20 騙されてた?
どうぞよろしくお願いします。
「どうしたんだ!?」
田中先生が驚いて叫んだ。
あき先輩が説明し始める。
「ボート乗る人と池の散策組に分かれて。
川上先生とトモとマユミは散策に……」
まゆみ先輩が震える声で言った。
「私、電話したいところがあって。
トモと先生と少し離れてもらって。電話終わるの待っててくれて。
そうしたら、さえ先生が急に現れて『電話で私の悪口を言っているんじゃないっ!』って、飛び掛かってきて。
トモと川上先生が助けてくれたんだけど、トモが服をつかまれて、さえ先生と池に転がり落ちたみたいに!
川上先生とボート乗り場のスタッフの人が助けてくれたの……」
警備スタッフらしい人が困ったように田中先生に言った。
「警察、どうしますか?
見ていたスタッフによると仲間内のケンカにしては、突然で一方的だったと……」
田中先生と川上先生が顔を見合わせ……、「こちらで対応します。助けて頂きありがとうございます」と田中先生が言った。
とりあえず、とも先輩、川上先生、さえ先生を着替えさせないと!
でも、さえ先生からは目を離せない……。
田中先生が言った。
「横川先生は俺と……、麻岡、申し訳ないが頼めるか?
川上と若宮は大丈夫だな……。
この5人で一度ホテルに戻る。
……予定通り、時間まで頼めるか?」
最後の方の頼めるか? はゆかり先輩とさくら先輩に向けられていた。
「はい、大丈夫、予定通りランチは各自の予定で予約もないし。
帰りの足だけ?」
さくら先輩が素早く言った。
田中先生が返事する。
「ホテルのバスにまた森林公園に戻ってもらえるように頼んでみる。
ダメなら5人でタクシーでも……」
ゆかり先輩が心配そうに言った。
「この状態で!?」
「まあ、どうなったか、連絡は入れる。頼んだ」
「わかりました! 気をつけて」
さくら先輩とゆかり先輩が頷いた。
公園の入り口の方に向かう5人を見送りながら私達は何だか……、無言……。
ゆかり先輩とさくら先輩はそんな私達に元気に声を掛けてくる。
「ほらっ! せっかくの合宿、楽しまないとね!」
「そうそう、あっちは大丈夫だよ!」
私は鈴永さんと小野田さんとなんとなく一緒に歩き出した。
「さえ先生、どうしちゃったんだろう……。あんなの……」
小野田さんが暗い声で言って、鈴永さんも言った。
「やっぱり、私達、騙されてた?」
「……騙す、騙されるじゃなくて……。
うーん、うまく言えないけど、人ごとに真実ってあると思うんだよね。
さえ先生にしてみれば、鈴永さん達に話したことが、さえ先生の真実だったのかもしれない」
私の言葉に鈴永さんと小野田さんが少し驚いてから「「うん」」と頷いてくれた。
「すごいね。岩瀬さんってそんなに深く考えてるの?」
鈴永さんに言われて……。
「……深くではないかな?
人それぞれ、いろいろあると思うんだよね。
人に迷惑を掛けなければ、いいとは思うけれど……。
さえ先生の場合は、自分を守るために人に攻撃してきた感じがして……」
「うん、そうだね。なんとなくわかる。
うまくいかなくてって感じだよね」
「腹も立つけど、かわいそうな気もするね」
小野田さんが呟いた。
読んで下さり、ありがとうございます。
今日、明日と仕事が連続でして。
投稿ペース少し落ちます。
これからもどうぞよろしくお願いします。




