マクダフ様の借金返済 薬調合金策 その1
「こ、これを俺が全部作るのか婆さん…? 」
「ええ… 薬調合スキルを上げるのなら昔からこのやり方が一番だからねぇ… 」
今日はいつもより忙しかった。いつもより俺の仕事量が多いからだ。
ベッドで寝ていた俺の方が先に起きたため、進化したギルドカードとやらを大事に手で持って眠っている御主人様を起こしてから一緒に俺たちの金策場所である露天市場へ向かおうとしたが、なかなか御主人様が起きなかったため先に俺だけ露天市場に向かった。俺はもう露天市場には用がないため、サンドパンを作らせてもらっている料理屋に向かおうとしたが今日はおっさんに露店市場へまずは来てくれと言われていたためだ。
「おはようマクダフ… 今日はサンドパン作りとは別にお前にもスキル上げをしてもらうぞ」
「トリポリオの旦那ぁ… おはようございます。それで今日の俺はコックさんと何を上げればいいですかい… 」
「薬調合さ。なに簡単さ混ぜればいいだけだからな今日中には必要なところまでスキル上げがお前ならできるだろう… 」
ついに俺も御主人様と同様にスキル上げをやらなければならなくなったらしい。俺の御主人様が一体どこでどんなスキル上げ方法でスキル上げをやっているのか俺は知らないが。毎日御主人様の顔色は日に日に悪くなっていた気もするが。
朝は同じように料理屋の一部を借りてサンドパンを35個ほど作った。朝から作る個数が多い気がしたが、昼と夜の分も兼ねているようだ。作った後は料理屋の手伝いをする。朝は客の出入りは少ないためそんなに俺は必要とはされていない。今日は少し予定があることを伝えると料理屋の店主は朝も昼もそんなに忙しくないからお前がいなくなっても問題ないといわれた。だが夜は絶対に戻って来いよと念を押された。料理屋の店主にあまり俺は信用されていないようにも思える。
サンドパンを作った後に俺はトリポリオの旦那に言われた薬調合上げができる場所まで向かった。向かってそこ場所についたが、どうやら俺の知っている場所だった。その場所はあの俺がサンドイッチをあげたガキの家だった。ここで薬調合のスキル上げができるとは思えないが、何か考えがあるのだろうトリポリオの旦那には。今日は何も手土産は持ってきてないので家に入りづらかったが、勝手知ったるガキの家に入るとすぐにあの婆さんのところまで案内してくれた。婆さんが俺に薬調合スキルのあげ方を教えてくれる約束をトリポリオの旦那通して話がついているようだ。
「私のやり方はもうずいぶん古いからねぇ… このやり方が合ってるかどうかわからないけどねぇ… 」
「それで俺は一体何をやればいいんだ婆さん…? 薬調合って言ってもただ混ぜるだけだろあんなの婆さんに習う必要があるとは思えないがねぇ… 」
「薬調合スキルのあげ方はねぇ… この錬金釜と同じで薬調合釜を使うんだよ… じゃあ初めは小回復ポーションから作っていこうかねぇ… 」
俺の話すらあまり聞いてない婆さんだ。こんな婆さんに俺の薬調合スキル上げが果たしてできるのかどうか心配になった。俺は婆さんに言われた通りに回復ポーションから作成していった。
回復ポーションとは冒険者からお年寄りまで使ったことがあるポーションだ。効果も体力が小回復する至って普通なものだ。
体力の回復効果は 小 中 大 とあり、ポーションの出来によって違ってくる。俺のようなまだ薬調合スキルが6程度であれば作成できる回復ポーションはもちろん小回復ポーションのみだ。
小回復ポーションと言ってもバカにはできない。大幅に体力を回復させたりは、はっきり言って無理だが、小回復ポーションであっても数を飲めばそれは可能とされる。だが、中回復ポーション1個と小回復ポーション5個程度が同じ効果だとしても、明らかに小回復ポーションで体力を連続で回復させた方が効果は鈍いし回復速度はもちろん遅い。それでもって小回復ポーションは品質もバラバラでもあることから大幅な体力を回復させるために複数個好んで飲むやつは基本いない。素直に中回復ポーションを買って使っておいた方が良かったと安物買いの銭失いになるからだ。冒険者になりたての奴や安ければなんてもいいというやつは大体これで痛い目に一度はあう。
俺は薬調合釜で婆さんに言われるがまま小回復ポーションを作っていく。品質の差はもうあまりない。薬調合スキル1からでも作れる小回復ポーションくらいであれば俺でも簡単に作成できる。だが薬調合スキルがまだ6の俺では作成できる小回復ポーションの質はあまりよくない。簡単に作成はできるのだが、質を上げるには薬調合スキルの数値が足りないようだ。
朝から昼前までずっと小回復ポーションの作成を俺は婆さんに言われてやった。大量にできるゴミのような質の小回復ポーションを目の前にしてみると嫌な気分になる。よく錬金術スキルや薬調合スキルを極めている奴はこんな作業を繰り返し行えるのか俺には不思議でならない。そこら辺の魔物を狩ったり対人での戦闘スキルを上げているほうが俺には性に合っている。部屋にこもってずっと同じ作業の繰り返しだ。こんなことを続けていたら俺は頭がどうにかなりそうだ。だがトリポリオの旦那が言うには今日中には求められている薬調合スキル値まで上げられるようなのでもう少しの辛抱だ。
昼をだいぶ過ぎたころ、ようやく俺は今回このポーションを作成するために薬調合スキル上げをやっていたと言っても過言ではないモノを作成し始めた。そうだ、あの逆さまポーションだ。この逆さまポーションは薬調合スキル5から作成できるためすでに薬調合スキルが6もある俺様にでも作成することが可能であるのだが、完璧に作成できるようになるまででずっと小回復ポーションを作成させられていたのだ。この婆さんに付きっきりで。
「婆さん… ようやく俺の薬調合も10になった。もう十分だろ。先に進もうぜ… 」
「ええそうね… その前にお昼ご飯を食べましょうか。少し遅くなりましたけどねぇ… 」
婆さんに昼飯を俺はご馳走になった。ご馳走と言ってもたいした料理を振る舞われたわけではない。あまり上手いとは思えなかったが、食べられない料理という訳でもなく俺は完食した。出されたものはすべて食べる主義だ。今度は俺がサンドパンを作って持って来ようと思った。やはり俺様が作る料理が一番上手い。少し遅い昼飯を食べながら婆さんの過去の薬調合をやっていた時の話を聞いた。対して面白いはなしではなかった。後、今日このために薬調合スキル上げをやったポーションの作成にとりかかる。
「お昼ご飯も食べたことだしねぇ… ではやろうかしらねぇ… 」
「婆さんさっさと作っちまおうぜ。薬調合スキル10もあれば余裕だろ。」
「それがねぇ… 作成に関してはそのスキル値で問題ないんだけどねぇ… 問題はその作成方法なのよねぇ… 」
どうやら、ただ作成するだけであればもう俺でも作成はできるらしい。ただ、作成方法に何か問題があるようだ。一体なにがどう問題なのか俺にはさっぱりわからない。薬調合スキル5から作成が可能なポーションの作成が薬調合スキル10もある俺様でも問題があるとすれば一体だれが作成できるというのか。
「大丈夫だ婆さん… 薬調合スキルがすでに10である俺に任せろ」
「そうねぇ… 一度私が作成するからその通りに作ってもらおうかしらねぇ… 」
そう言って婆さんが俺に逆さまポーションの作成を見せてくれた。作り方は俺が小回復ポーションを作成していた時と同じような作成方法だ。ポーション作成にすごい違いはあまりないはずだからそれは普通だ。だが、驚いたことに婆さんが作成している逆さまポーションはどうやら俺が思っていた以上に普通とは違った作成方法だった。
まず、ポーションの入れ物、今回は小瓶を使ったが、その小瓶を逆さまにして置く。まぁ逆さまポーションと言うだけあってこれは俺でも理解できる。言葉遊びのようなものだ。ただ、この逆さまに置いた小瓶だが俺があれだけ一生懸命に作成した小回復ポーションの小瓶だ。その小瓶の中身であった小回復液をすべて破棄してしまった小瓶だ。その小瓶を逆さまに置いている。
「婆さん… ポーション用の小瓶ならまだそこら辺にたくさんあるだろ。なぜ俺が作った小回復ポーションをわざわざ開封して中身を捨てるんだよ!」
「あらごめんなさいねぇ… この作成方法での作り方を教えてやってくれって頼まれたのよ。」
どうやらこれがトリポリオの旦那に頼まれた作成方法らしい。俺には意味がわからなかった。
「その作成方法は普通の逆さまポーションとかいう作り方と何が違うっていんだよ婆さん… 」
「効果の持続時間が違うよのこの作成方法だとねぇ… 」
婆さんが言うには普通に新しい小瓶に入れるのではなく一度適当なポーション類を作って使用した小瓶を再度利用した方が逆さまポーションは効果の持続時間が違うらしい。一度使用された小瓶は中身が空になっても一定時間はそのポーションの効果があるようだ。そんな方法があったとは俺は知らなかった。
「でも婆さんよ逆さまポーションの効果は少しでも動いたら効果はなくなるんだよな…? そんな効果の持続時間を延ばして一体何になるっていうんだよ」
「さぁそれはねぇ… 私にもさっぱりですねぇ… 」
使えない婆さんだ。この婆さんもトリポリオの旦那に言われた通りのやり方をただ俺に教えているだけ。どうしようもない。俺もそんな婆さんと一緒だ。トリポリオの旦那に言われるがまま、コックさんをやれと言われたら料理を作りスキル上げをしろと言われたらそれをするしかない現状だが。
ちょっとした違いだが、これがかなり面倒くさい。一度作成した小回復ポーションすべて中身を捨てて作成した逆さまポーションの中身をその小瓶の中に入れていく。
単純作業ではあるが俺には耐えられそうにもない。一度自分が作成した価値がない品質の低い小回復ポーションだがそれをただその場で破棄していくこれはあまりやりたくない作業だ。だが、現状俺はただ言われたことをこなすだけだ。
夕方まで俺は逆さまポーションを作り続けてやっと婆さんによくできました。の評価をもらえた。これ以上ポーション作りをこの婆さんの元で作成し続けたら俺はどうにかなっていただろう。
よくできました。と言われた瞬間、俺は即婆さんの家を出た。これ以上ここにいたらまた婆さんに違うポーションの作成を教えられそうだったため俺様が丹精込めて作った逆さまポーションとそれを作る時に残った小回復ポーションを持って婆さんの家を後にして料理屋に戻った。約束をしていたため戻ったが、そこには俺に洗うために置かれた皿や掃除するために床に置かれたままの小さなゴミたちの姿があった。
俺は必要とされているようだ。昨日よりも丁寧に俺は皿を洗い掃除をした。
今日は昨日よりも早いが料理屋から露天市場へ戻った。これもトリポリオの旦那が決めたことだ。
俺の御主人様に今日久しぶりに会ったが、顔がにやついていた。また何か良いことがあったのだろう。
マクダフ様の現在のスキルステータス
武器スキル類
刀剣 16
槍 36
盾 21
戦闘技術 20
生産スキル類
料理 34
薬調合 10
その他
鑑定 1
ギャンブル
王法違反及び軍規違反支払い金額 1,000,000g※1
※1 支払いは金貨または白金貨のみとする




