064 基本が大事
「ふむ。お主にはこれといった輝きはないな。凡庸じゃ。だが、己を鍛え続ける才能はある。ガストンは人に教えるのは下手だろう? よくぞここまで独力で練り上げたものじゃて」
そんな褒めているのか貶しているのかわからない言葉でオレとアンセルムの模擬戦は終わった。
まぁ、アンセルムの言葉は事実だろう。オレには特別な才能なんてない。ただ、日々反復練習しているだけだ。
アンセルムは己を鍛え続ける才能と評したが、それも間違いである。
オレはただ、前世の知識で、この世界が鍛えれば鍛えた分だけ確実に強くなれる世界だということを知っていただけだ。じゃなかったら、オレは強くなるために努力し続けることなんてできなかっただろう。
きっと父上の才能に圧倒されて諦めていたに違いない。
「お主には派手な技は不要。技に頼るな。それはむしろ害悪ですらあるな。一つ一つの動きを意識して、精度を高めよ。これまで通り地道に、一歩ずつ進むことを心がけるのじゃ」
「はい」
アンセルムは最後にそう言って、好々爺のような笑みを浮かべるとオレの肩をポンポン叩いた。
アンセルムの言うことはもっともだよなぁ。
オレには才能どころかセンスと言うべきものすらない。ただがむしゃらに剣を振ってきただけだ。
おそらく、オレの強さの源は、剣技によるものではない。ゲームで言うところのキャラレベルによるものだと思う。
ただ、同級生よりも高い身体能力を持っているだけ。剣技の技量は決して高くはない。
それをアンセルムには見破られた。
それが技に頼ることなく一つ一つの動きの精度を高めよという言葉に現れている。これは、技ではなく基本を磨けということだろう。
やはり、最強への道は遠いなぁ。
まぁ、それが楽しいんだけど。
「いやー、強かったなぁ……」
オレは自分の番が終わった後もアンセルムと生徒たちの模擬戦を食い入るように観察していた。
やはり、アンセルムの技術力は高い。その年月に裏打ちされた技術は、悔しいけど、勢いで押すところのある父上よりも高いだろう。
まぁ、二人が戦ったら父上が勝つと思いたいけどね。
オレはアンセルムの芸術的なまでの剣技に魅了されていた。
アンセルムが片手剣の二刀流だったのもそれに拍車をかけた。オレも片手剣を使うからね。技術が盗みやすいのだ。
特に、あのオレの突きの軌道を逸らした技は会得したいな。
将来どうなるかはわからないが、仮に仲間と一緒にダンジョンを潜ることがあれば、盾を持ち、神聖魔法を使うことができるオレの役割は、モンスターの攻撃を積極的に受け止め、隙を作ることになるだろう。
人間よりもパワーに優れるモンスターは多い。そんなモンスターたち相手に、愚直に攻撃を受け止めるのは限界がある。
オレは盾では相手の攻撃をいなすことができるようになったが、剣でいなすことはまだできない。学園にいるうちに会得したいな。
模擬戦が終われば、次は組み分けが待っていた。どうやら生徒の実力に応じて、一級から五級の五段階にわけて指導していくらしい。
オレは一番上の階級である一級になったが、オレの他にもジゼルやギー、シャルリーヌやマルゲリットなどがいた。
オレ以外が全員属性魔法を使えるメンバーだった。魔法はそれだけ強力ということで評価されているのかな?
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