僕とバンステドロップ金策練習
今僕はおっさんに言われるがまま露天市場とお祭り会場の間の道でほかの人にバレない、またジャマにならないように裏路地の壁にもたれかかってすわっている。たしかにここだと人は来ないだろう。僕をジャマする人もいないすごくいい場所だと思う。
なぜ僕がそんな場所で壁にもたれかかってすわっているかというと動かない練習をするためだ。なぜかって動いたら姿が見えてしまうからだ。ちょっとでも動いたら姿が見えてしまい僕がそこにいることがバレてしまう。なぜ動いちゃいけないかって?それはちょっとでも動いたら逆さまポーションの効果が切れてしまうからだ。こんな方法で僕は金策ができるなんて思ってもいない。でもおっさんが言うのだからこれもすごい金策ができるのだろうと僕は信じている。
逆さまポーションの1本の小瓶を飲んだ場合の透明効果の持続時間はきっちり20分だ。僕がマクダフから受け取った逆さまポーションではこんなに長い時間透明になれる効果を持続できるのであって普通に作ったら透明効果は5~10分前後のようだ。僕にはマクダフが薬調合スキルで作成したこの逆さまポーションしかしらないためどのように違いがあるのかなどわからない。
僕は今、ただ壁にもたれてすわっているだけだ。こんなことがバンステドロップ金策とかいうおっさんの言う予行練習に本当になるのだろうか。僕はただ言われたことをやるだけだ。これが本当におっさんの言った通りの金策になるとしても、この金策は僕にはあまり向いていない用にも思える。20分もただずっとすわって待つというのはとてもつらい。すわっている姿勢を変えることはもちろんちょっとでも手でも足でも動かしたらダメなのだ。子どもの僕にはこれがとてもつらいと思える。
刀剣と戦闘技術スキル上げをやった時に木剣で大岩を叩いたり川に入って水面を叩いたりするのも僕はちょっとどうかなと思ってたこともあるが、今回のこれはそれ以上におっさんが何を考えているのかよくわからなかった。逆さまポーションを飲んでただ20分間ずっとすわっているだけでお金が稼げる金策なんて存在するのだろうか。もしおっさん以外からこんなことを言われたらたぶん僕は信じなかっただろう。むしろそんなおかしな金策方法があるなんて信じることもないだろう。
そろそろ逆さまポーションの効果時間が切れるころだ。僕は集中する。この一瞬が大事のようだ。
効果が切れた瞬間、僕はすわっている状態から立ち上がり前に真っ直ぐダッシュで走る。はじめは足が痺れたりしてうまく立ち上がることさえ、走ることさえ上手くできなかった。ただ、これは慣れるしかないようだ。ほかのやり方はないのだろうか。確かにこんな金策方法にはほかのやり方なんてないかもしれない。こんな人の来ない場所でやっている意味が僕にもようやくわかった。木剣で大岩や水面を叩いている時と同様に人に見られたら僕は頭のおかしい子どもだと思われるからだ。
逆さまポーションの効果が切れたら即立ち上がり真っ直ぐダッシュで走る。これをやる練習だとしてなぜ20分間もすわった状態でやるのだろうか、マクダフが作成したのではない効果が短い普通の逆さまポーションで練習するのはだめなのだろうか。
夕方遅くまでこのバンステドロップ金策の予行練習をした。この練習をやって思ったことはまずトイレに行く回数が増えたことだ。ただポーションを飲んで何もせずにそのポーションの効果が切れるまですわっているだけだが、言ってしまえば1時間にだいたい3~10本ほどの逆さまポーションを飲むのだ。これを数時間行うとなるとトイレに行きたくなってくる。なぜ3本じゃないかって言うと僕は動いてしまうからだ。どうしても20分間動かずにすわっているというのがむずかしい。ちょっとでも動いたら逆さまポーションの効果が切れるのだ。これは慣れるまでとてもむずかしいことだとおっさんに言われたがそれ以上にむずかしい。初日だからこんなものだろうと言われたが、本当に僕は20分間動かずにいて効果が切れたと同時に直ぐに立って前に向かってダッシュする。こんなかんたんそうに見えることができるようになりそうにもない。
二日目も朝からバンステドロップ金策とかいうやつのための作業を行っている。
ついこの前まで野蛇を狩って蛇肉ステーキを焼いて焼いて売って売って露店販売許可証を取り上げられて、木剣で大岩や水面を叩いて刀剣スキル上げをやっていた僕は今、逆さまポーションを飲んで朝から人の来ないであろう場所でずっと壁にもたれかかって動かずにいる練習をしている。壁にもたれかかってから逆さまポーションを飲んでその場で体を動かさないようにするのはしなんの業だ。透明になったあとはやることが何もない。何もないというより何もできないが正しいのかもしれない。近くの露天市場やお祭り会場からは客引きや声かけをしている様子が僕の耳に入ってくる。目では見えないけど、とても楽しそうだ。今年のお祭りを僕は楽しめるだろうと思っていたが、お祭りを楽しめたのは一日目だけだ。二日目はバンステドロップ金策のためお祭りを楽しむのは中止だ。なぜおっさんはこんな楽しいお祭りの開催中に僕にこんなむずかしい要求をしたのだろうか。一年に一度のお祭りが開催されるこの三日間を楽しんでから新しい金策のために動いたほうがいいのではないのかと僕は思う。みんながお祭りを楽しんでいる最中に僕はお祭りを楽しめていないのだ。
それと僕は思ったのだが、意外と裏路地まで人はやってくる。冒険者の人や大人の人たちはまともにトイレを使っている人が少ないと思う。いや、トイレを使っていないというとごへいがあるのかもしれない。 大 では当たり前だが町中にいるためトイレを使っているが 小 これだ。この小が問題なのだ。僕が今、金策のために姿を透明にして動かない練習をしているのだが、この場所は露天市場からもお祭り会場からも近い場所の裏路地であるためか、それともこの練習に選んだ場所があまりよくなかったのか。なぜかってどちらからも近く、そして裏路地へ人はあまりこない、バレないだろうと思った大人の人たちがここへ意外とやってくるのだ。やってきて何をするかっていうとそう小。つまりオシッコをするのだ。周りにはだれもいない。日常でも普段は利用したりしない裏路地だからバレないと思っているのだろう。だが、僕はその裏路地の一部の壁にもたれかかって透明になって姿を消しているのだ。僕から離れている場所でオシッコをしてくれるといいのだが、ここで用を足そうとする大人たちには僕は当然ながら見えないのだ。逆さまポーションを飲んでいるからだが、それをしっているのは僕だけだ。一度や二度くらい僕の目の前でオシッコをしようとした大人の人が現れて僕はかなりびっくりしたくらいだ。あわてて動いて逆さまポーションの効果を消して、もたれかかっていた壁から離れる。突然なにもなかった場所から子どもが現れるのだ。オシッコをしようとしていたらとつぜん目の前に子どもが合わられる。用を足しにきた大人の人もとてもおどろいただろう。僕以上のおどろきだったと思う。このだれも来ない場所はとても逆さまポーションで姿を消して動かない練習をする場所としては良い場所であると僕は考えていたのだが、だれもいない、また来ないと言うのは僕が思っている以上によくないのかもしれない。だれも来ない、見ていないのだ。そんな場所は子どもの僕がこんなよくわからない練習をしているのだから大人の人もそう思うに違いはないのだ。
二日目の夕方頃になって僕はようやく少しはまともに姿を逆さまポーションを飲んでから姿を透明にできる20分間の間、動かずにいられるようになった。僕は成長しているのだ。料理金策や刀剣スキル上げをおかしな方法でやってきたのだ、それに比べたらただ動かないでいると言うのは僕には考えてみたら楽なほうだったのかもしれない。
姿を透明にして消した後、逆さまポーションの効果が切れたと同時に立ち上がり前に向かってダッシュする。これが少しまだ僕にはむずかしい。はじめは足が痺れたりしてまともに立ち上がったりできなかったが、何度も何度も練習するにつれてうまく立ち上がり前に向かってダッシュするのも少しはできるようになった。なぜ20分間も姿をわざわざ逆さまポーションを使って消したのに効果が切れた瞬間に立ち上がってダッシュしなければならないのか僕にはよくわからなかった。だが、おっさんに言われるがまま僕はその練習をしているのだ、なぜならこの動作がバンステドロップ金策で必要とされているからだ。
夕方頃から夜にかけてが一番裏路地にくる大人の人の数は多いと僕は思う。誰も見ていない、来ない、そして夜なのだ。こんないい場所は町の中でもスラム街以外にはあまりないだろうと僕は思う。
今日の練習が終わって露天市場へ戻る。お祭り会場に行きたいがまずはおっさんに報告しなくてはならない。僕が成長していることを伝えなくてはならないのだ。
「おっさん!ようやく20分間動かずに消えたままでいられるようになったよ。逆さまポーションの効果が切れたすぐに立ち上がって前に向かってダッシュするのも余裕だよ!」
「それはよかった… 今日中にこれが上手くできなかったらそのまま夜も続けてもうら予定だったが、これで明日ようやくバンステドロップ金策ができるな… 楽しみだな、なまくさジョン。」
おっさんは僕がすぐに逆さまポーションを飲んでから効果が続く20分間はずっと動かずにいられるようになると思っていたようだ。子どもには少しむずかしいことだと思うが、これはおっさんが僕を信頼してくれているからだと僕は思う。そして僕もその信頼にこたえて二日目の夕方頃にはそれができるようになったのだ。僕だからできたことだと思う。ほかの子どもの冒険者だったら絶対に無理だっただろう。
そしていきなり明日このバンステドロップ金策を決行するらしい。これがいったいどんな金策なのか僕にはまだ分からないけど新しい金策ができるのだ。とても楽しみだ。
後、おっさんにこのバンステドロップ金策を行った後はこの町を出て新しい場所へ移動すると言われた。ついに僕はこの町を出て新しい冒険に出発するのだ。とてもそのことについても楽しみだ。
ステータスのスキル一覧と所持金とアイテム袋内アイテム
武器スキル類
刀剣スキル 18
盾スキル 3
戦闘技術スキル 11
生産スキル類
料理スキル 13
その他
鑑定スキル 0.3
所持金
671g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚) 蛇肉たくさん ???のスクロール6枚 武器破損した剣 木剣2本
装備品
水トカゲの手袋(呪)骨護札の首かざり
奴隷のマクダフ




