22 本当の姿
どうぞよろしくお願いします。
川上先生が頭を下げたのを見てまゆみ先輩が慌てた。
「大丈夫です! 私は! そりゃ怖かったけど。
さえ先生、学校辞めるの?」
川上先生が首を捻る。
「一応、生徒に対して暴力をふるってトラブルになったことは学校へも報告した。
上の判断だな」
「呪われた理科助手のポスト……」
あき先輩がぼそっと言って、それにみんな反応して笑ってしまう。
「何!? ミステリーからオカルトへ!?」
ゆかり先輩が面白そうに叫び、中一が首を傾げ、中二が「前の理科助手の先生も川上先生にすっごく言い寄ってて、なんか突然辞めたんだよ」って教えてあげてる……。
田中先生が言った。
「川上先生への学生の時からの恋愛感情が続いていて……、川上先生が断っても断ってもということだったんだな。
それで、家族の方に信頼されてるのを利用して学院にまで就職して。
川上先生が自分を認めてくれるのを待っていたのか?
しかし、断られ続けて、冷たくされ、周囲の女子高生に逆恨みってとこか?」
田中先生の言葉にとも先輩が頷くが、悲し気に首を振った。
「どうしたの?」とあき先輩が聞いた。
「うーん、さえ先生、高校と大学では別人かというくらい容姿が変わってて。
自分がどうなりたいかというより、川上先生の好みの女性像になるためにすごく努力していたんだろうなって。
努力しても手に入らないものを欲しがるのは……。悲劇なのかなって。
相手があるものは努力しても……、難しいね」
「努力しても手に入らないものか……」
川上先生が呟いた。
「でもさ、いやだって言ってるのに、お前のために努力してんだから受け入れろって押しつけ続けられて、外堀を埋められて逃げられなくなるのも、相手にしてみれば悲劇じゃない?」
あき先輩の言葉にとも先輩が笑う。
「そうだね。どちらにとっても悲劇だ。救いようがないね」
とも先輩の『救いようがない』って言葉が全てを断ち切るような不思議な感じがした。
『救いようがない』
他の人にはどうしようもできない。自分で自分を救うしか道はないんだろうけど。
その道を見つけられなかったら、どうなのだろう。破滅するまで、ひとりで踠かなくてはならないのだろうか。自分も相手も……。自分の思う通りになれば相手が苦しむ。
自分は頑張っている、かわいそうなの、声を掛けて、私を見て! と待っていたさえ先生の姿が思い出された。
怖くなった。私はそんな思いに苦しむことがあるのだろうか?
その日の夜、屋上で望遠鏡で星や月を観察した。
月の表面すごいぼこぼこ。クレーター。
写真で見て知っているけどさ。生で見るとインパクト大。
鈴永さんが言った。
「私達、さえ先生をこうやって遠くから見てたから、本当の姿に気がつかなかったのかな?」
私はとも先輩のことを思った。
もしかしたら、とも先輩も私が見ている姿だけじゃない、本当の姿や真実を持っているのかも。
それは私も同じ。
誰もがそういうものを抱えているのかも。
とも先輩も川上先生も……。
読んで下り、ありがとうございます。
第4章は中三のかなちゃん視点でした。
第5章は主人公? のトモ目線でかなちゃんがいなかった時にどういうやり取りがあり、トモ自身がどう対応していたかということを書く予定です。
昨日、全くパソコンに触れなかった……。
今日も仕事です。
昨日の夜のグレーテルのかまど、観ました!?
NHKで銀魂の曲が流れるなんて!
息子とウヒャウヒャと笑いながら観てました!
これからもどうぞよろしくお願いします。




