おっさんと僕と中立共栄大金庫 その1
キィン! ガンッ! ガキィン! キィン! キィン! ガンッ!
横目でチラッとステータス画面確認する。まだか。
ガキィン! キィン! ガンッ! キィン! キィン! ガンッ!
チラッとステータス画面確認。そこにはまちがいなく刀剣スキル20の数字があった。僕はあわてて大岩を叩くために振り上げていた木剣の手を止めた。もう大岩を叩くことも水面を木剣で叩く必要性もないのだ。
「オヒョ… フヒョヒョヒョー!!つ、ついに刀剣スキル20! 20! 20だ!!」
空中に木剣を振り回しながら僕は叫びながら大岩に周りをグルグルと走り回った。大岩を木剣で叩き水面を木剣で叩いていた子どもが今度は叫びながら大岩の周りを走り回っているのだ。こんな恐ろしい光景はあまりないだろう。僕はそんな光景見たことがない。
僕はついに目標とする刀剣スキル20まで上げることができたのだ。もう一度ステータス画面のスキル値を確認してみる。
武器スキル類
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
生産スキル類
料理スキル 13
その他
鑑定スキル 0.3
「本当だ!ほんとうに刀剣スキルが20になってる! こんなやり方で刀剣スキルを20まで上げられるとは… 」
戦闘技術スキルはまだ目標まで2ほど足りないが、もう十分だろう。僕の刀剣スキルは20なのだから。まったく問題ではないはずだ。と言うよりも戦闘技術スキルは本当に上げづらい。刀剣スキルにこんな僕の知らなかった上げ方があるのだ。だとしたら戦闘技術スキルももっと簡単に上げることができる方法をおっさんはしっているだろう。僕はそれにかけることにした。いつもよりスキル上げをやっていたかはんから夕方頃に帰っていた時よりも早く帰られるため僕はうれしかった。町に戻ったらすぐに宿屋に向かってこの街をでるための荷物の準備をしよう。特にこれといった物は宿屋には置いていないが数少ない僕の荷物も置いてある。
そうだ、おっさんに刀剣スキルが目標の20まで上げたことを言うときにお金のことについても聞かなくてはならないことを僕は思い出した。ずっとこんなスキル上げの最中であっても僕は懐に手持ちの全財産を入れてスキル上げをやっていたのだ。これではお金のことが気になってしょうがない。途中からここには誰もいないため懐に入れていたお金を大岩の近くに隠して置いていた。隠して置いていても気になるのだ。僕の全財産をそこに置いているのだから気にならないほうがおかしいのだ。だから僕はスキル上げに時間がかかったと言っても過言ではない。早くこの問題を解決したかったのだがおっさんに聞くことがなかなかできなかった。
町の出入口の門の警護をしている兵士さんにまた少し顔をゆがめられながら僕は町に入った。ちょっと傷ついたが原因がわかっているため僕はそこまで気にはしない。
町はもうすぐ開かれるお祭りの準備でいつもより賑わっていた。もうそんな時期なのだ。いつもなら僕はお祭りの準備を手伝っておこづかいをもらっていたが、今年は冒険者として楽しめそうだ。お金はたくさん持っているからね。
宿屋に向かおうと思ったがまず露天市場に行っておっさんに会うことにした。やっぱりまずはお金のことを聞かなくてはならない。何かいい方法をしっているはずだ。露天市場で今日も料理露店を開いてサンドイッチをいやサンドパンだったかそれを売っていた。エリヤが客引きと声かけをサンドパンを食べながらいつものようにおこなっていた。今日も元気が良い。ちょうど露店の後ろのほうにおっさんもいるのが分かった。探しに行く必要性がなくて僕は良かったと思った。いつもおっさんはどこに言っているのだろうか僕には分からないため探しようもないが。
「あっ!なまくさジョンもう帰ってきたの…? 」
「ジョン今日は早いご帰かんだな… どうかしたか…? いやついに目標たっせいか」
「20だよ!ついに僕も刀剣スキルが20まで上がったんだよおっさん!」
おっさんもエリヤも僕の刀剣スキルが20まで上がったことをよろこんでくれた。僕はうれしかった。
僕もついに冒険者としてランクを上げることができそうだ。僕にこんな日が来るとは思わなかったが、こんな日がきてしまった。
「おっさん!それと聞きたかったんだけどお金ってどうしてるの? 今まで持ったことのない大金をずっと懐に入れて僕は持ち歩いていているんだけど、それが気になってしょうがないんだけど…? 」
「ジョンお前ずっと金を持ち歩いていたのか…? 子どもには銀貨数十枚なんて大金だと思うが」
「だから困ってたんだよおっさん。マクダフに預けておくなんてできないし、おっさんに預けていても欲しい時に会えないと使えないし… 」
「ジョンお前もギルドカード持ってるだろう。それは使ってないのか…? そりゃあいい、今から銀行に行こう!次の金策の準備をついでに今からやるぞ」
銀行とは冒険者や町の住民の人たちのお金を預かってくれる場所のようだ。僕もどこかでお金を預けることができることはギルドとかで聞いたことはあったが、これは大人の人が利用するものであって子どもの僕なんかが行っても利用できないのではないかと思っていた。どうやらギルドカードを持っていたら銀行とギルドカードを連携させることができて、このギルドカードを通してお金を預けたり引き出したりできるらしい。ギルドカードは魔法のカードだ。ギルドカードにそんな使い方があったなんて僕はしらなかった。町の出入りとギルドで使うくらいだと思っていた。
「銀行って大人の人以外使えないんじゃないの…? 僕まだ子どもだよ。刀剣スキルは20もあるけど」
「銀行は金さえ持っていれば大人や子ども、亜人でも誰でも使えるぞジョン… そしてこれから大金を稼ぐのに銀行を使わないのは不可能に近い… これから金貨や白金貨を大量に手に入れて手元にずっと持っておくのは危険だからな。特に子どもなんかがそんな大金持ってたら… 」
「き、金貨や… し、白金貨だって! おっさんすぐに銀行に行こうよ。金貨が僕たちを待ってるよ!」
とんでもない話だ。これから僕は金貨や白金貨と言った見たこともない、持ったこともない金貨たちをたくさん手に入れることになるようだ。そんな大金をずっと懐に入れて持ち歩くなんて考えただけで頭がおかしくなりそうだ。絶対に銀行は必要だ。僕はおっさんに銀行に連れていってもらうことにした。急いだほうがいい。早く銀行を使えるようにしないと金貨を手に入れても僕は持ちたくないからね。僕なんかが持ってたらマクダフなんかに取られてしまう。
「こ、ここが銀行なの…? 」
「ああ、どの国でも、どの町でも、その中心部にあるのがこの 中立共栄大金庫 だ。俺たちは銀行やバンクと呼んでたがな… 」
銀行はギルドの近くにあった。どの町でも中心の部分にあるようだ。町の中心にあるのはギルドだと僕は思っていたが、中心にあるのはだいたいこの中立共栄大金庫のようだ。どの町や国でもこれは一緒のようだ一部を除いては。それだけ銀行はすごいところなのだ。銀行ではどんな人種であっても平等に扱ってくれる数少ない場所らしい。この場所での争いごとやもめ事は絶対にダメらしい。
僕は今まで入ったことにない銀行に入った。僕のような子どもが遊びで来る場所ではないと思っていたが、入ってみると中は広くてギルドや料理屋などとはちがいとてもきれいな場所だった。この町にこんな場所があるなんて僕は今までしらなかった。おっさんはなぜこんなすごい場所のことを僕に早く教えてくれなかったのだろうか。もっと早く教えてくれてたらよかったのにと僕は思った。そうすればもっと早くスキル上げを終えることができただろう。
「いらっしゃいませ… 本日はどのようなご用件でしょうか?」
「この子どものこうざをつくりたいのだが。」
「はい!僕はお金をいっぱい預けたいのでこうざ?をたくさん作りたいです! オヒョ… 」
「それはそれは、数ある中から中立共栄大金庫の当アーデン支店を選んで頂きありがとうございます。冒険者様の方でしょうか?それとも… フラヴィウス様のご子息様でいらっしゃいますか?」
「いや… ただの冒険者仲間だ。ここは初めてのようだから連れてきた」
またしらない名前がでた。フラヴィウス様とはいったい誰のことなのだろうか。僕はしらなかったがこれもおっさん名前らしい。奴隷商館で使った名前とまた違う名前だ。どれが本当のおっさんの名前なのだろうか、鈴木武と僕に初めに教えてくれた名前が本当なのか僕にはよくわからなくなった。
「そうでしたか。冒険者様と言うことですのでギルドカードの提示をお願いします。ギルドカードと当中立共栄大金庫は連携しておりますのでこちらのギルドカードを使ってお金を引き出したり預けたりすることができます。もちろん冒険者様同士でギルドカードを通して中立共栄大金庫に来なくてもお金のやり取りを行うこともできます。」
「す、すごい!それは僕のギルドカードが進化するってことですね! フヒョヒョヒョ… 」
「し、進化ですか… さそうでございます… 」
今日僕は刀剣スキルが20になり成長したが、僕の冒険者としての証明のギルドカードも進化してしまった。すごい一日だ。この日のことはぼくは絶対にわすれないだろう。
銀行の人にギルドカードをわたしてから少しして僕のギルドカードが進化した。これで僕も中立共栄大金庫を利用できる人になったのだ。ただの子どもではないのだ。エリヤよりも僕はすごいのだ。
「お待たせしました。次回からこちらのギルドカードを提示して頂ければ、すぐにお金を預け入れしたり引き出したりすることが可能です。」
僕の手元に戻ってきたギルドカードは今までの以上に光っているようにみえた。水トカゲの手袋のように水気がなくても光っているのだ。そこで気づいたのだが、この銀行の人は僕の生臭いにおいについて顔色ひとつ変えていない。僕はとてもいい人だと思う。おっさんはずっと僕と一緒にいるから生臭いのになれているはずだから、気にすることはもうないと思うが、この銀行の人は今日初めて会ったばかりなのにだ。それで僕は手持ちのお金を全部、この中立共栄大金庫に預けることにした。これでいつでもお金を引き出せるしまたお金を稼いでも預けることができるのだ。眠っている間にマクダフに僕の懐のお金がとられないか気にしながら眠ったり、また朝起きてからすぐに懐のお金を手でコッソリと確認したりすることもない。こんないいことはない。なぜおっさんはもっと早く僕に銀行のことを教えてくれなかったのだろうか。
「お金を預けたいです!今日はこれだけお願いします!」
そう言って僕は懐にある全財産を銀行のカウンターに出した。銀貨19枚とちょっとだ。何枚かの銀貨は僕の青黒い色の手袋に引っ付いていてカウンターに置けてなかった。
「はい、ありがとうございます。では今回はこちらの銀貨19枚を当中立共栄大金庫にてしっかりとお預かりさせていただきます。ギルドカードをお貸しください。」
僕は先ほど受け取ったギルドカードを再度銀行の人にわたした。このギルドカードのどこにお金を入れているのか僕はふしぎだったが何かすごいことをやっているのだろうと思う。銀貨19枚分このギルドカードが重くなったり厚くなったりすると大金を銀行に預けている人はどうやってギルドカードを持ち歩いているのだろうかとも思ったが、受け取ったギルドカードは僕がいつも持っているギルドカードと一緒の重さと厚さだった。僕は安心した。
「ほかに何かご用はございますでしょうか?」
「いえ!またお金預けに来ます。その時はよろしくお願いします!」
「はい、ジョン様… またのご利用を心よりお待ちしております。私 ルキウス が本日は担当させて頂きました。」
銀行の人のルキウスさんに名前をおぼえられてしまった。どこでしったのだろうか、僕はなんかすごい人になった気がした。冒険者としても人としても成長しているのだ。
うかれ気分で銀行から出て振り返って銀行を見てみると、もうすでに僕の対応してくれた銀行の人はいなくなっていた。お仕事がいそがしいなか僕の対応をしてくれたのだろう。もしかするとルキウスさんは中立共栄大金庫のすごい人で僕はそのすごい人に対応してもらったのかもしれない。そんなことを思っているとおっさんが話しかけてきた。
「ジョン初めて銀行に来たがどうだった?内部の様子や物の配置場所、出入り口までの最短ルートは覚えられそうか…? 」
「えっ… 初めて入ったからそんなの気にしてなかったよ。僕のギルドカード見てよおっさん!光ってるよ。それより出入り口までの最短ルートを覚えられたかって何…? 」
僕は何かいや予感というかあまり感じたくなかった予感をすこし感じた。こんな感じの予感は前にも感じた気がする。なんだったけな、蛇肉人の時だったかな、わすれてしまった。
「なにってジョン… 次の金策は銀行でやるって言っただろ… 」
「ぎ、銀行で金策ってなに…? 」
「銀行は良いところだぞ。なんせお金がたくさんある、いや集まってるからな。とんでもない大金が… 」
「ま、まさか、銀行を… 」
僕はここから先の言葉をおっさんには言えなかった。言ったらそれをやる事になりそうだったからだ。でもおっさんにしてみてはもう それを やる事は決まっているようにも思えた。
手元のギルドカードが進化したため、かんたんにステータス画面で銀行に預けた金額もわかるようになっていた。これはとても便利だ。
ステータスのスキル一覧と所持金とアイテム袋内アイテム
武器スキル類
刀剣スキル 18
盾スキル 3
戦闘技術スキル 11
生産スキル類
料理スキル 13
その他
鑑定スキル 0.3
所持金
671g(銀行預け金:銀貨9枚) 蛇肉たくさん ???のスクロール6枚 武器破損した剣 木剣2本
装備品
水トカゲの手袋(呪)
奴隷のマクダフ




