つまり、銀行は 別の所属のグループ で、その中だけでルールが完結しているということだ。

 でも、それならおかしい。

 床に落ちた硬貨やアイテムを拾っても、それが自分の物になるとは思えなかった。

 そう言うと、おっさんは笑った。


「そこが一番大事なとこだ」


 銀行では、カウンターに一度置かれた物が床に落ちた瞬間、ルート権が消える。

 どんなに貴重な物でも、その時点で誰の物でもなくなるらしい。


 僕には、まだ意味が分からなかった。


 ルート権とは、魔物を討伐した個人、またはその人物が所属するパーティーにのみ、ドロップアイテムを取得する権利が認められる仕組みだ。大きな魔物をみんなで倒したときは、一番たくさんダメージを与えた人か、その仲間にルート権があるらしい。でも、トドメを刺した人がもらえるって話も聞いたことがある。僕はまだ大勢で狩りをしたことがないから、よく分からない。


 銀行では、床に落ちた硬貨やアイテムにはルート権が発生せず、誰でも拾ってよいらしい。

 ただし、最初から床に落としただけではだめで、一度カウンターに置いたものが落ちた場合に限り、ルート権の放棄と見なされるようだ。つまり、落とした瞬間にそれは誰のものでもなくなり、拾った者の所有になる。正直、かなりおかしな仕組みだと思う。

 そんな危険があるのに、どうしてみんなわざわざカウンターに硬貨やアイテムを置くのか、僕には理解できなかった。でも、祭りの最終日の夕方、銀行に来てカウンターの下に座っているうちに、なんとなく理由が分かってきた。


 銀行を利用している冒険者や商人さんたちは、自慢したいのだと思う。自分がどんな人物か、どれだけすごい物を持っているかを、対応している銀行の人だけでなく、後ろに並んでいる人たちにも見せつけたいのだ。こっそり、のつもりなのかもしれないけど、あまりこっそりには見えない。

 お金を預ける理由は僕にも分かる。大金を持ち歩くのは危ないからだ。でも、アイテムまで銀行に預ける理由はよく分からなかった。

 アイテムならアイテム袋に入れて持てばいいし、おっさんみたいにアイテムボックスがあれば、なおさら預ける必要なんてないと思っていた。けれど、これにもちゃんと理由があるらしい。

 商人さんは旅先でずっとレアアイテムを持ち歩くより、銀行に預けておき、必要な場所で引き出したほうが安全なのだという。全部持ち歩くのが一番危ないとおっさんは言った。


 祭りの最終日の夕方。

 この町を離れ、別の町の祭りや自分の国へ帰る商人たちが、売れ残りや持ち込んだレアアイテムを銀行に預けに来ていた。

 思っていたよりも早く、チャンスはやってきた。

 僕はこのバンステドロップ金策のために、何度も練習してきた。

 失敗は許されない。


 一度で金貨以上稼げるかもしれない。

 そんな話を聞いたときは、何度でも挑戦して、この金策だけでやっていけるんじゃないかと僕は思った。

 でも、それは違うらしい。この金策は、一つの銀行につき一度しか使えない。

 だからこそ、絶対に僕は失敗できない。いったい何をルートできるのか。

 怖さと一緒に、胸の奥が少しだけ高鳴っていた。


ステータスのスキル一覧と所持金とアイテム袋内アイテム

武器スキル類

刀剣スキル 18

盾スキル 3

戦闘技術スキル 11

生産スキル類

料理スキル 13

その他

鑑定スキル 0.3


所持金

671g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚) 蛇肉たくさん ???のスクロール6枚 武器破損した剣 木剣2本


装備品 

水トカゲの手袋(呪)骨護札の首かざり

奴隷のマクダフ

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