067 意外な必需品
「私も何度か今回挑戦するダンジョンには潜ったことはあるが、学年が上のエリクの方が経験豊富だろう。よろしく頼むぞ」
「ははっ!」
自己紹介も終わり、話し合いはフェルディナンを中心に進んだ。
これはもうこのチームのリーダーはフェルディナンだな。そして、参謀がエリクのようだ。
オレの隣に座るジゼルはぽーとした濡れた瞳でフェルディナンを見ていた。完全に惚れたな。でも残念。ジゼルは主人公じゃないからフェルディナンと結ばれる未来はないだろう。
いや、ジゼルと似た境遇の女主人公でもフェルディナンと結ばれるルートはあったし、もしかしたらフェルディナンとジゼルが結ばれることもあるかもしれない。
がんばれジゼル。オレは応援してるよ。
「今回は学園にある三つのダンジョンの中でも一番簡単なダンジョンに潜ることになる。一年生にダンジョンを経験させ、二年生、三年生には下級生の指導が期待されているのだろう。事前にダンジョンがどんな所か、何が必要になるかを説明した方がいいだろう。エリク」
「はっ! 今回潜るのは、『嘆きの地下墳墓』と呼ばれるダンジョンだ。出現する主なモンスターはスケルトンやゾンビなどのアンデッド系だな。これらは本物の死体というわけではない。ダンジョンが作るただの防衛装置のようなものだ。気にせず倒してしまっていい。道中、特に注意すべきは、魔法を使うスケルトンメイジの存在だ。これについては――――」
きっと今までに何度も『嘆きの地下墳墓』に挑戦してきたのだろう。エリクの言葉は力強く、淀みなく続いていく。ゲームではわからなかった情報もあり、聞いていて楽しかった。
「続いて用意するべきアイテムについてだ。まずは松明。ダンジョンの中は火の光が一切入らない暗闇だ。松明はマストで必要だな。それから、マスク。防塵の意味もあるが、本命は対ゾンビ対策だな」
「ゾンビ? ゾンビを倒すのにマスクが必要なんですか?」
よくわからなくて手をあげて質問する。そんな情報ゲームでもなかったし、マスクがゾンビを倒すのにどうやって役立つのかわからなかった。
だが、オレが質問すると、二年生、三年生の上級生は、まるでなにか嫌なことを思い出したように苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。
「ああ。ゾンビを倒すだけならべつにマスクは必要ない。だが……、ゾンビはとんでもなく臭いんだ」
「臭い……?」
「ヤバいぞ? 吐くだけで済むならいい方で、毎年何人か気を失ってる」
「うわー……」
ジゼルが嫌そうな声を漏らす。
ゲームでは臭さとかわからないから、これは新情報だな。あまり嬉しくないが……。
「その臭いの対策としてのマスクだ。多少マシになる。臭いのは変わらないけどな。お勧めは、マスクの中に匂い袋を挟むことだ。それでも完全には防ぎきれないが……」
エリクも嫌そうな顔をして吐き捨てる。よほど臭いんだろうなぁ……。
「あとは各自の装備と昼食だな。荷物は各々が持つことになる。あまり大荷物は疲れるだけだから、持って行く物は厳選が必要だ。もし不安だったら、俺に相談してくれ。以上になります」
「ご苦労」
フェルディナンがゆっくりと頷くと、オレたちを見渡して口を開く。
「今回、私たちは『嘆きの地下墳墓』を攻略するつもりだ。各々最善を尽くすように心がけてくれ。以上だ」
フェルディナンはやる気のようだね。
やっぱり成績とか気にしてるんだろうか? 王族だから貴族たちの模範となる成績を取ることが求められているとか?
まぁ、オレも挑戦するなら全クリしたいからいいんだけどさ。
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