おっさんとこれからについて話す
町の真ん中あたりにあるギルドで僕は今日の稼ぎを確認する。
何度もアイテム袋に穴が空いてないか、ドネタンを落としてないか常に確認しながらここまでやってきたが少し落ち着きを取り戻した。
「おかえりなさいませ… 今日はドブネズミ狩りですか。おやっ ドネタンが3個もっ!おめでとうございます。」
ギルド内にあるドロップ品を買い取ってくれるエリアでいつものギルド職員が喜んでくれた。
僕もうれしい。
僕は刀剣スキル使いで一応ドネタンも利用できるが欲しい大剣があるためドブネズミの肉や皮と一緒にドネタンもすべて売った。
ドブネズミの肉24個*5g ドブネズミの皮15個*2g ドネタン3個*1.2k 買取で合計買取金額は3750gだった。
僕は初めて2000g以上のお金を目の前で見た。これが大金か、初めてそう実感する金額だった。
おっさんのほうを見ると何やら少しもめていた。スキル値がどうのとギルド職員とおっさんが何か話をしていた。
何とかおっさんもギルドカードを手に入れることができたようで僕はうれしかった。
僕も初めてギルドカードを手に入れたときはうれしかった。その時の気持ちを思い出した。
「やぁ… 坊主待たせたな。 さぁ早速今日の取り分と夕飯をおごってくれよ」
おっさんはそう言いながら買取が終わった僕のもとへ戻ってきた。約束通り今日の夕飯は僕がおごる予定だ。
僕はおっさんに約束だった取り分の1875gを渡した。
見たこともない大金から見たこともない大金を分け渡す。
なんだか少し惜しい気がしたが約束は守らなければならない。
ギルド近くにある食堂で食事ができる。食堂で席に着き適当に夕飯を食べた。
特に美味しいとかうまいとかはあまり思わない。食事とはそんなものだと誰かが言っていた気がする。食べられるだけありがたいのだ。
「そういえば名前聞いてなかったな… 俺は鈴木武だ。これからよろしくな… 」
僕は今日初めておっさんの名前を知ったスズキタケシと言う名前のようだ。聞いたことのない名前だ。苗字があるから偉い人なのかも知れない。
これからよろしくなと言うことはどう言うことなのだろうか。また良い狩り場を僕に教えてくれるってことなのだろうか。僕は少し舞い上がりながら自己紹介をした。
「僕はジョンです。スキルは刀剣と盾と戦闘技術が少し… タケシさんはいったい何者なんですか?教えてください。それとこれからよろしくなってどう言うことですか?」
僕は今日聞きたかったことをすべて聞いた。
「ジョンって名前だったのか… 戦闘スタイルから見て刀剣と盾スキル持ちだとは見当がついたが戦技も取っていたのか戦闘中にこれも使っていかないと戦技スキルは上がらないぞ。それと俺はこの世界の人間ではない… あとこれからジョンお前には仲間を集めてギルドでフェスを作ってもらい国に戦争を吹っ掛けこの国を乗っ取ってもらう。」
色々と聞きたいことが聞けた。が僕には腑に落ちないことが多々あった。
「使っていたら勝手に上がるんですよねスキルって。戦技って戦闘技術のことですよね?どうやればその戦闘技術は上げられるんですか?人間じゃない??それとフェスって乗っ取るってなにっ!!」
僕は頭の中がこんがらがってきた。
「タケシさんじゃなくておっさんでいいよ。ここら辺では俺のような名前はあまり聞かない名前だからな色々と今から詮索されると面倒だ…。 戦技上げはきついゾ。上限の100まで上げるとなるとバーサーカーレベルだ。だが脳筋なら必須とも言えるスキルだ。そのまま上げていけ」
僕は初めて聞く用語ばかりであまりよくわからなかった。
「スキルって100までは上げることができるって聞いたことがあるけど僕でも100まで上げることってできるんですか?人それぞれスキル上限があるって本当ですか?」
僕は一つ一つおっさんに聞いていく。
「ああ… スキルは0からスタートして上限の100まで上げることができる。これはすべてそうだ。刀剣・槍・棍棒・弓・戦技・回復魔法・神秘・強化・召喚どれでも100だ。人によってスキルを上げられる上限があるのも事実だが少しそれは違う。みたところここにいる人達は10~ 一番高い人でも30くらいか… スキル上限を上げるためには必要なアイテムがあるがジョンはまだ上限キャップについては気にする必要性はない。見たところどのスキルも3~ 程度だろう。どうやら俺の知っている世界での基準より下のようだ。まぁまだこの町しか知らないから何とも言えないが… 」
僕はまだ知らない用語がでてきておどろいた。
「おっさん、確かに僕の刀剣も盾もスキル値は3で戦闘技術は1くらいです。よくわかりましたね… それでこの世界の人間ではないってどう言うことですか?ヒューマンではなくエルフとかってことですか?」
「ジョンは俺がエルフやドワーフに見えるのか?うれしいね… いやそのまんまの意味だ。俺はこの世界の者ではない。別の世界… いや別の場所からやってきたと行ったほうがわかりやすいか。俺はこの世界のことについてはお前よりも知り尽くして知っている。心配するな。」
おっさんがドブネズミのレアアイテムドロップについて詳しかったこともこれで分かった。
僕はスライムにつままれる思いだ。
「よくわからないけどおっさんがそう言うなら… 僕は今日初めて大金を手に入れることができたし何も言わないよ… それで… フェスや乗っ取りって何?」
僕は一番聞きたかったことを聞く。聞いたらもうレアアイテムドロップ狙いの狩りをする平穏なことができなくなるのではないかと思ったが聞いた。
「フェスはギルドで一定の戦闘職や生産職のスキル能力値が高い人物を基本7人以上集めて作るのがフェスだ。このフェス内でのフェス同士のチーム戦でPVPやったりPT組んでボス狩りを行うのが一般的だったが… こっちはどうなんだ?」
「僕は冒険者になりたての初心者ですよ… フェスとかって言うのはあんまり詳しくないです。すみません… 」
「そうか… まぁフェスについてもまだ先の話だ気にするな… なんせこのフェスを作って申請するにも金がかかるからな。大金だ… 」
いったいいくら必要なのだろうか検討もつかない。
「その国を乗っ取るって言うのは… 何かの言い回しですか?… 聞いたこともないのですがそんなこと… 」
「ジョン知っているか… 国は戦争を仕掛けて地図から消すことも乗っ取ることができる。これからやっていくにはとりあえず弱小国であっても一つは欲しいところだ。国を持っていると持っていないとではやれることの幅が違う… 」
大真面目におっさんは一冒険者の初心者の僕に対して途方もない話を食堂の隅の席で語る。
「そんな… 戦争だなんて物騒なことここで言っちゃだめですよ!… 国同士戦争してるところもあるってのは聞いたことがありますけど僕たちには関係のない遠い場所での話でしょ… そんなことに自分から首を突っ込むなんてどうかしてますよっ!!」
僕は今ならまだ平穏な日常に戻れると考えている。
「まぁこの国がどうのと言うことについてもまだまだ先の話だジョン… スキル上げ… フェス作り… 国盗りだ… 大まかな流れはこうだがまずはジョン何をするにも金だ… 明日から本格的に始めるぞ楽しい金策だ… お前の大好きな金稼ぎだ」
そう言いながらおっさんは明日の集合時間と集合場所を僕に告げると食堂からそそくさと出て行ってしまった。
まだ何かやることがあるようだ。
明日から僕は大金持ちになれるのだろうか…
フェスとは戦争とは何か…
何も知らない初心者冒険者の僕が仲間を集めるのならともかく国が僕のものになったら僕は王様か…
レアアイテムとは比べ物にならない聞いたこともないアイテムや装備品なんか僕にもおっさんは手に持たせてくれるだけではなく使わせてくれるのだろうか…
これから僕はどうなるのだろうか…




