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僕とマクダフと搾取大金庫 その1

「旦那ぁ… 今日は何かいいことあったんですかい…? ずっとギルドカードなんか見つめちゃって… 」

「ああ、マクダフ見てくれよこれ! 僕のギルドカードが今日進化したんだよ!」


 宿屋のベッドで俺は横になりながらいつもと表情の違う俺の御主人様のご機嫌伺いをした。直ぐに顔に出てしまう御主人様だ。これは俺に聞いて欲しい事があるって顔だ。この御主人様と上手くやっていくやめにもそのような一瞬の表情の動きや仕草を俺は見逃したりはしない。俺に御主人様が見せてくれたギルドカードは何の変哲もないただのギルドカードだった。俺には違いがあまりよくわからなかった。だがこのままではだめだ。何か進化しているのだ、その進化を見つけなくてはならない。


「やや、これは!ギルドカードを中立共栄大金庫と連携させたんですね。それで進化ですかい… おめでとうございます!俺も自分の事のように嬉しいですよ旦那ぁ… 」

「すごいだろマクダフ! これで僕はいつでも銀行でお金を預けたり引き出したりできるんだよ。これで大金をいつも持ち歩かなくてもいいんだ!」


 銀行と言っていたが中立共栄大金庫の事だろう。搾取大金庫 や 金喰い大金庫 などとそんな言い方をしている奴は俺を含めて知っているが、銀行などと言った言い方をした奴を聞いたことも見たこともなかったが、多分その言い方はトリポリオの旦那が言い始めた呼び方だろう。何でも直ぐに影響される御主人様だ。まぁそれがトリポリオの旦那ともなると無理もない。


「旦那ぁ… お金なんて奴隷の俺に預けておけばいいじゃないですか。子供がそんな大金持ち歩てたらいい事なんてないですよ… 搾取大金庫なんかに預けなくても俺に預けてくれれば2倍でも10倍でも30倍にでもしてあげたものを」

「い、いやだよマクダフ! 君にはたくさんの負債があるんだよ。今は僕の負債になってるようだけど… 金貨100枚だなんて返せって言われても今は無理だけど… 」

「旦那ぁ… だからどこかで勝負する必要性があるんですぜ。ずっとこの調子だと旦那も直ぐに奴隷落ちしてしまう可能性もありますぜ… なんせ俺の負債の金貸し元は王国ですからね」


 この御主人様は何を思って搾取大金庫なんかに口座を作ったんだろうか。俺の負債を返すための大金を稼ぐことができる当てがあるとも思えないが、自分からギルドカードと連携までさせちまっている。これで御主人様の懐具合は銀行には筒抜け状態だ。あいつらは人の事を金としか見ていない。搾取大金庫内に入って銀行のやつに顔を見られたら即いくらのお金を預けているかや、大金庫ランクによって対応が全く違う。


「搾取大金庫って何…? マクダフ、僕が口座を作ったのは中立共栄大金庫であって搾取大金庫じゃないよ… よく僕の話を聞いてくれよマクダフ… 」

「旦那ぁ… そのギルドカードをよーく見てみて下さい。初めて口座を作ってお金を預けたんですよね…? 」


 御主人様がステータス画面を通してギルドカードをよーく隅から隅まで見ている。その顔は面白かった。


「あ!ああああああああああああぁ… 僕の、僕のお金が… 預けた金額より減ってる!!」

「それが中立共栄大金庫が搾取大金庫といわれる由縁ですぜ旦那ぁ… 」

「ちょっと何かの間違いだよきっと。今から中立共栄大金庫に行って聞いてみる!」


 御主人様が椅子から立ち上がってこんな夜更けの時間に宿屋から出ていこうとして俺は慌てて止めた。


「旦那ぁ… こんな時間じゃあ搾取大金庫も中立共栄大金庫も閉まってますぜ… いくらお金を預けたんですかい。俺がギルドカードを見る限り全部で銀貨19枚ほど預けた感じですかい…? 」

「そ、そうだよマクダフ。僕は銀行に銀貨19枚しっかりと預けたんだ!それが今確認してみたら銀貨9枚しか預かってないことになっている。なんで僕が預けた金額を知ってるんだいマクダフ」

「それはですね旦那ぁ… 搾取大金庫に口座を初めて作ってその後にギルドカードと連携をさせた手数料ってやつですぜ。御主人様の場合口座を作って銀貨4.5枚+ギルドカードと連携で銀貨4.5枚で合計で銀貨9枚取られている訳です」


 御主人様が必死に頭の中と手を使ってお金の計算をしている。足し算をしているのだが、搾取大金庫で預けた全財産は引き算になって表れてしまっている。笑える話だ。


「そ、それだとおかしいよマクダフ!だって4.5+4.5は9でしょ。僕の預けたのは銀貨19枚だから19ー9は10! だから銀貨は10枚ないとおかしいよ。マクダフは大人なのに計算苦手なの…? 」

「旦那ぁ… その銀貨10枚から預け入れ手数料で 10% がなんと!毎回取られるんですぜ。そのため10ー1で9枚。これが今回、御主人様が入金したお金になります… 」

「そんなのっておかしいよ!それで誰も銀行に文句も言わないってみんなこんなすごいこと知らないの…? そ、そうか、もしそれを知ってもし文句言いに来たら預けていたお金が引き出せなくなるのか!なんて奴らだ!!」


 面白いくらい御主人様の顔が変わっていっている。子供に酷な話だ。この社会の縮図のようなものを初めて知らせるのは。これで御主人様も中立共栄大金庫のことを搾取大金庫と呼ぶ一派になるだろう。中立共栄大金庫などとふざけた名前で呼んでいるのは恩恵受けている一部の側の者だけだ。


「旦那ぁ… この世界は銀行に支配されてるといっても過言ではないんですぜ。とても便利ではあるんですがね… いつか旦那がこの腐れ切った中立共栄大金庫をぶっ壊してくれるのを俺は楽しみにしていますぜ… 」

「任せてよマクダフ!僕はこんなおかしな仕組みの銀行は無くさなくてはいけないと思うよ。あ、だからおっさんも僕に次は銀行で金策だって言ったのか!!今わかったよ。」


 トリポリオの旦那とやる次の金策はどうやら銀行らいし。銀行でどうやって金策するつもりなんだろうか、楽しみだ。今のこの御主人様ならアイツらに合わせてもいいだろう。きっと良い仲間になってくれるはずだ。

 今日はこのことで御主人様は興奮して眠れそうにもなさそうだ。そのため俺はこのままベッドで眠ることにした。


 それとどうやら御主人様は今日のスキル上げで刀剣スキルが目標の20まで上げることができたようだ。そうなるともうこの町にいるのも後少しといったことろだろうか。トリポリオの旦那が次にどの町や国に行くのかはまだわからないが、その先でもきっと御主人様と俺のことを楽しませてくれるだろう。奴隷落ちしたがこの御主人様の元にこれたのだから悪くはなかっただろう。なんと言っても俺の負債はすべて御主人様のモノになったのだ。この負債のために俺はずっとどの奴隷商館でも酷い扱いだったからな。


「やっぱりだめだ。マクダフ僕はちょっとそこら辺を走ってくるよ。もう夜遅いから町の外に出るのは怖いけど町中なら大丈夫だと思う。」

「そうですかい旦那ぁ… 俺はこのままここで眠らせてもらいますぜ。あまり遠くに行ったら危ないですからね。町中と言っても夜はスラム街の方へは行かない方がいいですぜ旦那は子供なんですから… 」


 そう言って御主人様は部屋から飛び出して町のどこかへ走って行ってしまった。こんな夜更けまで体力作りとは感心なことだ。子供は元気が一番だからな。スラム街の方ヘは行かないほうがいいと言ったが御主人様は聞いていただろうか。最近は皆が寝静まったあたりからスラム街から物騒な連中が夜な夜な町中に出没していると料理屋で手伝いをさせられたときに客が話していたことを聞いた気がするが。まぁ大丈夫だろう。子供と言っても俺の御主人様は刀剣スキル20もあるんだ。そこら辺の大人くらいなら何とか倒せなくても時間を稼ぐくらいはできるだろうしな。

ステータスのスキル一覧と所持金とアイテム袋内アイテム

武器スキル類

刀剣スキル 18

盾スキル 3

戦闘技術スキル 11

生産スキル類

料理スキル 13

その他

鑑定スキル 0.3


所持金

671g(銀行預け金:銀貨9枚) 蛇肉たくさん ???のスクロール6枚 武器破損した剣 木剣2本

 

装備品

水トカゲの手袋(呪)

奴隷のマクダフ


マクダフ様の現在のスキルステータス

武器スキル類

刀剣 16

槍 36

盾 21

戦闘技術 20

生産スキル類

料理 34

薬調合 6

その他

鑑定 1

ギャンブル


王法違反及び軍規違反支払い金額 1,000,000g※1

※1 支払いは金貨または白金貨のみとする

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