転校初日
「こんにちは、初めまして私の名前は、与論 論讞です、下の名前は難しい字なので、ろんちゃんと呼んでください」
X²²年6月12日、静謐学園に新たな生徒が転校してきた
彼女の髪色は薄水色であり、身長は170㎝前半…女性としては背が高い方であった
静謐学園ここは戦闘狂が考えたような毎日が戦争の学園である、この学園のルールは簡単に言えば一つ、生き残りたければクラス替えだ、下位に行けば行くほど強い武器が支給され、上位に行けば行けば行くほど弱い武器が支給される、しかし各学生には、一つ特殊な力を持っている、心を読める『読心』や強制的に相打ちに持っていく『心中』などがある、そして論讞の能力は、いずれ3つの中から一つの効果を自分又は相手に付与するか『裁定』である
「以上だ、論讞の階級は『A⁺』だ支給品は…竹尺だ空いている席に着け〜」
担任である西海 燕はそう言った
「お隣失礼、これからよろしくね」
論讞は隣の席にいた男子、幌延 廿にそう言った
「よろしく…転校してきて初日でA⁺って…良いのか悪いのか…」
「別に私はいいと思う、どうせ私がD⁻でスタートしても、いずれS⁺²になるから」
論讞はどこか不気味なような雰囲気を醸し出しながらそう言った
「大きく出たなぁ〜!?転校生!S⁺²だぁ〜?あまり無礼るなよ、A⁺²になる前にここで死んでもらうぜ!」
怒号を浴びせるように連射式回転鉄砲を持った大男、飯舘 摩天楼が叫ぶように言った、因みに彼のランクはD⁻²である
「……そうですか良いでしょう、戦いますか」
論讞は冷静沈着にそういった
『拍車』
「俺の能力は『一つの物体の速度を上げる』効果を持つ『拍車』だぜ!」
「へぇ…案外強い能力ですねまぁいい、作品で言う『噛ませ役』とでもなってもらいますか」
『裁定』
何の3つの中から一つ選べ(以後この文章は省かれます)
①相手の武器の弾数を0にする
②相手が放つ弾の進行方向を逆にさせる
③自分自身が持つ竹尺の威力を連射式回転鉄砲と同じにする
「③を選択、…まぁ正直どれ選んでも強いけど…連射式回転鉄砲の総ダメージ…まぁ6000発あったとその分のダメージ量がこの竹尺一発で出せるようになった」
論讞は目を細め威嚇するように言った、そしてその後論讞は竹尺で机を叩いた
バコォォォォォォン
机を叩いた数秒後、あたり一体に轟音が鳴り響いた
机は深く力強く、女性では大抵出せないように大きく破損していた
「なるほど…お前の能力は『物体の威力を増加させる』、『増強』だろう!」
「いいや、違う私の能力は『有利に成り行く選択肢を選択する』、『裁定』だ…まぁ良いや仲良くできればよかったんだけど…ここで死んでもらうよ」
論讞は無慈悲にそう告げた
「戦いやめてください…!休み時間じゃないんですし…」
それを言ったのは華奢であったが、首がとても細く少し触ったら折れそうなほどにか弱そうな女性上天草 磁界だった
「うるせぇなぁ…この学園では『授業はあってない物』だろう?休み時間とか授業とかの間なんてないようなもんだろう」
摩天楼はそう叫ぶよに言った
「まぁいいや、無駄な争いは辞めましょう?どうせD⁻を倒してもそこまで上がりませんし」
論讞はため息を吐きながら言った
「それと、ありがとう磁界さん、今後いつか貴方の能力を使わせてもらう時が来るかも知れません」
この学園の階級は次のようになっている
E⁻→E⁻²→E⁺→E⁺²→D⁻→D⁻²→D⁺→D⁺²→C⁻→C⁻²→C⁺→C⁺²→B⁻→B⁻²→B⁺→B⁺²→A⁻→A⁻²→A⁺→A⁺²→S⁻→S⁻²→S⁺→S⁺²
そして、その階級を上げるを行うには、他生徒を倒さなければならない、そして生徒を倒したら『評価』を獲得することができる、その評価と引き換えに階級を上げる可能である
E⁻からE⁻²になるに必要な評価は50である、がS⁺からS⁺²に必要な評価は
「──100000000さ、到底無理だろう?」
論讞は他人に思い示させるように言った
「一億…!?誰もそんな所目指さないのでは?」
廿は困惑したように言った
「それが良いんじゃん、『誰も目指さない所を目指す』それ以上も幸福はないよ」
一つ、言っておこうこの学園での階級は何故存在するのか、それは簡単に言えば金だ、卒業時の階級によってその金額は変動する
E帯で有れば、一日で使い切るような端金であるが、S帯では、一生遊んで暮らせるレベル、国家予算と同様の金銭を貰うことができる
「…やっぱり一億なんて…全国生徒を殺めても足りるかどうか…」
廿は弱音を吐くようにそういった
「兄さん、大丈夫だよ俺とか強い輩もいるから、到底到達できるわけない」
後ろから、廿によく似た双子の弟、幌延 丗の声がした
「兄さんの階級はわからないけど、俺はB⁻²だし」
「…へぇすごいじゃん」
廿は丗の自慢話を聞きながら、適当に返答した
「ほら〜嘐言はそこまでにして2限目始めるぞ〜2限目は『危機管理戦闘活動』を行うぞ〜いつも通り、1人殺めたら300点あげよう。
そう、燕は言ったが言ったあと論讞の事を睨むように見ながらこう続けた
「しかし、今回は特別ルールがある、それは転校生である、与論 論讞を殺した場合そいつには5万点あげよう」
燕は低階級の者が唆るようなルールを制定させた
「5万点!?激アツじゃあねぇか!」
摩天楼は興奮したように言った
「5万点って…A⁻に届くほどの評価じゃん!」
周りの人々もヒソヒソしながら言った
「兄さん、下がってて流石に5万点は美味すぎる、論讞さんには悪いけど死んでもらうよ」
丗も興奮したようにも言った
「先生あからさま過ぎない?」
「私の見当違いじゃなければこんな簡単に死なないと思いますよ、貴方は…あ、あと一つ貴方にも特別ルールを科しますね、それは─────です」
「へぇ…そう了解」
生徒全員は、教室内に均等にばらけたが、皆の視線は全て論讞に向いていた
「さて…戦闘…開始!」
燕は眠そうに言った
「『裁定』」
論讞の声が教室中に響いた
①自分に攻撃を仕掛けた者の評価を100ずつ減らす
②全ての武器の威力を竹尺と同じにする
③自分より階級が下の者の『能力』を無効化させる
「ん〜今後の学校暮らしもあるし…③番を選択」
論讞が淡々と告げた瞬間、教室内を覆っていた「熱」が、急速に冷え切った
「なんだ…急に体が重たくなったような…」
同級生の1人がそう告げた
「…能力が使えなくなってる…」
真っ先に気付いたには、双子の弟、丗であった
「本当だ、俺の能力である『拍車』も使用できなくなってる…」
摩天楼は自身の唯一の取り柄である能力が使えなくなっていることに気づき少し凹むように言った
「これから30分間、私より低階級の者の能力の使用を封印しますよ、まぁ…武器は使用できるけど」
論讞は不敵な笑みを浮かべ、嬉しように言った
「『㤐懘』」
「論讞さんより低階級なら俺は対象外って事かな…」
廿は小さな声だが、そういった
「…あーあ良い奴だと思ったのに結局は階級目当ての野郎だったか…」
「いえ、違いますよ、俺は貴方を護衛するために能力を使います…あっ因みに俺の階級はS⁻です」
「…へぇ『守る』って言ってもどうやって私の事を守るんだい?」
論讞は不思議そうに聞いた
「俺の能力の『㤐懘』は簡単に言えば『暴力行為の封印』って感じかな」
㤐懘…音調のリズムがあっていない、不協和音の事
「…なるほど強いね」
「まぁ廿君が助けなくても、別に私は倒されないけどさ…ね?先生」
「あぁ、論讞にのみ発動している特別ルール『攻撃を喰らわない代わりに、相手を殺したら0点』があるからな」
燕は怪しげな笑みを浮かべながら真実を言った
「『攻撃を喰らわない代わりに、相手を殺したら0点』だと…?」
廿は目を丸くし、驚きながら言った
「そうだから私は誰も殺さずに皆を鎮ませなければならない…少し面倒だね」
論讞は肩をすくめ、手にした竹尺たけじゃくをペン回しのようになびかせた
「うるせぇ!能力が使えないので有れば数の暴力だ!おらぁ!」
そう言ったのは、摩天楼率いる男子6名のチームであった
そして、その6名は論讞の元へ殴りにかかった
しかし、その攻撃は無駄だった彼らの攻撃は全て透明の壁のような見えない壁によって遮られたからである
「無駄だよ、先生が言った通り今の私はこの世界の掟から逸脱してるからね」
論讞は優雅な足取りでもっとも近くにいる能力名『癇癪』の印南 泪に近づいた
「初めまして〜…あぁ〜挨拶の時間勿体無いか」
そう論讞が言ったのち論讞は泪の側に自身の唯一の武器である「竹尺」を置いた
「私の能力って継続時間が30分で、徐々に効果が薄れて行くんですよねって事で2番目に選んだ『自分より階級が下の者の『能力』を無効化させる
』にもう一つ効果をつけようかな」
「『裁定』」
+①
無効化した物に触れた場合その触れた者の評価の1/2を獲得する
「泪さん、出会って数秒ですが、評価の半分をもらいますね」
その瞬間、論讞は泪の裾に触れた瞬間、泪の総評価である5600点の1/2である2800が彼女の評価となった
「な、なんだよこれ……俺の評価が…! 」
泪は力なくその場に膝をついた、死んではいない、怪我すらしていないだが、この学園においてスコアを失うことは、社会的な死、あるいはそれ以上の絶望を意味する
「あらまぁ、跪いちゃった誰がそんな酷いことを」
論讞は煽るようにそう泪へ言った
「……ろんちゃん君は本当に無慈悲だ」
廿は論讞に向かってそう言った
「おっ1番最初にろんちゃん呼びをしたのは君だったか」
論讞は驚くようにそう言った
「…そんな事は後にしようさて次は摩天楼君、君かなこのまま私と戦って5万点を狙うか、私に触れられて所持評価の半分を私にくれるかの2択だよ」
論讞は摩天楼へ最悪な2択を行った
「…半分だと?ふざけるな俺が一生懸命頑張って集まった1万2000点をこの一瞬で半分も失うだと?ふざけるなよ…」
摩天楼は論讞へ対抗するように叫ぶように言った
「おぉ、1万2000点かやっぱり君は『噛ませ役』として最高だね…先生これは殺してないし良いよね?」
「あぁ、勿論君が0点になるのは『殺した場合』のみだからね…いいぞ〜もっとやっちゃえ〜」
燕はガムを噛みながら眠そうに言った
「半分ではなく全部失うか、降参し半分失うか、どっちか選んで欲しいな」
論讞は摩天楼へ突然2択を出した
「……拒否権は?」
「ないよ」
論讞は無慈悲にも即答した
「…わかった降参する持ってけ泥棒」
そう摩天楼が言った後論讞は摩天楼の肩に手を掛けた
「はい、ご馳走様」
論讞はやはり、煽るように見下すように言った
「やっぱり、休み時間で普通に1VS1するより授業の方が稼げるな」
ニヤつきながら言った
「くそう…俺の1万2000点…」
摩天楼は半泣き状態でそう言った
「泣かないでよ、私が悪人みたいじゃん、ちゃんと半分は残しておいたじゃん?」
論讞は薄水色の髪をかき上げ教室中を見渡した
5万点というエサに釣られた生徒たちは全員石のように硬直していた
しかし唯一廿のみ教卓に腰掛けたまま面白そうに彼女を観察していた
「みんなもういいの?私を倒したら5万点だよ?まぁ私に触れられたら半分もらうけどさ…それでも来る人〜」
沈黙、誰も動かない、論讞の裁定による能力の無効化+触れてはいけないという条件が全てを無理にさせていた
「……いないみたいだね、廿君…にっくんお疲れ様、君の『㤐懘』のお陰で無駄な体力を削らずに済んだよ」
論讞は廿に感謝の言葉を発した
「厭、もし俺がいなくても君は1人で無双していたと思うよ」
廿は軽やかに教卓から飛び降りた
「でも良いのかい?燕先生からの特別ルール『殺していけない』ってのが課せられてる以上1番手っ取り早い評価稼ぎができないんじゃない?」
「いいよ、私はそこまで戦闘狂じゃないし、選択を楽しむ方が楽しいしね」
論讞は廿に向かってニコリと微笑みながらも、廿に近づいた
「にっくん、君の武器ってなんなの?S⁻って事は相当弱い武器じゃないの?」
「あぁ、俺の武器?俺の武器は髪の毛一本…本当に弱い武器だよ」
廿は先生に苦情を言うように気怠そうに言った
2人の会話を遮るように2限目の終了を告げるチャイムが学園中に響き渡った
「はい、そこまでにして〜、危機管理戦闘活動終了して〜」
燕の声が脳内に直接語り掛けられたよう皆に聞こえた
2限目:獲得評価5300点
現在評価6300点
「論讞、初日からいい稼ぎだったな、放課後職員室に来い、姉貴…あぁ…違う理事長が話したいそうだ」
論讞は竹尺をくるりと回し胸ポケットに収めた
「へぇ…理事長ねぇ…昔からお世話になっているけど…なんの話だ…?まぁいいやにっくん、食堂に一緒に行かない?評価いっぱいあるし1番豪華なの奢ってあげる」
「ん、ありがとうお言葉に甘えて」
転校初日、静謐学園に現れた薄水色の少女、転校前学校でのあだ名を転用すると「無差別の死神」は瞬く間に、クラスの序列と言う序列を全て瓦解していった
「やはり、彼女はクラスを瓦解させるような強さを秘めているな…」
燕は驚きながらそういった
「燕、彼女どう?」
後ろから女性の声が聞こえた
「あぁ、姉貴か…2限目で行った危機管理戦闘活動では、彼女の能力『裁定』をしようしてほぼ一方的に進行していた、やはり転校前の評判通りの強さだった」
「あら、それは面白そうだね、彼女は『特異点』なの私の目に狂いはなかったってことかしら」
燕の最後に音もなく現れた女性は、静謐学園の理事長であり燕の双子の姉である西海 鶫は、自信満々に腰に手を当てながらも落ち着いたようだった
「一方的…ねぇ…彼女の恐ろしい所は戦場そのものの前提を自分の都合のようように書き換える、傲慢な思考回路にあるのよ」
鶫の瞳には、論讞が廿と共に楽しげに廊下を歩く姿が映っていた
「燕、あの子に課した『殺したら0点』というルール、あれは単なるハンデではなくて、彼女がどれだけ『殺さずに相手を絶望させるか?』を見極めるある意味テストの意味を成してるの」
「性格悪いなぁ…姉貴もあいつも…俺の能力『砉然』で操れば良いのに…」
燕はため息を吐きながら、鶫の肩に手を置いた
「あら、燕私のことを性格が悪いなんて、最高の褒め言葉ね」
鶫は燕の手を取り握りしめた、モニターに映る論讞の後ろ姿を見つめたまま、妖艶な笑みを深めた
その瞳は、獲物を観察する捕食者と同じ鋭い眼差しをしていた
「それにしても、燕、あの子が懐いた者が廿君だなんて皮肉めいた者だな…彼女の『選択』と廿君の『不協和音の拘束』結構アンマッチになっているが…まぁ混ぜるな危険っちゃ危険なペアでもあるけどね」
「あぁ…確かに俺が1番推してる生徒と姉貴が1番推してる生徒…とのペアは割とアンマッチであり混ぜるな危険ではあるな」
燕は的確にそう言った
燕は自身の能力『砉然』は対象の関節や精神の「繋ぎ目」を強制的に解体・分解・操作する凶悪な能力であるがあまり使用していない
12:00 昼食 食堂『抙傘食堂』にて
学園の食堂は、それ自体が一つの戦場だった
しかし今日に限っては、中央テーブルは静かであり、窓側席が混んでいた
転校生の噂は他クラスへと蔓延るように伝わって行ったようだった
「わぁ!流石評価500点と引き換えの『極上A6・特注ステーキ』!にっくん見てよ!この肉厚!奪いたての評価で食べるご飯は最高だね!」
論讞は目をキラキラをさせながら涎を垂らしながら言った
「……本当にいい性格しているね、あいつの半泣き姿を思い出しながらステーキを食べるなんて…最高だね…いただきます」
廿は満面の笑みを浮かべながら、支給された唯一の武器、指に巻き付いた「髪の毛一本」を邪魔そうに退け、ナイフとフォークを手にする
論讞は肉を口に運びながら、ふと視線を鋭くした
「理事長さんにあったことある?にっくん」
「厭、ほとんど見たことがないよ、ほとんど学校に来ないしね」
「へぇ…そうなんだ私は転校前の学校からの付き合いではあるんだよね」
「そうだっただ、転校前から理事長と…」
廿はステーキを基地に運ぼうとする手を止め、少しだけ考え込むように素振りを見せた
「ま、深くは聞かないよこの学園じゃ、過去を振り返すのは自分の首を絞めるのと同じだしね」
「あはは〜!にっくんってば意外と現実的〜でもそういう所嫌いじゃあないぜ、確かに他人の過去への介入はこの学園で不利に働くことが多いからね」
論讞は楽しそうに笑いながら、竹尺をテーブルの上でくるくると回した、彼女の『裁定』がもたらす余裕かあるいは彼女自身が天性か、殺伐とした学園において彼女の存在はあまりにも異質だった
「おばちゃ〜ん!評価5000交換で『A6ステーキ』10枚頂戴!」
そこにはお転婆な少女のような可愛らしい女性がいた
「あら〜暴ちゃんいつもいっぱい食べるね〜」
「ま〜この学校の七大生徒の『暴食』だしね〜いっぱい食べちゃうよ〜」
「…いつもいっぱい食べるし、今日は特別で一枚サービスしちゃうよ!」
静謐学園 七大生徒 担当『暴食』
上牧 獏食能力『暴食』
実はこの学園にはS⁺²は7名しか存在しない
それは七つの大罪に準えた担当の7名である
その7名の担当は『傲慢』『嫉妬』『憤怒』『怠惰』『強欲』『暴食』『色欲』である、その中で特にランキング等がつくられているわけではないが、周りからはS⁺²₆
(6位)など順位がつけられているらしい
下付き文字がその人物の順位である
因みに、獏食はS⁺²₇である
「まじ!?いいの〜?ありがと!!」
獏食は目を輝かせながら嬉しそうに、食堂のおばちゃんに感謝を伝えた
「10枚…いや11枚食べてる…評価数なんて関係ないんだね…」
「S⁺²の七番目…1番最近S⁺²になった人物だね、めちゃくちゃ強いS⁺²帯の生徒を倒したことで成り上がった異例中の異例の人物だよ…」
廿はステーキを食べながらも警告をするように言った
「ふーん…あの可愛らしい子がねぇ…」
論讞は獏食が11枚目のステーキを食べている所を横目にそうボヤいた
12:13 体育館にて
「バスケしよ〜にっくん」
「ん、いいよ一応俺バスケ部だし結構上手いけど戦い挑んでいいのか?」
「格上と戦う方が楽しいじゃん」
論讞はワクワクしながら元気溌剌に言った
体育館にキュッという音が鳴り響く
穏やかな昼休みの遊戯でさえ、評価が絡んでくる
バトミントン等をしている女子たちも、普段ドッジボールをしている男子たちも論讞と廿のバスケ対決に釘付けであった
「能力は封印して、真剣勝負しようよ」
論讞は廿が有利になるような提案を持ち出した
「俺が強くなっちゃうけど、それはいいの?」
「いいよ、さっきも言ったけど私は強いやつと戦うのが好きだしね」
「わかった、受けて立つよ、後悔しないでね?」
廿はそういうと制服の裾を捲り上げコートのライン際に立った
彼は完璧集中しており、外からの騒音は耳に入って来なかった
対する論讞は170cmという身長を活かし、軽くハンドリングしながら不敵な笑みを浮かべていた
試合開始── 第一クォーター
試合が始まると同時に廿の動きが一変した
筋肉の使い方・重心移動・進行方向の防御、全てを取っても完璧という言葉を選ばざるを得ないような完璧だった
「っ!流石バスケ部全てを取っても完璧だね…」
論讞はドライブで抜き去ろうとしたが、全ての進行方向を塞いでくる、しかし論讞は能力を使わずとも廿の癖を全て観察していた
(あぁ…彼はフェイントが不得意っぽいな…)
何度も論讞はフェイントをすることで彼の弱点に気づいた
「にっくん…これならどうだ…!」
論讞は再度、廿にフェイントをかけ、センターラインからボールを離した
ボールは天井高く上がり一直線でリングに吸い寄せられる
スパンッ…
気持ちいいほどスウィッシュを決めた
「え…上手…今の能力じゃないよね…?」
「自分から提案したんだし流石に能力使ったりしないよ、ただのテクニック、にっくんの弱点と私の筋力から導いただけだよ」
「あぁ…弱点ねぇ…まぁ確かにろんちゃんがよくしたフェイントへの対応は苦手だな…」
廿は論讞の言葉を聞き自覚していた「弱点」へ自己反省していた
試合再開──第二クォーター
廿がドライブを完璧にこなし、論讞を抜き去りシュートを決めようとした瞬間だった
ドゴォォォォォォン…
体育館に轟音が鳴り響いた、その音に気を取られていたが体育館の扉が吹き飛ばされるように反対側へ吹っ飛んでいた
轟音が鳴り響いた所には、禍々しい覇気を纏った大柄な男性が居た、彼の名前は『古平 匠』階級はS⁻²である彼の能力は『触れた物体をバラバラに破壊する』『崩壊』である
どんなに頑丈な金庫でもどんなに危険な武器でも彼が触れた物は全て崩壊する
「今日来た転校生どこだぁ…?」
匠は怖いような声色でそう投げかけた
「私のことですか?」
論讞は自信満々にも名乗り出た
「…第10箱で歓迎会開いてるから来ないか?昼休み残り30分はあるし」
匠は論讞のことを自分の教室で行っている「歓迎会」に招待した
それと、この学園では『学年』という制度は存在しない全員が同じ学年である
しかし教室がある、普通の学園であれば「3-9」など数字で表せられているがこの学園では第○箱と表現される、因みに25箱まで存在する
論讞や廿は第4箱である
「……10箱の歓迎会だと?あんな『解体屋』の所の歓迎会なんて嫌な予感しか感じないが…」
廿は訝しむようにそう話しながら匠を睨みつけるように言った
「へぇ…10箱ねぇ…そこって有名な所なの?にっくん」
論讞は吹き飛んだ扉を軽々と飛び越えながら匠の方へと歩き始めた
「あぁ…評価を貯めると言うよりかは物体を分解させる事が快楽と感じている所が集まっている箱だよ」
「酷いなぁ〜俺はただ新しい生徒を歓迎しようとしただけなのによ〜」
匠は不敵な笑みを浮かべながら近くにあった飛び箱に手をかけたその瞬間頑丈そうな飛び箱は砂のように簡単に崩れていった
「ろんちゃん…やっぱり行かない方がいいよ…俺が休み時間終わるまでバスケとかで遊ぶし…」
「ううん…私行くよ少し10箱に興味があるし…4箱以外の空気も吸わないとね」
論讞は廿が一生懸命行った警告を無視し、10箱まで向かった
12:23 本校舎第10箱にて
「いっぱい料理あるし…食べていい!?」
そこには獏食の姿があった
「ダメですよ、これは来客用ですし…あなたは学食食べたでしょう?」
何処か秘書のような雰囲気を醸し出している女性が、獏食を制御していた、彼女の名前は『函館 ルル』である、彼女の能力は「忘却」である
その能力は簡単に言えば『記憶の削除』難しくいえば『事変の改変』である
「こんにちは〜約束通りきましたよ、休み時間残り22分しかないですけど…」
「おっ君が転校生か〜!もしかして『抙傘食堂』にもいた子かな?」
獏食はニコつきながらも優しくそう言った
「えぇ、その通りですよ、ステーキ食べてる姿見られてましたか…」
「美味しそうに食べてる所を見るのが私の趣味っちゃ趣味だからね〜」
「獏食様…貴方の趣味は『絶望の顔を見ながら飯を食う』…ですよね?」
ルルは獏食の嘘にツッコミを入れた
「ルルちゃんそれを言ってはお終いだよ〜食べちゃうよ〜???」
獏食が最後に言った言葉にルルは怯えたような格好になっていた
「…あ、あー失礼しました…失敬失敬…」
「いいのいいの〜気にしないで〜!」
彼女がS⁺²である以上ルルは逆らえず、もし逆らったらどのような事になっているのか理解している為、普段の落ち着きはなかった
「別に私の能力『暴食』は正直弱くない?ただ『対象物を食し、その物体の性質をコピーする』だけだよ?まぁ…能力者を食べたらその能力使えるようになるけど…」
獏食は陽気に言っていたがその内容はどこを取ってもえぐい話ではあった
「なるほど…実質的に転写能力と同じってわけか…幼馴染と同じ系統か…」
論讞は顎に手を当て、考え込むように言った
「まぁまぁ、転校生さん!今は楽しく歓迎会をしましょ!」
12:25 歓迎会開始
「歓迎会って言っても…まぁ食事は副みたいな感じだけどね、主は勿論『戦闘』さ、10箱らしく『戦闘』を楽しみたい」
一番の戦闘狂でありそうな、匠が腕を組みながら言った
「45分から、授業ですし…あと20分程度しかないけどいいんですか?」
12時45分からは5限目の授業であり、残り時間も少なかったので論讞は聞いた
「大丈夫ですよ、時歪様時間を伸ばしてもらっても?」
ルルは窓際で窓の外を見ている『出雲 時歪』へと話しかけた
「あぁ…妾?いいよ…『遅延』……これでいい?1分経つのに感覚的には3分かかるようにしたけど…」
時歪は突然話しかけられた事に驚きながらも言われた通り執行した
彼の能力『遅延』は『一定の時間の経過感覚を延長させる能力』である
「あれ、楽しそうなことしてるね私も混ぜてくれない?」
そこには少し破廉恥目な服装をした女性が立っていた
「ゲッ…愛蠱か…今回はここ第10箱の歓迎パーティだ出ていってくれないか?」
獏食は嫌そうな表情をしながらそう言った
「えぇ〜?だめぇ…そう…わかったよ…まぁいいや一つ言っておこうかな『愛情』」
「『爆食』…お前の能力効果は今喰らった…あまり手をだなさいでくれ、七大生徒『色欲』担当 『愛冠 愛蠱』」
獏食は少しキレたような声でそう言った
「怖い怖い!ごめんって〜ただ顔を出しただけじゃん!それじゃ21箱に戻るね」
愛蠱は無礼たような口調で教室を出ていった
「さて、邪魔者は居なくなったし戦いましょ〜!!…はぁ…『暴食』」
獏食は先ほどの感情が嘘のように和やかな少女のような性格に戻っていた
「『裁定』」
論讞は獏食が言い終わったのと同時に自身の能力を発動した
①相手が攻撃を仕掛けた時、相手に相手が仕掛けた分のダメージが入る(選択不可)
②相手が能力を発動した瞬間、相手の背後へと瞬間移動する
③相手の武器を全て、統一させる(選択不可)
「は…?なにこれ」
論讞は①と③の後ろについている『選択不可』に疑問を持った
「あー、私の能力でその効果は食べちゃったから選択できないよ、私の能力は『能力をも喰らう能力』出しから出来て当然よ」
「…さすがS⁺²って感じだね…」
論讞は冷静そうに装ったが、それは相手からしたらバレバレであった
「仕方がない…②を選択」
『崩壊』
匠が能力を発動し、論讞は匠の背後に瞬間移動した
『遅延』
時歪が能力を発動し、背後へ瞬間移動をした
論讞は瞬間移動をした後、自身の唯一の武器である竹尺を廊下側へ投げた
『暴食』
獏食が能力を発動し、背後へ瞬間移動をした、論讞は獏食が偶然廊下側にいた為、廊下側の壁をなん度も叩くようにした
その時論讞の三半規管がバグるように弱まった、その為その場にいた者全てが『目がくらくらするからこその行動』だと考えた、しかしそれは間違っていた
「はぁ…気持ちわりぃ…まぁいいや念の為に連れてきた4箱の生徒にでも助けを求めるか…本当はしたくなかったけど…」
論讞はこの場合の最適解を執行した
「あ、あの…戦いやめましょうよ…」
そう、彼女が連れてきた4箱の生徒は『上天草 磁界』であった、彼女の能力は『生物・物体をくっ付けさせる能力』、『結合』である
「あのぉ…やめてくださいよぉ…!」
磁界は少し大きめの声で叫んだが、論讞以外の人物には聞こえなかった
「『結合』…はぁ…怠いなぁ…やめろつってんだろ?お前ら…一発で実行しろや塵屑野郎が」
その瞬間能力を発動していた10箱の四人はギチギチにくっ付いたように拘束され、一時的だが彼らが発動した能力は全て解除された
「『忘却』…はぁ能力を発動した事象は消し去りましたが…感覚は残っているんですよね」
ルルは悔しそうにそう言った
12:42 歓迎会終了
既に予鈴はなっていた
「あの、獏食さん…貴方本気で戦ってました…?」
「戦う訳ないじゃ〜ん、所詮はA帯…本気では戦わないよ〜精々2割ぐらいかな」
獏食は論讞の問いに嘲笑うように答えた
「やっぱりですか…私も力をつけなければ…」
論讞は自己反省を行なった
「自身の能力の弱点を見つけられれば爆発的に伸びると思いますよ」
ルルはそう付け足しながら言った
「そういえば、ルルさんの階級ってなんなんですか?」
論讞は出会ってからずっと気になっていたことをルルに聞いた
「S⁺ですよ」
ルルは優しく教えてあげた
「って…そろそろ授業ではないか?妾らと話していると遅れるぞ」
時歪は窓の外を見ながらではあったが優しく、教えてあげた
「やばい…早く向かわなければ…ありがとうございます!」
論讞は自身の右腕に付けている腕時計を見ながら焦りながら走り始めた
「論讞さん…!待って!」
それを追うように磁界は追いかけた
昼休み:獲得評価0点
現在評価2300点
※昼食時ステーキとの交換時、廿の分も払った為 –4000点
この学園の5限目以降は通常の学園のような、授業である
今日は
5限目:数学
6限目:国語
7限目:理科
である、この授業では評価の増減は無く、基本的に定期的に行われるテストの結果に応じて評価の増減が発生する
転校初日にはそのテストは行われなかったので7限目終了時までカット
「はぁ…やっぱり私こういう授業が1番苦手かもなぁ…」
論讞はため息をつきながら眠そうな顔をしていた
「ろんちゃん確かに7限目の理科の実験で電気分解の仕方間違えてたりしてたしね」
廿は少し煽るようにそう言った
「言い返したいのに…言い返せない…くそぉ…」
論讞は悔しがった
「論讞〜帰りのHRが終わったら職員室こいよ〜」
燕が念を押すように言った
15:35 HR終了 職員室にて
「ねぇ、論讞ちゃん君は七大生徒を超えられる?」
「…えぇ、超えられると思いますよ…きっと」
論讞は鶫の圧に押され少し小声で話していた
「そう…ではまぁせめてS⁻²まで行かなければS⁺²には敵わないよ、そこまで登りきれるかい?」
「えぇ、必ず到達して見せますよ、幼馴染の仇の為にも」
「あぁ…匝瑳 抙収君の仇か…」
「漫画でよくある、設定ではありますけど…私はそんなこと気にしません」
第一話 完
───おまけ設定──
論讞は苺大福のような甘いものが大好きなので、お土産等で甘い物を差し出すと非常に喜びます
──備考──
各階級へのクラス替え必要評価
E⁻→E⁻² 50点
E⁻²→E⁺ 100点
E⁺→E⁺² 150点
E⁺²→D⁻ 1500点
D⁻→D⁻² 2000点
D⁻²→D⁺ 3500点
D⁺→D⁺² 4000点
D⁺²→C⁻ 6000点
C⁻→C⁻² 6500点
C⁻²→C⁺ 7500点
C⁺→C⁺² 8000点
C⁺²→B⁻ 10000点
B⁻→B⁻² 12000点
B⁻²→B⁺ 14000点
B⁺→B⁺² 16000点
B⁺²→A⁻ 50000点
A⁻→A⁻² 55000点
A⁻²→A⁺ 100000点
A⁺→A⁺² 150000点
A⁺²→S⁻ 750000点
S⁻→S⁻² 1000000点
S⁻²→S⁺ 10000000点
S⁺→S⁺² 100000000点
※飛び級は不可能




