マクダフ様の料理屋露店金策 その4
「おい、そっちの掃除が終わったらこっちの皿洗いも頼むぜマクちゃん!」
「おい!俺のことをちゃん付けで呼ぶな。次その名前で呼んでみろ俺の御主人様に言いつけてやるからな!」
「おいおいマクちゃんそんなこと俺に言っていいのかい…? この店の一部を貸す代わりに何でも店のこと手伝ってくれるって約束だったじゃないか、その立場を忘れるなよ… 」
全く困ったもんだ。こっちが下手に出りゃあこの有り様だ。俺を一体誰だと思ってるんだかこの野郎は。
俺が今ここで何をしているかって言うと掃除に皿洗い、それに御用聞きだ。何故かって?昨日遂に俺の御主人様があの兵士たちに露天市場での販売許可証を無効にされたためだ。そのため露天市場で料理露店を出してサンドイッチやパンポタージュを俺様が作ってそれを販売できなくなってしまった。
だが今日も昨日と同じように露天市場で料理露店を開いてエリヤが客引きや声掛けをやってサンドイッチを売っている。いやサンドイッチではなかったなサンドパンだったか。俺様に言わせりゃあどっちだってあんなもん一緒だ。なんせ中身が同じだからな。違うのは売っている物の名前だけ。見た目も少しは違っているようだが、こんなサンドイッチとサンドパンが同じじゃないとしたらそれは嘘になる。俺がアナポロス教団の敬虔な信徒だったら迷わず教会に駆け込んで洗いざらい話ていただろう。あぶない危ない。
今日は露天市場で料理露店を開けないはずなのだからゆっくり休めるのかと思ったがそれは違った。朝また同じように露天市場に来たらいつも料理露店を開いている場所とは違い少し隅っこの方だったが、そこには見たことのある料理露店が開店されるための準備を待っているようだった。トリポリオの旦那がさもありなんとして露天市場での販売許可証を手に持っていたからな。あれには驚いたね。初めはトリポリオの旦那が俺の御主人様の兵士に取り上げられた露天市場での販売許可証を取り返してくれたのかと思ったが、それは違っていた。ただ、トリポリオの旦那が自分で露天市場で店を開いて販売をするための販売許可証だった。確かにおかしくはないだろう。販売許可証を取り上げられたのは俺の御主人様であってトリポリオの旦那ではないからな。頭の柔らかい旦那だトリポリオの旦那は。俺は感心したね。でも残念なことに俺も俺の御主人様同様に料理露店で料理を作ることができないようだ。まぁこの問題を起こした原因は俺みたいなものだし仕方がないといえば仕方がないのかもしれない。ではどうやってサンドパンなどという料理を誰が美味しく作るのかと思っていたがそれはやっぱり作るのは俺様のようだ。
料理露店で料理が作れないのにどこで作れっていうのかとトリポリオの旦那に聞いたら良い場所があると言って連れてこられたのがこの店だ。俺も一度は来た事がある料理屋だった。なんでもこの料理屋は俺の御主人様が前に大変お世話になった場所でもあると教えられた。どんなお世話になった場所かは俺は知らないが、今日はここで俺もお世話になり、料理を作って料理露店にサンドパンをおっさんが持って行きそれを売るらしいのだ。まぁこのやり方しかないだろう。御主人様か俺様以外誰も料理スキルが高くなく作ることができないのだサンドパンを。
そしてこの料理屋の一部を貸してもらう代わりの条件が俺がサンドパンを作った後の暇な時間をこの料理屋の店主の言いなり通りに掃除をしたり皿洗いをしたりするのが決まり事だ。もう俺がこの料理屋に連れて来られたら料理屋の店主にはすでに話が通してあるらしく直ぐに厨房の中に入れてもらえ、その一部を借りて料理をすることができサンドパンを作ることができた。
やはり俺が作るサンドパンはとても美味しい。サンドイッチと全く作り方は同じなのだから当たり前のことかもしれないが、今日も改めて一つ食べて思う。サンドイッチに飽きが来ていたところだがサンドパンと名前が変わっただけで少しはその飽きの気分が和らぐってもんだ。ふと思って俺はステータス画面を見てみることにした。これだけ料理を作ったんだ少しくらい料理スキルが上がっていてもおかしくはないだろうと思ったからだ。
武器スキル類
刀剣 16
槍 36
盾 21
戦闘技術 20
生産スキル類
料理 34
薬調合 6
その他
鑑定 1
ギャンブル
王法違反及び軍規違反支払い金額 1,000,000g※1
※1 支払いは金貨または白金貨のみとする
ステータス画面のスキル値を見たら料理スキルが2も上がっていた。あれだけサンドイッチとパンポタージュを作ってたんだ上がっていなけりゃおかしいくらいだ。戦場の最前線で活躍していた俺様が今では戦闘系の武器スキルより生産系の料理スキルの方がこのままでは高くなってしまうくらいだ。これでは俺は生産職の人みたいではないか。全く嫌になるぜ。後、ステータス画面を見たら少しは減っているかと思った俺の借金も全く減ってもいない。まぁ金貨1枚たりとも返していないのだから当たり前かもしれないが、ここは増えていないことに喜ぶできだろうか。負債を取り立てに誰かが俺のもとにやって来るのではないかと思ったが今のところ奴隷落ちした俺のもとにはだれも来ていない。もしかすると御主人様の方には誰か来ているかもしれないが、俺のステータス画面に変わりがないため誰かが来ていたとしても負債の返済はできていないのだろう。御主人様も俺も金を持っていないのだから取りようもないがな。
「マクちゃん!そこの皿洗い終わったらこれを門を警護してくれている兵士さんの詰め所まで届けてくれ。昼飯時前にはちゃんと持っていかないとあいつらこの町を警護している俺達には昼飯も食べずに警護させるのかと怒り出すからな。うるさい奴らだ… 」
「おうおう任せとけ!ちゃんと持って行ってやるからよ。そこで店主は休んでてくれよ」
またあいつらか。昨日会って嫌な思いをしたのに今日もまた会わなくてはならないとは運がついていない。だが、このツキが次の大勝負なんかでは良い方に運が跳ね上がったりするはずだ。
詰め所に向かう途中で俺は今日の兵士達の昼飯が何か確認することにした。もしかすると俺より良い物を食っている可能性がある。
料理屋の店主から預かった箱を開けてみてみるとただの普通の見た目の料理だった。この町の門を警護している重要な仕事をしている兵士達が食べる昼飯だからすごいものを食べているのではないかと思ったが、違った。少し食べてみることにした。もしかしたら俺の勘違いの可能性が高い。見た目はこんなのでも俺が作って食べたサンドパンより美味しいものかもしれない。1個食べてみてたが別段とくに美味しいとは思わなかった。やはり俺が作ったサンドパンの方が美味しいではないか。だからあいつらは俺の作ったサンドイッチをよこせと毎日のように言ってきていたのだろう。俺は納得して箱を閉めて元に戻して詰め所にいる兵士達に渡した。俺が1個食べたことによって箱の中身は少し形は崩れて見た目が悪くなったような気もするがこんなもんだろう。
「よう!料理屋 ガーター亭 の店主から昼飯を預かってきました。いつもご苦労様です。これからも門の警護頑張ってください!」
「お、お前は… よく昨日の今日でここにこれたもんだ。大した奴だ… だが昼飯を持ってきてくれた事に免じて許してやろう。さぁ用が済んだら帰れ!」
まったく酷い連中だ。俺様がわざわざこんな詰め所までタダで持って来てやったのになんて態度だ。こんなことならもう1個食べても良かったかもしれない。もう用がないためすぐに俺はその場から離れた。料理屋に戻って店主にちゃんと、しっかりと詰め所に昼飯を持って行った事を伝えた。料理も特段何の変化もない普通の料理だったと伝えといた。もう少し料理に使う食材をこだわったり、味がよくなるように料理するべきだとも伝えておいた。コックさんの俺がタダで教えてやったのだ感謝してもらいたいくらいだ。
昼飯前にトリポリオの旦那がまたやってきて言われた通りにサンドパンを20個作った。朝と同じ量のサンドパンを作ったがサンドイッチの時同様に売れているのだろうか。朝と同じ20個作ってくれと言うのだから売れているのかもしれないが俺にはわからない。値段に関してもいくらで売っているのかさえ俺は知らない。サンドイッチとして売っていた物を名前を変えて売っているのだ。昨日と同じように売っていたらまた兵士に目を付けられるだろうがそんな場合どうするつもりなんだろうかトリポリオの旦那は。俺や御主人様よりは出来る人だからそんな心配もいらないだろう。ただ俺は言われたことを御主人様の代わりにやるだけだ。料理屋の一部を借りて料理を作っているためあまり料理露店で料理を作っていた時とは違い暇がない。サンドパンを作ったらすぐにこの料理屋の手伝いだ。この料理屋には昼でも客が多い。大体が冒険者達だろう。ギルドから近くにある町の料理屋と言う事もあって冒険者が情報収集を行う場所ともなっていようだ。俺は店内の掃除をしながら聞き耳を立てて話を聞いた。盗み聞きではない。俺は掃除をしていてたまたま耳にしただけだ。
「おい聞いたか、31層が発見されたらしいぞ!」
「ああ聞いたぜ… あのダンジョンは30層までだとずっと思われていたが違ったようだな。俺もダンジョンに行けりゃあ金が稼げるのによ。30層なんて夢のまた夢だわな… 」
「お前が30層まで潜れるなら俺は50層だって余裕だぜ! ワハハハハ」
どうやらダンジョンのことについて話しているらしい。31層がどうとか言っているため 古い石迷ダンジョン のことだろう。ダンジョンとは突然できたとされる昔の遺物だ。遥か昔に突如として出現して未だに謎が多い。長年ダンジョンがある場所の各々の国が威信をかけて研究しているが、まだすべては解明されていない。なんせ30層までだと思われていたダンジョンに新たな層が今更発見されたのだ。俺もダンジョンに行って一獲千金を狙いたいものだ。だが御主人様のあのスキルレベルではまだまだ先の話だろう。
ダンジョンとはここら辺に出てくる魔物とは出てくる魔物?の種類が違うらしい。魔物とは呼ばずモンスターと呼ぶようだ。どちらも倒すものであり名前なんてどっちでもいいだろうと俺は思うが。どうやら魔物とダンジョンで出現するモンスターは同じであってもドロップするアイテムが違うらしい。ダンジョンはまだ不明な点が多いためそこに夢を見るのだ。多くの冒険者が一獲千金を狙って人生をかけて挑戦している。夢は見るだけ、追うだけにしておいた方が良いと言う事も俺はよく知っている。ダンジョン破産なんてした日にゃあ即奴隷落ちだ。目も当てられない。俺の言えたきりじゃないが。
夕方時もまたトリポリオの旦那が来て作る個数を伝えられた。俺は言われた通りに30個作った。少し多めだ。夕方時が一番客が多いのだから多めに作るのだろう。
一番嫌だったのがこの夕方時の料理屋の手伝いだ。朝や昼とは違い一番忙しい。休める暇もないくらいだ。これを料理屋の店主と奥さんとそのガキの三人で回してうまくやっているんだから大したもんだ。
酔っ払いの相手は奥さんやそのガキにやらすことはできないため俺が対象している。冒険者とは荒くれものも多くそこに酒が入るとまた一層と客層が悪くない。料理屋で酒を出さないという選択肢はないのだからこの客層の悪さも仕方がないことなのかもしれないが。この酒癖の悪い客の対応を俺一人でやっていると料理屋の店主が俺によくやってると褒められた。ほかに対処できる奴がいないのだからしょうがないだろうと思うが褒められて悪い気分ではない。
ずっとここに居るといるだけ手伝わされるので適当な頃合いを見つけて俺はトリポリオの旦那の料理露店に戻ることにした。褒められても結局はただ働きなのだ。俺はこれ以上したくはないのだタダ働きは。この田舎の町の料理屋にはまともな冒険者は少なく俺がどんなに愛想よく接客をしても俺にはチップすらない。酷い場所だ。こんな町からはさっさと出ていきたいところだ。
早くスキル上げを終えてほしいぜ頼むぜ御主人様。
マクダフ様の現在のスキルステータス
武器スキル類
刀剣 16
槍 36
盾 21
戦闘技術 20
生産スキル類
料理 34
薬調合 6
その他
鑑定 1
ギャンブル
王法違反及び軍規違反支払い金額 1,000,000g※1
※1 支払いは金貨または白金貨のみとする




