19 憧れと幻滅
どうぞよろしくお願いします。
中学生7人と田中先生で散策開始。
鈴永さんと小野田さんが楽しそうだ。合宿の最初の方、さえ先生にくっついてつまらなそうな顔をしていたから、本当はどうだったの? と聞いたら苦笑された。
「……さえ先生に若宮先輩の悪口言われてて、本当だと思って怒ってたから」
さえ先生は川上先生の実家にも認められてる恋人で、今は教師の仕事に専念したいという川上先生の意向で、少し離れていた。
でも、将来は教育者としての彼を支えたいと理科助手の仕事をすることにした。
学院に来てみたら、先生を誘惑してる女子高生がいてね……、みたいな話をされたそう。
今では嘘だったんだなって気づいて、さえ先生から距離を取ろうと思っているって。
川上先生の態度。これはもう恋人同士というものではない。仕事中だからとしても、拒絶すら感じられるのはおかしい。
確かに川上先生はとも先輩を気にしているけど、とも先輩は自然体で生徒と先生という関係を守っているし、今回は合宿担当で頑張ってくれている。
それに、さえ先生が途中から素敵な大人の女性に思えなくなったこと。
川上先生に嫌がられてるのにつきまとっているし、ただみじめったらしく声かけてくれるのを待ってる姿、その姿に、幻滅したそうだ。
「そういえば、なんでカーディガンをクリーニングに?」
私は田中先生に聞いた。
「あー、汚れてたんだよ。特に首回り」
小野田さんが気づいたように言った、
「あ! 首のファンデーション!?」
そうか、顔と首まで化粧してた!
田中先生が苦笑する。
「もうこの話はおしまいだ。さて自然を楽しむとするか!」
「わー、田中先生、全然似合わないー!!」と私。
「ぬかせ! お前らの付き添いだから、俺はいいんだよっ!
お前らが楽しめ!」
「楽しめって言われてもねぇ……」「そうそう」
鈴永さんと小野田さんがやれやれっていう感じで言って、中一と中二がけらけら笑った。
「ソフトクリーム食べたい! 先生の奢りでー!」
「「ありがと、先生!」」
「私、抹茶ね!」「「わーい!!」」
みんな口々に喜びの言葉を口にして。
田中先生は困ったように言った。
「無理だ、人が多すぎる」
私達は散策してレストランまで行き、ソフトクリームを食べた。
もちろん自腹で。そこまで田中先生をいじめないよ。
高校の授業のこととか、短大でやってる研究のことなんかも話してくれて面白かった。
食べ終えて、ボート乗りに行こうってなって池の方へ移動を開始。
池の方で人が集まっていて……。
川上先生ととも先輩が下半身びしょびしょ、ただの濡れてるじゃなくて薄汚れた感じで緑の藻みたいなのが服にも付いてる。まゆみ先輩が泣いてて、さえ先生らしき人も地面に座っている。さえ先生も薄汚れて、しかも全身濡れちゃってて藻が……。そして、顔の化粧が……。かなり悲惨なことになっていた。
森林公園のスタッフ、警備とボート乗り場の人? もいる。
あき先輩達も私達と同じタイミングで駆けつけてきた。
読んで下さり、ありがとうございます。
後3話でこの章は終わり、次の章で朋佳からの視点で語っていく予定です。
長くなってきましたが、お付き合い頂きありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!




