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マクダフ様の借金返済 料理屋露店金策 その3

 三日目の朝の目覚めはあまり良くなかった。ベッドで眠って起きたがこのベッドは俺には合っていないように思う。まぁ床で寝るよりはましだが。昨日の夜もどちらがベッドで寝るかを賭けて硬貨トスをやったがもちろん俺が勝った。だがずっと勝ち続けるとばれる可能性があるため今日は負けてやるつもりだ。少しは御主人様にもベッドを使わせなくてはならない。

 御主人様は懐の硬貨を落とさないかまた取られないか心配しているようで本人は気付いていないようだが懐に手を当ててたまに確認している。誰が銀貨38枚程度の金を奪うというのか。上位冒険者ならそこら辺で魔物狩りをやっていればすぐに稼ぐことができる金額だと思うが、子供の御主人様にとっては大金のようだ。俺に預けてくれたら倍にいや30倍くらいにしてやれるのにな。

 今日は俺の方が早く起きたため御主人様を起こしてやった。あまりぐっすりは眠れなかったようだ。ここ数日は椅子で寝るか床で寝ているからな可哀想に。


「旦那ぁ… そろそろ起きてください。今日もスキル上げやるでしょ。さぁ行きましょうよ」


 眠い目をこすりながらようやく起きた御主人様と一緒に俺は今の俺の仕事場である露天市場へ向かう。三日目となると俺もなれたものだ。二日目よりもなれた。今日も俺はサンドイッチとパンポタージュを売ってうって売りまくるのだ。もっとサンドイッチのバリエーションを増やしたりパンポタージュに関しても他に具材を追加したり変えようがあると思うが毎日同じ料理を作って売っている。こんな毎日同じ料理を買いに来る客も俺はどうかと思うが。

 俺が一番どうかと思うのが販売価格だ。露天市場での料理露店で売られている料理なんて500gでも高い方だと俺は思っていたが、サンドイッチなんか一日目で500g二日目で1,000gだ。そして今日は2,000gだ。毎日値段が吊り上げ続けている。このトリポリオの旦那が一体何を考えているのか俺にはさっぱりだし料理露店何かの料理のサンドイッチを1個2,000gでも買っていく客についても何を考えているのかさっぱりだ。俺は御主人様の奴隷なため言われたら作るが、手伝いで来ているスラム街の女のガキもこの値段で売っていることに対して何も思わないのか考えないのか不思議に思う。

 まぁ、ガキがそんなこと気にすることもないが、スラム街のガキがこのまっとう?な露天市場での客引きと声掛けで一日3,000gと追加報酬で1,000gもらっており合計4,000gも稼いでいるのだ。スラム街の中でもトップに近い稼ぎだろう。真っ当な合法での仕事をしている連中のなかでは。非合法な仕事をしているやつよりも稼いでいる可能性もあるくらいだろう。


「エリヤとマクダフ今日も頼むぞ… 朝の分はヘスサ20個、パンポタは制限なしで作ればいい。」

「今日も売りまくりますわ!ダフさん料理をお願いしますわ!」

「エリヤちゃん料理は任せとけ!」


 朝の料理露店の準備をしながら開店する前に朝食をみんなで食べた。今日もサンドイッチとパンポタージュだ。明日も明後日も同じ料理だと俺は頭がおかしくなりそうだ。奴隷の俺がまともな朝食を食べられるだけマシなのかもしれないが。美味いだけマシだろう。朝食を食べ終えたらおっさんはまたどこかへ。御主人はスキル上げに向かった。さぁ今日も労働が始まる。俺はいつ自由になれるのだろうか。借金返済についても目処が立っていない。


「今日も買いに来た早く売ってくれ!今日のレートはいくらだ!」

「今日はヘスサが1個2,000g。パンポタが400g。ヘスポタセットが2,200gですわ!」

「き、昨日の倍か… よしヘスポタセットを1つくれ。」


 すでに気の早い客が一名買いに来ていた。毎日値段が吊り上がっているためレートの確認をしている。常連客のようだ。まだ開店まで少し早かったが客を待たせるわけにはいかないため俺はすぐに作って出した。俺の料理を買いに来た客を待たせるわけにはいかない。

 もう客が来てサンドイッチとパンポタージュのセットを買っているのを見て別の客がまた買いに来た。今日も売れ行きは良さそうだ。


「へスポタセット2個売ってくれ。」

「パンポタを1杯頼む。」

「ありがとうございますわ!すぐにお渡ししますわ!」


 エリヤが客引きと声掛けをしながらどんどん売っていく。サンドイッチを食べながら売っていく。

 このまますぐに朝の販売分が売り切れるかと思ったが違った。また兵士がやってきた。暇な奴らだ。門の警護より露天市場の警護をやっているような連中だ。


「やぁ君たち!… 今日もしっかり売ってるね。じゃあ昼飯時のサンドイッチ楽しみにしているよ!」

「そうだな… 昨日はパンポタージュとか言うスープしか飲めなかったからな!俺の口はサンドイッチなんだよな」


 朝から嫌な連中に会ってしまった。なぜ御主人様はこいつらの言い成りなっているのだろうか。まぁ仕方がないか、子供に兵士の複数名を相手にしろと言う方が間違っているのだ。昼飯時に俺が兵士のいる詰め所に売り物のサンドイッチを持って行くと約束をして帰ってもらった。兵士に露店の前をうろつかれては客商売の邪魔になる。


「ダフさん昨日サンドイッチ持っていきましたよね…? パンポタしか飲んでいない兵士さんがいるようですが… 」

「俺の作るサンドイッチは美味しいですからね、誰かが2個食べちゃったんで食べられなかったんでしょうよ… 」


 俺は昨日サンドイッチを詰め所の兵士のところへは持って行っていない。ガキにやってしまったのだ。兵士何かに食べさすよりよっぽど良いと思ったからだ。タダのサンドイッチだ。どちらに渡しても俺に金は入ってこないからな。少しでも客として金を払ってくれている奴を優先したり贔屓するのは当たり前のことだ。

 その後に少し昨日よりは朝の分が売り切れになるまで時間がかかった。サンドイッチ7個、パンポタージュ6杯、ヘスポタセット10個で売り切れた。売り切れたため昼飯時の販売分をどのくらい作るかトリポリオの旦那に聞きたかったが旦那はまだ戻ってきてはいなかった。俺が作る個数を決めてもいいようにおもうが、トリポリオの旦那をここは待つしかない。俺たちが料理を作って売っているが奴隷とスラム街のガキには何の権限も権利もない。


「ダフさんお昼ご飯時に持っていくヘスサを今から作ってもらいますわ!今日は忘れずに持っていかなくてはなりませんわ!」


 エリヤにそう言われて俺は詰め所の兵士に持っていくためのサンドイッチを作った。昨日と同じように5個ほど作った。これだけあれば十分だろう。今日は昼飯前に持っていくことにした。昼飯時の販売時にまた来られても困るからだ。


「エリヤちゃん… 俺ちょっとサンドイッチ持って行ってくるぜ。店番は任せたぜ。」

「わかりましたわ!ヘスポタセット食べながら待ってますわ!」


 エリヤに一人での店番を頼んで俺は詰め所に向かった。向かう途中で昨日サンドイッチを渡したガキにまた出会った。俺を見つけたガキが走り寄ってきて感謝を伝えてくる。


「ああ!昨日はありがとうございました!家族で食べました。サンドイッチ美味しかったです。」

「そうか… そりゃ良かったよ」

「それでですね… 僕のおばあちゃんがぜひ僕にサンドイッチを渡してくれた料理人に会いたいって言ってるんですけどこれから来てくれますか僕の家に…? 」

「ああいいぜ… 俺は今暇だからな」


 俺はこのガキの家に向かうことにした。家族で食べて美味しかったと言っているのだ。それで終わりではなく家に来てくれと言っているのだから謝礼くらいもらえるだろう。この謝礼は俺の懐に入れておけばいい。誰も知らないんだからな。


 少し歩いたところにそのガキの家があった。家に入るとガキの家族が出迎えてくれた。


「あなたが私たちの子供にサンドイッチをくれた方ですね!ありがとうございました。とても美味しかったです。」

「いや、気にせずに。1個 1kgの安い料理屋台の品ですよ。余ってたので渡したまでです」

「そ、そんな… 1個 1,000gもするサンドイッチだったのですが、何とお礼をすればよいか… 」


 これは早くも金額の交渉をできそうだ。一個1kgのサンドイッチを5個も渡したんだ。一番低くて1kg高くて5kgくらい貰えるだろう。


「お金でお礼ができればいいのですが、家にはお金があまり… あのもし料理スキル持ちでしたら薬調合や裁縫スキルなんかもお持ちではありませんか…? 」

「薬調合なら持ってますか… 何か」

「それは良かった!家の婆さんが昔薬調合の仕事を行っていたんですよ。婆さんならきっとあなたのお役に立てるはずです!」


 どうやら金ではなくアイテムか何かでお礼をしてくれるようだ。俺は金が良かったが、まぁ貰ったアイテムを売って金にするのでも良いだろう面倒だが。さっそく体調が良くなりつつある婆さんに引き合わされた。


「あんたがうちの孫にパンポター… 何とか言うスープを売ってくれた人かい?私にはあれ一杯でお腹一杯になって随分体調も良くなる料理だったよ。ありがとね… 」

「そりゃあよかった。婆さんの体調が良くなってよかったよ… それで薬調合スキル婆さん持ってるんだって… 俺に何かくれるのかい?」


 単刀直入に聞いて金になりそうなら貰ってもし良さそうなものでなければ適当に感謝の言葉だけで十分だと言って帰ろうかと思っていた。まだ俺には料理露店でサンドイッチやパンポタージュを売らなければならない。今もこうしてさぼっていることになっている。


「はいはい… 昔に薬調合スキルで生計を立ててたんでね。ちょっとした薬の作り方ならお教えできますがね私の薬調合は古いのでまだ現役で使える薬かどうかは… 」

「薬調合の仕方を教えてくれるのかそれはありがたい。早速教えてくれ、別に古くても問題ない。むしろ作り方が古いやつを知りたい。」


 どうやら婆さんは俺に薬の調合方法を教えてくれるようだ。金やアイテムじゃないがこれはそれ以上に金になりそうだ。薬調合スキルで作成できる薬やポーション類と言っても色々なものがある。同じ効果の薬やポーションであっても作り方が一つではないためレシピ教本や教えてくれる人によって違う。味や効果も少し違ってきたりするため俺には分からないことが多い。日々進歩している薬調合や錬金術スキルだが昔からある作り方などのレシピはあまり現存していない。あることはあるのだが一つ一つのレシピ自体が秘匿とされていることが多いため、基本的に薬調合スキルの高い人に弟子入りして教えてもらうのが一般的とされている。が、俺のは自己流だ。戦場の最前線での補給係をやっていた俺は料理から薬調合まで誰かが教えてくれることもなく見様見真似、他の近くにいた同じ戦場の兵士から聞きかじった適当な知識で薬調合をやって薬やポーション類を作っていたのだ。効き目などもないよりはマシ程度のものだったと思う。


「はいはい、私なんかが役に立てるならいいけどね… じゃあ一つ教えようか… 」

「一つと言わず知ってるレシピ全部押してくれよ婆さん。感謝してるんだろ体調が良くなって」

「教えたいのはやまやまなんだがねぇ… 部屋の掃除をしていたら偶然に見つけた今ある薬調合のレシピは一つしか無いんだよ。他のレシピはどこにしまったかしらねぇ… 物忘れが酷くてね… 」


 使えない婆さんだ。もう歳のため物覚えもあまりよくないらしい。自分が昔使っていたレシピ集をどこにやったのかさえ覚えていないため、どこかから出てくるか見つかるまでどうしようもない。


「今あるやつで構わん。またレシピ見つかったか、思い出したら教えてくれよ俺だけに」

「はいはい、その時はぜひ… 」


 早速教えてもらえた。 逆さまポーション だ。このポーションを飲むことによって姿を消せることができるらしい。俺の薬調合スキルが6のため教えてもらったやつが作れないかと思ったが教えてもらったレシピは薬調合5から作成することができるやつだった。薬調合スキル5から作れるポーションで姿を消せるなどふざけた効果のポーション効果だ。薬調合のためのレシピはあるが素材がないため俺はレシピだけ教えてもらった。完璧にこのレシピ通りにポーションを作るためには何度か作ってみる必要性がありそうだが何とかなるだろう。本当にそんな効果のあるポーションが作れるのか分からないが思わぬ拾い物だ。ガキには優しくしておくべきだなと実感した。


「ありがとな婆さん!お礼じゃないがこれまた家族で食べてくれ。昨日も食べたサンドイッチを今日も食べたくはないかもしれないが… 」

「お礼に薬調合のレシピ教えたのにそのお礼をまたもらうとわね… ありがとね家族みんなで食べさせてもらうよ… 」


 俺は良い物を手に入れたと思いガキの家を出た。ちょくちょくこのガキの家に来る必要性が出てきたが、レシピを見つけたか思い出したら俺だけに教えてもらえる。これは行かないわけにはいかないではないか。手ぶらで行くのは家に入りづらいがガキにお土産としてサンドイッチかパンポタージュを持っていけば簡単に家に招き入れてもらえるだろう。なんせ俺が作った美味しい料理を持っていくんだ。そしてその料理は金を払わなくても手に入るタダだ。


 露天市場へ戻った時昼飯時をすでに過ぎていた。エリヤに帰ってくるのが遅いと怒られたが、俺はあまり気にしない。夕方時に昼に売れなかった分を売ればいいんだ。簡単な話だ。


「詰め所の兵士さんにヘスサを渡すだけでどれだけ時間がかかっているのですか!戻ってくるのが遅いですわ!」

「ああ… 詰め所ね… 」


 俺は忘れていた。いや忘れていた訳ではないが、薬調合のレシピのほうを優先してしまったのだ。まぁ夜持っていけばいいだろう。冷めたサンドイッチより出来立ての温かいサンドイッチの方が喜ばれるだろうしな。エリヤと話しているとおっさんが戻ってきた。どうやら昼飯時にも一度戻ってきていたが俺がいなかったためまたどこかへ行ってしまったようだ。


「マクダフ帰るのが遅いじゃないか… お前がいないと金策ができないんだぜ」

「トリポリオの旦那ぁ… 昼飯時の売る個数を早く教えてくれてたら作ってたんですがねぇ… それよりトリポリオの旦那は薬調合のスキルについて詳しいですかい? 逆さまポーションとか… 」

「マクダフお前… 蝙蝠男ポーション の作り方知ってたのか?驚いた。銀行金策をするには必須のとっておきポーションだぞ。夕方時の販売個数は昼に売れなかったためヘスサは20個でパンポタは制限なしでいい。」

「薬調合5なんかで作成できるポーションがそんなに金策になるんですかい…? 姿を消せるなんて最強じゃないですかい」

「いや… 姿は消せるがちょっとでも動けば直ぐにバレる効果のポーションだ。普通の使い方では価値はほぼない。子供用のお遊びポーションだ… 」


 逆さまポーションを飲んだら一定時間姿を消せることができて狩りや対人で使えるかと思ったがちょっとでも動いたら直ぐにバレる効果のあるポーションなんてゴミじゃないか。こんなポーションが一体なんの金策ができるって言うんだ。まぁ薬調合5で作れるポーションなんだからたかが知れている。


「おいっ!お前ら昼に持ってくると約束したサンドイッチはどうしたんだ!!」

「ダフさんがお昼ご飯前に詰め所に持っていきましたわ!」

「ああ悪い… 昼飯時に持っていけてないんだわ。すまんなエリヤちゃん」

「何回約束を破るんだ!もういい。お前は詰め所に来い!こいつを連れていく。ちょっとお話をする必要がある!」


 たかが昼飯にタダでサンドイッチが食べられなかったからと言ってそこまで怒ることあるのかと思うが。どうやら詰め所でお話をする必要性があるようだ。面倒なことだ。

 俺は詰め所に兵士の二人に連れていかれた。詰め所に入った瞬間に後ろから思いっ切り何かで殴られ気を失いそうになったが何とか持ちこたえ回りも見ずに反撃をした。一人の兵士に俺の反撃の一撃が偶然にも当たりよろめき倒れたため辺りの机や椅子が破壊された。そのあばれ具合の音を聞いて後から他の兵士が詰め所にやってきて暴れている俺と兵士の両方をロープで拘束した。サンドイッチでここまでやるのか。こいつらは狂ってやがる。

 騒ぎを聞いてか他の町の住民たちと一緒にトリポリオの旦那が様子を見に来てくれた。どうやら俺は奴隷のため御主人様にこの事について話をする必要性があるようだ。トリポリオの旦那が俺の御主人様を呼びに行ってくれた。少しして戻ってきた御主人様と顔と目が合った。


「旦那ぁ… 聞いてください… こいつら無茶苦茶ですぜ… 」


マクダフ様の現在のスキルステータス

武器スキル類

刀剣 16

槍 36

盾 21

戦闘技術 20

生産スキル類

料理 32

薬調合 6

その他

鑑定 1

ギャンブル 


王法違反及び軍規違反支払い金額 1,000,000g※1

※1 支払いは金貨または白金貨のみとする

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